Thursday, January 24, 2008

"All Shall Be Well; And All Shall Be Well; And All Manner of Things Shall Be Well" by Tod Wodicka

All Shall Be Wellノリッジの聖ジュリアンの名句を引用したタイトルに、中世の衣服を着た老人と子供の絵の表紙……。一見マジメ本の顔をしていて、でも、よ~く見るとなんかちょっとヘン? チェックしてみたら予感的中で、やっぱりヘンな本っぽいですねぇ。これは買いかも。

チュニック着て、フライドポテトは拒否して(←中世にジャガイモはまだ入ってきてなかったから)何から何まで中世の生活を再現してニューヨークに暮らす変人バートですが、プラハで息子のトリスタン(!)を捜していく過程で、彼の悲しい過去が次第に分かっていくという、聞くも涙、語るも涙……じゃなくて、めちゃくちゃ楽しいお話みたいです。ってことは、表紙は親子再会の場面の想像図なのかな?

Amazon.com にブラーブがいくつか載ってるんですが、ケヴィン・ブロックマイヤーなんて結構楽しんじゃったみたいですね。しかし US版の表紙はしょぼすぎ。

All Shall Be Well

アマゾンUK には、これがデビュー作になる著者自身によるこの本のサウンド・トラックが編まれているので、BGM 流しながら読むのもいいかも?

BBC による著者インタヴューとちょこっと抜粋はこちら。

そういえばノリッジの聖ジュリアンって、『聖書の絵師』にご本人が出てきてたはず(未読ですがそのうち……)。

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Thursday, January 17, 2008

"Blank Gaze" by Jose Luis Peixoto (Author), Richard Zenith (Translator)

Blank Gaze

あらら、この表紙のイラストはアンドリュー・クルーミーでお馴染み(?)のサラ・ファッネリじゃないですか~。

と相変わらず表紙にひっかかって、昨年11月のイギリスでの出版時からチェックを入れてレヴューが出てくるのをひたすら待っていたのですが、レヴューが出てくる前にイギリス・アマゾンでは取り扱いがマーケット・プレイスだけになっちゃいました。あまり売れてないんでしょうか? ちょっと残念。

舞台はポルトガルの寒村。その厳しい環境の中で生活する人々の愛憎の物語のようなんですが、出てくる人たちがちょっとヘンです。悪魔に「寝取られ男」と告げられた主人公、その相談にのる120歳の老人、指でくっついてるシャム双生児やら、盲目の娼婦やら……。そんなユニークな人々が織りなすのは、どこにでもあるような普遍的な物語。それが美しい詩的な文章で書かれているそうです。

この作品、ポルトガル語からの英訳なのですが、ポルトガルの小説家であり詩人でもある作者のジョゼ・ルイス・ペイショートは、なんとこの作品で 2001年にジョゼ・サラマーゴ賞を受賞しているんですね。そう言われると、う~ん、やっぱり気になります。

こちらで彼の詩を数編読むことができます。ちょっとユニーク? その下にあるサラマーゴの彼に対する評 "Jose Luis Peixoto is one of the most suprising revelations in recent Portuguese literature. I have no doubts that he is the safe promise of a great writer." って、スゴイお墨付きじゃないですか?

日本語訳の出版も決まっているようなので、英訳で読むか邦訳で読むかも悩みどころですね(って、UK版は相変わらず値段高いですが、米国でも今年発売されるようです)。

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Thursday, October 25, 2007

"Sputnik Caledonia" by Andrew Crumey

Sputnik Caledonia突然ですが、今年はスプートニク打ち上げ 50周年ってご存知でした? あれからもうそんなに経っちゃったんですね~(って、生まれてなかったですよ)

それにあやかったのかどうか、来年出るアンドリュー・クルーミーの新作がSputnik Caledonia! でも、カレドニア(=スコットランド)のスプートニクだなんて、なんかあさっての方向に飛んできそうな予感……。シノプシスによると、舞台は戦後共産主義国家になった1970年代のスコットランド。筋金入りの社会主義者の父を持つ主人公は宇宙に行くことを夢見るも、資本主義国家のアメリカ人と同乗するなんてまっぴらというわけで、相対性理論を読みながらも、ロシア語の独習にいそしんだりするのですが、結局は閉鎖的な研究所に落ち着いて……って、あれ? そういえばクルーミーって、子供の頃は宇宙飛行士になりたかったけど、理論物理学の研究者になったんでしたっけ。ポーランドの研究所を訪れたことが結構強い印象として残ってるとも過去に語っていたので、実体験が色濃く反映された平行世界ものみたいですね。

