Friday, October 12, 2007

"Half Life" by Shelley Jackson

Half_life__3 どうして、誰も教えてくれなかったんですか~~~!!!

ケリー・リンクの本の挿絵を描いてたShelley Jacksonって、めちゃめちゃ私向けの作家じゃないですか。

昨年出版された彼女の初長編"Half Life"の主人公は、サンフランシスコに暮らすシャム双生児ノーラとブランシェ。といっても、核戦争後という設定のこの世界では遺伝子の優位性に変異が起こっており、シャム双生児(この世界ではTwoferと呼ばれている)はマイノリティ集団として確固とした地位を築いている。双子の片割れノーラは、15年も以上寝たきりのブランシェが邪魔で仕方がなく、非合法の切断手術を受けようとロンドンに飛ぶ。謎めいたUnity Faoundationなる団体を探す旅は、図らずもノーラとブランシェの誕生の謎を探る旅へと様相を変え、舞台はネバダ州Too Badの町へ。ブランシェはノーラと話したいの? ブランシェの望みは何? 奇妙な人物たちが行き交うこの町で、ノーラは狂気の淵へと追い込まれる……。

この小説を発表する前は、"Frankenstein"を書くMary Shellyを脱構築的にハイパーテキストに仕立てあげた"Patchwork Girl"という作品で名を知られていたJacksonですが、プロフィールを調べてみると、何とロバート・クーヴァーの教え子ではありませんか!! しかも、ジョナサン・リーサム(Jonathan Lethem)の元奥さんときてる。現在進行中の"Skin"というプロジェクトでは、ヴォランティアの身体に一単語づつ刺青するかたちで小説を書きつづけている模様。(そんな彼女の公式ホームページはこちら。)

「またフリークスものか?」との謗りを受けそうですが、ケリー・リンクの2006年一番のお気に入りらしいので、読んでおいても損はなさそうですよ。キャサリン・ダンの傑作"Geek Love"に最も近づいたと評判の話題作です。

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Thursday, July 19, 2007

Attack of the Unsinkable Rubber Ducks, by Christopher Brookmyre

Attack of the Unsinkable Rubber Ducksなんかすごい本を見つけてしまいましたよ。中身はまあどっちでもいいんですが、この趣味の悪いカバーとタイトルを見てください。誰向きの本かはもういわなくてもわかりますよね。8/2 発売ということですので、近々某京都の洋書専門店に山積みになるのは間違いないでしょう^^)

クリストファー・ブルックマイアといえば、イギリスのユーモア系のミステリ作家としては第一人者なんですが、日本ではあんまり知られてませんね。わたしもまだ1冊も読んだことないので、そろそろ試してみようかとは思うんですが、やっぱりこの本に手を出すのはさすがに恥ずかしいかも。

超能力の嘘を暴こうと奮闘する牧師が災難にあう話みたいですが、"unsinkable rubber ducks" っていうのは、ほんもののアヒルのオモチャということではなくて、超能力の存在を本心から信じている人のことを指しているみたいですね。う~ん、やっぱりラバー・ダッキーっていうのは、アブナイ人向けのものなんでしょうか^^;

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Thursday, August 24, 2006

Schrödinger's Ball, by Adam Felber

Schrodinger's Ballまた際物かといわれそうですが、かなり評判いいようなんですよ。コメディアンが書いた深く訂正理論……じゃない、不確定性理論をベースにしたスラップスティックだそうです。

シュレディンガーも主役の1人として登場するようですね。あとは自称モンタナ自由州の大統領とか、死んでて死んでないミュージシャンとか、神の意思が通りを横切るのを待っているホームレスの預言者とか、世界の歴史を書き換えている女性とか、ヘンテコな登場人物のお馬鹿な物語が絡んできて、不確定性理論が理解できるようになってるみたいです。かえってワケワカメになりそうな気もしないでもないですが^^;

プロットだけじゃなく文章面でも遊んでて、一人称・二人称・三人称を使い分けた語りとか、聖書やシェイクスピアを模したパートもあるとか。なかなか楽しいかも。

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