"Half Life" by Shelley Jackson
ケリー・リンクの本の挿絵を描いてたShelley Jacksonって、めちゃめちゃ私向けの作家じゃないですか。
昨年出版された彼女の初長編"Half Life"の主人公は、サンフランシスコに暮らすシャム双生児ノーラとブランシェ。といっても、核戦争後という設定のこの世界では遺伝子の優位性に変異が起こっており、シャム双生児(この世界ではTwoferと呼ばれている)はマイノリティ集団として確固とした地位を築いている。双子の片割れノーラは、15年も以上寝たきりのブランシェが邪魔で仕方がなく、非合法の切断手術を受けようとロンドンに飛ぶ。謎めいたUnity Faoundationなる団体を探す旅は、図らずもノーラとブランシェの誕生の謎を探る旅へと様相を変え、舞台はネバダ州Too Badの町へ。ブランシェはノーラと話したいの? ブランシェの望みは何? 奇妙な人物たちが行き交うこの町で、ノーラは狂気の淵へと追い込まれる……。
この小説を発表する前は、"Frankenstein"を書くMary Shellyを脱構築的にハイパーテキストに仕立てあげた"Patchwork Girl"という作品で名を知られていたJacksonですが、プロフィールを調べてみると、何とロバート・クーヴァーの教え子ではありませんか!! しかも、ジョナサン・リーサム(Jonathan Lethem)の元奥さんときてる。現在進行中の"Skin"というプロジェクトでは、ヴォランティアの身体に一単語づつ刺青するかたちで小説を書きつづけている模様。(そんな彼女の公式ホームページはこちら。)
「またフリークスものか?」との謗りを受けそうですが、ケリー・リンクの2006年一番のお気に入りらしいので、読んでおいても損はなさそうですよ。キャサリン・ダンの傑作"Geek Love"に最も近づいたと評判の話題作です。
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