物理学、文学(ディドロらの啓蒙主義やプルーストなど)、哲学、音楽が融合した、コミカルな筆致が特徴のクルーミーの作品群ですが、この新作も今までのそんな路線を引き継いでいるのかもしれません。

で、何より期待しちゃうのが、この作品、昨年イギリスの Northern Rock Foundation Writers Award を受賞、見事6万ポンド(!)を獲得して完成させたものだということ。この賞は、イギリス北東部に住み、過去に何冊か出版物があるものの、才能があるのに生活の糧を得るため作家業に専念できない人をサポートするために設立されたのだそうです。クルーミー・ファンとしては、今までの中の最高傑作が読めるんじゃないかとわくわくしてしまいます。

表紙のへなちょこイラストは、前作メビウスクジラと同じ人みたいですね。結構好きなんですよ~。

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Thursday, October 18, 2007

Santa Esperanza, by Aka Morchiladze

Santa Esperanza @ amazon.de黒海に浮かぶサンタ・エスペランサ島を舞台にした作品だそうですが、なんと~、36冊の小冊子がフェルトのケースに入った構成で、地図も付いているんだとか。中身はラヴ・ストーリイや手紙、おとぎ話や神話・伝説・年代記、はたまた e-mail から新聞記事、日記や戯曲、憲法の抜粋から遺言書、そしてなんと6人でプレイするカードゲームまで、ありとあらゆる形式の創作で成り立ってるようですね。

作者はグルジアの……、ええと……、読めません^^; ううむ、なんとか無理してアカ・モルチラッゼということにしておきましょう。グルジアでは人気作家で、テレビのパーソナリティやソープオペラの作者、スポーツ・コラムの執筆など多方面で活躍しているんだとか。本名は Gio Akhvlediani だそうですが、なおさらわかりません^^;

そう、サンタ・エスペランサというのは架空の島で、グルジアの状況を重ね合わせているんですね。グルジア人とトルコ人、イタリア人とユダヤ人、そしてブリトン人が住むこの島国では、内部抗争に外国人が加担して様々なドラマが起きているようです。詳しい内容はこちらの記事で。

でまあ、形式も含めてむちゃくちゃ面白そうなんですが、問題は今のところグルジア語以外ではドイツ語訳しかないということ。ということで、リンクは amazon.de に張っていますが、ま、どうせつまみ読みするだけなんで、ドイツ語版買っちゃいましょうかね。ちなみに、グルジア語っていうのはこういう言語らしいです……って、ページのタイトルに作者の名前がありますので多分そうなんでしょう^^; ううむ、google translation も歯が立たない……って、毎度のことでした。

グルジアでは 500冊ほど売れればベストセラーで、2,000部売れたら大ヒットということですが、ドイツでは既に本国の5倍ほど売れているとのこと。日本語版は……さすがに出ないでしょうね。ともかく、話の種としてだけでも手に入れる価値はありそうです。

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Tuesday, September 18, 2007

The Last Cavalier: Being the Adventures of Count Sainte-Hermine in the Age of Napoleon, by Alexandre Dumas

The Last Cavalierアレクサンドル・デュマの新作が英訳されたそうですよ……って、デュマが晩年に書いた未完の新聞連載小説で、本の形ではまとまっていなかったものを、研究者が発掘し、本国フランスでは 2005年に出版されたものだそうです。英訳でもハードカバーで 750ページというかなりの大作ですが、これでもデュマの構想の3分の1程度だとか。全体のストーリイ自身はアウトラインが残されているようです。

