なにやらショボそうなネズミのカバーですが、モービイ・ディックやドン・キホーテを齧って育ったため、本を読めるようになったネズミを主人公に、1960年代のボストンの生活を描いた作品とのこと。この設定だけでもかなりくすぐられるんですが、尊敬する古本屋の主人に毒殺されそうになりながらも、売れないSF作家の友人と、ショッピング・センターに飲み込まれそうになる本屋を救おうと頑張る話ときては見逃せないですね。
メインのストーリーの合間には、本への思いや作家の生活、気紛れなジャズと映画の日常という60年代の空気がたっぷり詰まっているということで、じつはこちらが本筋なんでしょうけど、とってもおいしそう。この気取った書き出しもいいですね:
"I had always imagined that my life story...would have a great first line: something like Nabokov's 'Lolita, light of my life, fire of my loins;' or if I could not do lyric, then something sweeping like Tolstoy's 'All happy families are alike, but every unhappy family is unhappy in its own way.'... When it comes to openers, though, the best in my view has to be the first line of Ford Madox Ford's The Good Soldier: 'This is the saddest story I have ever heard.'"
このサム・サヴェジという人、もう1冊去年出た The Criminal Life of Effie O. という作品もあるようで、こちらは80年代を舞台に、フラワー・チルドレン出身ながら現在は会社の重役という母を持つ裕福な少女が、パンクな生活を求めて街に飛び出す話を、緩い韻文で語ったものとのこと。『地下鉄のザジ』のイメージを思い浮かべてしまうんですが、さて、どうでしょう。どちらもカバーだけでもわたし的には正解なんですが。
...と思って探したら、Old Rat's Hole なんていういかにもなサイトが見つかりました^^) なんと~、エフィー・Oの冒険は全文がウェブで読めるじゃないですか。それもなかなかかわいい絵入りで! どうも読む前からファンになっちゃいそうですね。
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