物語は、デュマが他の作品では書くことのなかったナポレオンの時代を背景にしていて、王党派のサント・エルミン伯エクトールの受難と冒険を描いたものだとか。結婚を目前にしてナポレオンに捕まったエクトールは、一船員として海外に赴くことを条件に解放されますが、まあデュマの主人公ですから、行く先々で剣を片手に大活躍、女性にはモテモテで……という、ファンには堪えられない面白さだとか。人間相手の戦いだけでなくなにやら秘境冒険ものも楽しめるようですよ。エピソードを積み重ねるような展開の中に、有名人の伝記やファッション、風俗、地理、歴史への含蓄がユーモアを交えて語られ、中途で終わっているからといって面白さが減じるものではないそうです。

そもそもデュマの父というのが、一時はナポレオンのライバルと目されたほどの軍人ながら、若くして亡くなったため、デュマ一家はかなり苦労したとのこと。ということで、ナポレオン寄りというよりは、相当揶揄を込めて書かれていることが想像されますが、作者の意図は、エクトールを視点人物として、ナポレオン時代の主な出来事をパノラマ的に描くことにあったとのこと。まあそのあたりのお勉強は横に置くとしても、モンテ・クリスト伯的な立場の主人公がダルタニャン風の活躍をするというだけで、これはちょっとほっておけないかも^^)

ちなみに以上はデュマの大ファンを自認する有名な書評家、Michael Dirda のレヴュウのかなりいい加減な受け売りですので、きちんとした内容を知りたい方はそちらを参照ください。

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Monday, September 17, 2007

Into the Wild, by Sarah Beth Durst

Into the Wildギリシャ神話の神々が人間に混じって生活しているのなら、童話の登場人物たちも負けてはいません。

主人公ジュリーはフツーの女の子で、ほんとにフツーの生活をしたいんですけど、ママのラプンツェルがパーティーを開くといえば、もうどうしょうもなく sexist な7人の小人の爺さんたちがやってくるし、ママの知り合いのシンディーは暴走狂だし、兄のブーツはメイド服に身を固めたネコだし、おばあちゃんは悪い魔女だし、ベッドの下ではほとんど叢にまで落ちぶれた「野生」ができそこないの魔法の品を吐き出しているし、とてもじゃないけど友だちを家に呼ぶことさえできない……。

ということで、中世の終わりに力を失った「野生」の元を逃れてきた童話の主人公たちが、人間界でごくフツーの生活を送ってるんですが、なにやら野生が力を取り戻し、大変なことになっちゃうみたいです。野生に乗っ取られた町と、人質に取られた母を救うため、ジュリーと兄とおばあちゃんが童話の世界で大活躍。

このパターンは最近流行りみたいですね。児童書では Tom Trueheart とか Into the Woods なんてのがありましたし、アニメの Hoodwinked や大人向けコミックの FablesCastle Waiting なんてのが出ています。この作品はちょっとチック・リット的なYAものっていうあたりが新鮮ですかね。作者のサラ・ベス・ダーストはこれがデビュー作のようです。期待しましょう。

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Gods Behaving Badly, by Marie Phillips

Gods Behaving Badly (uk edition)Greek Myths とか書いてあるとつい Geek Myths と読み間違えてしまう今日このごろですが、なんか読み間違えても問題なそうな本が出てました。

誰も信じるものがなくなって力を失ったギリシャの神々が、人間の世界に紛れてそれぞれの特技を生かしながら暮らしています。狩人のアルテミスは犬の散歩師、美の神アフロディテはテレフォン・セックスのオペレータ、太陽神アポロはテレビの超能力者……って、う、いかにもありそうな感じ^^;

Gods Behaving Badly (us edition)まあギリシャの神々ですから、もともと「超」が付くくらい人間的なので、行儀良く人間世界に収まってるわけはないんですが、どうもごく普通のカップルが神々のいざこざに巻き込まれて振り回されてしまうスラップスティックのようです。なかなかお馬鹿で楽しそう。英米ともにカバーもなかなか洒落たデザイン。どちらも地色がオレンジなのは、なにか理由があるんでしょうか(オレンジ賞を狙っているなんていうベタな背景はないとは思いますが^^;)。

ニール・ゲイマンの American Gods やスティーヴン・シェリルの『夢見るミノタウロス』、はたまたジョン・C・ライトの Children of Chaos のイメージですかね(いやまあ、最後のはロジャー・ゼラズニイの「アンバー」の雰囲気なのでちょっと違うでしょうけど)。

作者のマリー・フィリップスはブロガーとしても有名な人だったらしいですが、デビュー作を機に引っ込んじゃったんでしょうか、invite only になっちゃってますね。

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Monday, August 20, 2007

Michael Swanwick Has Got a Blog

The Dragons of Babelマイクル・スワンウィックがブログを始めました。始めた理由というのがものすごく即物的なんですが、編集者のデイヴィッド・ハートウェルに、12月に出る新作長編 The Dragons of Babel のプロモーションをするように仰せつかったというもの。ただ単にカバーとあらすじを載せておくだけではどこにでもあるので、ちゃんと面白くして、欠かすことなく週に2~3回更新するようにいわれたということで、作品の周辺情報や創作の背景を紹介してくれるようですね。

ただまあ今のところうんざりするような用語集や、わけのわからないプロット・ダイアグラムが解説もなくリストされているばかりで、かえって混乱するんですけど^^; 唯一見てピンとくるのはステファン・マルティニエールのカバーの原画で、うーん、これはかっこいいぞ。う、Stations of the Tide がヒューゴー賞を取ったことになってますぜ、スワンウィックさん^^; 受賞した本人が取り違えるくらいですから、読者がヒューゴーとネビュラを取り違えるのも無理はないのかも。まあすぐ訂正されるでしょうけど。

発表済みのいくつかの短編を含めて長編化と聞いていましたけど、ヒューゴー賞のノヴェラ部門の候補になっている "Lord Weary's Empire" は、逆にこの長編から切り出して独立した作品として読めるように手を加えたものとのこと。ともかく、1994年の The Iron Dragon's Daughter の姉妹編ということで期待もふくらみます。スワンウィックの長編はしょうもない Bones of the Earth 以外はどれもいいので(とくに Jack Faust は絶品です)、そろそろ邦訳が検討されてもいいんじゃないでしょうか。短編のうまさだけじゃなく、ストーリーテラーとしても素晴らしいということがよく分かりますよ。まあいまひとつ曖昧なまま話を終える作家なので、結末は弱いですけど、素直にケリをつけないところがまた味があるというか。

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Sunday, August 19, 2007

Run, by Ann Patchett

Run (uk edition)ををを、あの『ベル・カント』のアン・パチェットの新作ですよ。アメリカ版は10月なのに、イギリスでは今月先行発売というのは、『ベル・カント』がイギリスで特に売れたってことなんでしょうかね。たしかにアメリカでは、口コミや書店のプッシュという草の根的なサポートでじわじわ売れて評判になった本で、普通の全米的なベストセラーとはかなり趣きを異にしてましたもんね。日本では一部でトンチンカンな読まれ方をしただけで、なんとも不思議なことにほとんど評判になりませんでしたし。いやでも、わたしにとっては年間ベストのむちゃくちゃいい本でした。

ということで新作の Run にも期待してしまいます(って、過去の作品もかなり集めたのに、ぜんぜん読んでないのはなぜだ^^;)。前作はノンフィクションでしたので、小説としては 2001年の『ベル・カント』以来ということになりますかね。

大家族を夢見ながら果たせなかった妻は、一人息子では満足せず、黒人の兄弟を養子にします。ところがその妻は、兄弟がまだ幼いうちに他界し、二人の世話は主人公に委ねられたのでした。兄弟は健やかに育ち、兄は魚類学者になるべくハーヴァードへと進学し、弟は聖職者になりたいという希望を持ち始めます。とはいえ、ボストンの市長を務めたこともある主人公は、息子の誰かを政治家にしたいという願いを捨て切れません。兄弟は父親に引きずられてジェシー・ジャスソンの演説を聴きに行きますが、反発した弟は、勢い余って道路へと飛び出してしまいます。そこへ向かってくる一台の車……。間一髪で急場を救ったのはひとりの黒人女性でしたが、彼女は大怪我を負い病院へ。その場に残された11才の娘を代わりに世話する主人公ですが……どうもそこには隠された動機があり、その後の登場人物たちの人間ドラマのなかで、秘密が解きほぐされていくようですね。

Run (us edition)『ベル・カント』のようなインパクトのある設定ではないようですが、パチェットを読む楽しみは、極上の文章で語られる、ユーモアと痛みに等分に筆を割いた包み込むような物語なので、正直、特別に凝った筋立ては要らないのかもしれません。『ショコラ』のジョアン・ハリスにも通じるような、いつ奇跡が起こっても不思議じゃない(けど物理的には起こらない)張り詰めたような雰囲気はきっと健在なんでしょうね。そう、ほんの少しでもショックを与えると結晶が現われる、あるいは凝縮が始まるという過飽和状態を維持するのが天才的にうまい作家なんです。

基本的にアメリカ作家の作品は米版で買うことにはしてるんですが、夏に出るのに雪景色という英版の表紙もきれいですので、英版買っちゃいましょうかね。ま、結局両方そろえちゃいそうな気もしますけど。ちなみに『ベル・カント』は珍しく邦訳も読みましたけど、パチェットの独特の雰囲気は翻訳ではなかなか出ないので、原書で読むことをお薦めします。それにおそらくこの新作はよほど評判にならないと翻訳されないでしょうし。

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Thursday, August 16, 2007

Spaceman Blues: A Love Song, by Brian Francis Slattery

Spaceman Blues: A Love Songう~ん、今年はスーパーヒーローものの当たり年みたいですよ。なんだかよくわからないこの本も大当りになりそうな予感が。なんせ、marginalia のお好み系の作家がこぞって誉めてます。ハーラン・エリスン®は別格としても、ジェフ・ヴァンダーミアにジェイ・レイク、キャサリン・M・ヴァレンテときては、むむむ、と思う人も多いのでは? わたしの好きなジム・ニプフェルのとぼけた紹介も目を引きます:

“It happens only very rarely--you read a book by a new author, and all you can say is ‘wow.’ That was the case with Spaceman Blues: ‘Wow.’ To say anything more would mean the inevitable descent into cheap clichés--‘hooked by the first paragraph,’ ‘dizzying,’ ‘a visionary roller-coaster ride,’ ‘reminiscent, if anything, of Thomas Pynchon in its scope, its explosive imagination, the swirling, jazzy flow of the prose.’ So much can and should be said about Mr. Slattery's debut--but I think I'll just stick with a simple ‘wow’--or if you prefer a visual summation, try an exclamation point on fire.”

じつはマット・チーニイがかなり前から大絶賛だったので気になっていたのですが、チーニイによれば Oh Pure and Radiant Heart、Octavian Nothing、The Exquisite,、The People of Paper と並ぶような特別な本ということで、これはやはり、むむむ、ですね。

ほかにもピンチョンとスタインベックを掛け合わせてダリが描いたような作品とか、ディックのパラノイアをミエヴィルや(コリイ・)ドクトロウとたち打ち出来るような現代のスタイル・センスで包んだ作品、なんていってる人もいますんで、読む前からいろいろ想像がふくらみます。ドクトロウの傑作 Someone Comes to Town, Someone Leaves Town みたいな作品なのかも、とか。

でまあ、実際のところストーリイはどっちでもいいらしいんですが、行方不明になったニューヨークの社交家の足取りを追う恋人のウェンデル・アポジーを主人公に、トラウトとサーモンという二人の刑事を初めとするたがの外れた人々を配し、失せ物が見つかるというニューヨークの裏側の世界ダークタウンを舞台にして、カルトな終末宗教や異星人の侵略を描いたものとのこと。ウェンデルはすべてを投げ打ってスーパーヒーローのキャプテン・スペースマンにならなきゃいけないみたいですね。で、このスラップスティックに重ね合わせて、ジャジーな文章でニューヨークにちなんだサブカルチャーや移民の社会が描かれる、シュールでポストモダンな作品といわれては、つい触手が伸びちゃう人も多いんじゃないでしょうか。

ブライアン・フランシス・スラタリーはこれがデビュー作だそうです。作者のサイト第1章が読めますが、たしかに情報過多の寄り道の多い叙述で力をためておいて、時々文字通り爆発させてしまう文章ですね^^) いやでも緊迫感とは無縁のこのカバー、かわいいですけど、どう見ても手抜きとしか思えませんね。Tor から出てるんでいちおうSF……なのかな~? ハードカバーと同時にペーパーバックも出てますんで、あの京都の某洋書専門店にはもう並んでるかもしれませんよ。店員さんが手をつけちゃってなければ、ですが。

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Saturday, August 11, 2007

"Old Men in Love" by Alasdair Gray

なんてこと! marginalia、2週間以上も更新が滞っているじゃないですか~。というわけで、ドツボからちょこっと這い出てきました。なんかほとんどワールドコン・ヒューゴ賞特集と化していますが、空気の読めない私はそんなこと気にせず全然違う話題行っちゃいます。

20世紀スコットランド文学の金字塔ともいえる(いいすぎ?)"Lanark" の翻訳がやっとこさ日本で出る(はず)のアラスター・グレイですが、本国英国では "Poor Things" 以来10年以上ぶりの新作長編 "Old Men in Love" が今年10月に出ちゃいますよ~。

シノプシスによると、イギリスの労働党政権下ペリクレス時代のアテネ、ルネッサンス期のフィレンツェ、ヴィクトリア朝のサマーセット地方がごちゃまぜになって、スコットランドのグラスゴーから語られる、虚実ないまぜのアラビアン・ナイト形式の枠物語とか。意味不明? 大丈夫! グレイ・ファンの quark さんが味見して感想書いてくれますから!(あっちじゃなくて、こっちに書いてね> quark さん)

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Saturday, July 21, 2007

Tunnels, by Roderick Gordon & Brian Williams

Tunnels巷ではハリポタの日ということで、ほんのちょっとそれにちなんだ話題を。

J・K・ローリングやコルネーリア・フンケを発見したことで話題の編集者が(まあフンケの場合は英語圏に広めたっていうだけだと思いますけどね)、次に期待をかけている作品というふれこみの Tunnels ですが、ペーパーバックだし、安いし、とりあえず注文したのが今日届いたんですが、これって2年前に出た自費出版本を大手が取り上げた再刊なんですよね。

The Highfield Mole @ amazon.co.ukそこまでは知ってたんですが、今日チェックしてみて、元のタイトルが The Highfield Mole だったことを知り、なんとなく記憶にあったので探してみたら、はは、サイン入りのハードカバー持ってました^^; なんか 500部限定ということで、2,000ドル以上してますね。いや、うちのは埃かぶってますので、もう少し値打ちあるかも^^)

中身は例によって読んでませんが、父親を追って友達と洞窟に入り込んだ少年が、なにやらとてつもない秘密に行き当たり、冒険が始まるというシリーズの第1巻のようです。まあそれほど人気が出そうな感じはしませんが、アマゾンの読者評は悪くはなさそうですね。

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Thursday, July 19, 2007

Attack of the Unsinkable Rubber Ducks, by Christopher Brookmyre

Attack of the Unsinkable Rubber Ducksなんかすごい本を見つけてしまいましたよ。中身はまあどっちでもいいんですが、この趣味の悪いカバーとタイトルを見てください。誰向きの本かはもういわなくてもわかりますよね。8/2 発売ということですので、近々某京都の洋書専門店に山積みになるのは間違いないでしょう^^)

クリストファー・ブルックマイアといえば、イギリスのユーモア系のミステリ作家としては第一人者なんですが、日本ではあんまり知られてませんね。わたしもまだ1冊も読んだことないので、そろそろ試してみようかとは思うんですが、やっぱりこの本に手を出すのはさすがに恥ずかしいかも。

超能力の嘘を暴こうと奮闘する牧師が災難にあう話みたいですが、"unsinkable rubber ducks" っていうのは、ほんもののアヒルのオモチャということではなくて、超能力の存在を本心から信じている人のことを指しているみたいですね。う~ん、やっぱりラバー・ダッキーっていうのは、アブナイ人向けのものなんでしょうか^^;

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Sunday, July 08, 2007

Karma Girl, by Jennifer Estep

Karma Girlげげげ、チック・リットにロマンスにファンタジイなんて書いてありますよ。パラノーマルなんて禁句も出てきます^^;

もちろんわたしはこんな本は買わないし読まないどころか、まったく興味もないんですが、なにやらスーパーヒーローやユーバーヴィラン(なんでこういうときだけドイツ語が出てくるんだ)のイクスポゼをしている女性レポーターが、フィアンセがなんとスーパーヒーローで、しかも彼女の親友と浮気をしているところを発見してしまうんだとか。ううむ、かなりむちゃくちゃな展開になりそう。

どなたか味見してみませんか。ほらほら、表紙もタイトルもバッチリきまってるし。

作者ジェニファー・エステップのこれがデビュー作のようですが、すでに続編が2冊も決まってるようですね。2作目は Hot Mama だって^^;

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Saturday, June 23, 2007

Samsara Junction, by Jon Courtenay Grimwood

サムサーラ・ジャンクションいやまあ redRobe の邦訳ですけどね、うちのブログでおなじみのジョン・コートニー・グリムウッドの、長編としては初めての翻訳が『サムサーラ・ジャンクション』のタイトルで出ましたのでポストしておきます。邦題は本人も気に入ってました。ちなみに、"Courtenay" は「コートニー」で正しいそうです。

なんか古臭いタッチの、死神みたいな主人公の絵ですね。ほんとはもう少しコミカルなキャラなんですが。口を縫い付けられた少女娼婦マイをドアップにしたカバーだったら、もっとインパクトあったんじゃないかと思うんですが、さすがにそういうわけには行かなかったんでしょうね^^;

昔書いた redRobe の紹介はこちら

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Friday, June 15, 2007

Mr. Sebastian and the Negro Magician, by Daniel Wallace

Mr. Sebastian and the Negro Magicianダニエル・ウォレスの新作の登場ですね。『ビッグフィッシュ』以来ファンなんですが、Ray in Reverse『西瓜王』はいまひとつだったかも。そういえば小出版社から出た短編集が積読になってました。

新作は 1950年代のアメリカ南部を舞台に、落ち目の手品師が悪魔と思しき男と取引をして……といいながら、全然ファウストものの展開じゃないらしいので、なかなか期待が持てそうですね。どうもまた親子の話が背景にありそうですし。ちょっとマグリットふうのカバーもよさそうです。

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Thursday, June 14, 2007

The Neddiad: How Neddie Took the Train, Went to Hollywood, and Saved Civilization, by Daniel Manus Pinkwater

The Neddiadまた粗筋を読んでもよくわからなそうな本ですよ。

1940年代のロサンゼルス。シカゴからLAに引っ越す途中に、父親と離れ離れになったネディーは、シャーマンから隕石に刻んだカメのお守りをもらい、映画スター親子や幽霊のベルボーイと知り合いになり、一緒にLAを目指します。ところが、グランド・キャニオンで現われたのが、カメのお守りを狙う悪者サンダー・ユーカリプタス。さてさて、ネディーは無事に地球を悪者の手から救うことができるんでしょうか?

え、なんで地球? まあ宇宙人も出てくるみたいですし、サーカスのトリックをするマンモスも現われるようですし、本のタイトルも The Iliad を模した The Neddiad ですからね、少年のアメリカ横断の話が地球規模の大事件になることぐらいお茶の子さいさい……。

……って、作者名を見たら、あの Lizard Music のダニエル・ピンクウォーターじゃないですか! これは買わなきゃ。

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Saturday, June 09, 2007

"The Imago Sequence and Other Stories" by Laird Barron

The Imago Sequence and Other Stories例によって表紙をブラウズしていて引っかかったのですが、拡大しても人が3人いるようだけど、よく分からない~。う~ん、マクベスの3人の魔女かしら? 色彩とレイアウトは好きかも。

この短編集の作者はレアード・バロン……。おお、表題作 "The Imago Sequence" は昨年の世界幻想文学大賞ノヴェラ部門と IHGA 賞長編部門にノミネートされてた作品じゃないですか。おっと、"Proboscis" は IHGA 賞中編部門に、"Hallucigenia" はブラム・ストーカー賞長編部門にノミネートされてました。おおお、"Bulldozer" は一昨年の IHGA 賞中編部門に、"Old Virginia" は 2004年のノヴェレット部門にノミネート……ってことは、質の高い作品をコンスタントに出してる作家のようですね。

"Bulldozer" と "Parallax" は Sci Fiction で読むことができるので、時間のあるときにでもちょこっと読んでみようかと思います。作風はラヴクラフトとかルーシャス・シェパード系とか。目を凝らしてみると、この短編集の表紙にはケリー・リンクのブラーブが~。ジョー・ヒルと並んで、要注目ホラー作家でしょうか。

なんというか、アラスカ生まれで、犬橇レースに出たこともあるホラー作家というのも珍しいですね。

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Thursday, May 31, 2007

Endless Things, by John Crowley

Endless Things長らく出版社が見つからなかったジョン・クロウリーの Ægypt 4部作の最終巻、ケリー・リンク/ギャヴィン・グラントの Small Beer Press が引き受けて無事に出版の運びとなったんですが、ずっと第1巻の『エヂプト』の邦訳を待ってたみなさん、いつのまにか Ægypt という作品は消えてしまったことはご存知でした?

じつは8月に出版予定の The Solitude という作品が著者決定稿による Ægypt の改訂版で、シリーズ構成は下記となります。

  1. The Solitude (1987)
  2. Love & Sleep (1994)
  3. Daemonomania (2000)
  4. Endless Things (2007)

どうも Ægypt というのはシリーズ名に格上げされたみたいですね。

ちなみに、2巻と3巻も Overlook から再刊の予定で、ひょっとしたらこれらにも作者の改訂が入るんじゃないかという憶測も流れてます。うう~ん、せっかく完結したので、掘り出して読み始めようかと思ったのに、これじゃ当分読めないじゃないですか^^;(いやまあ、かなり嘘ですけど)。

まあ、ともかく、これから読み始めようとお思いの方は、The Solitude を待つことをお薦めします。

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Sunday, May 20, 2007

The Camel Bookmobile, by Masha Hamilton

The Camel Bookmobile (UK)ケニアを舞台にしたラクダが運ぶ移動図書館の話ということで、このイギリス版のカバーを見てしまってはどうも手を出してしまいそうですね。

遊牧民族のもとに本を届けるラクダの隊商を心待ちにしている少女。トム・ソーヤーとかドクター・スース、とっても役に立たないヴェジタリアンの料理の本なんてのがお好みのようですね。The Camel Bookmobile (US)

ところが、部族の口伝えの伝統が乱されると反対する人々も多く、あるとき2冊の本が貸し出されたまま行方不明になってしまいます。本はすべてきちんと返すというのがこの図書館の存続の条件だったからさあ大変。なんとなく『No.1 レディーズ探偵社』が扱いそうな事件の予感が^^)

作者マーシャ・ハミルトンの3作目ということですが、アメリカの作家のようですけど、中東を舞台にした、時には幻想性も取り入れた作品を書いているようです。Booksense に立て続けに選ばれているところを見ると、書店や本好きの人に好まれる作風のようですね。

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Friday, May 18, 2007

Win a Signed Copy of Useless America by Jim Crace

Useless Americaジム・クレイスの幽霊本(って、幽霊が出てくるわけではなくて実在しない本のことですけど)Useless America については以前取り上げましたが、なんと、Powells.com ではほんとうにこの本を出版してしまうそうですよ。限定75部で作者のサイン入り、クレイスの架空の題辞にちなんで、うまい題辞をでっち上げた人に進呈されるとのことです。5/28 締め切りで誰でも応募できるようですので、脛に傷のある方……、じゃない、腕に覚えのある方はトライしてみてはいかがでしょう。まあ実際は題辞の部分のみが本物で(つまり今回の受賞作品で)、本文の部分はブランクなんだそうですが。

The Pesthouse (UK)The Pesthouse (US)で、クレイスの本物の新作の The Pesthouse のほうは、放置された環境問題のせいで中世に逆行してしまったアメリカが舞台ということで、コーマック・マッカーシーの The Road なんかと比較されているようですが、イギリス作家の描くポスト・ホロコーストのアメリカは一味違って面白そうですよ。といいながらまだ積んだままですが^^;

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Thursday, May 17, 2007

The Music of Razors, by Cameron Rogers

The Music of Razors2001年にオーストラリアで出版された作品のアメリカ・デビュウということですが、すごく面白そうなんですけど、どのあらすじを読んでも、どんな話なのかいまひとつよく分かりません。

どうもサマエルとともに天から堕ちた天使の一人が特殊な力を秘めた骨を残し、2世紀に亙ってそれを守ってきた銃弾摘出専門の医者が、跡継ぎを求めて現代の少年に接触するんですが、少年は守護霊と一体化してしまって……で、なにが起こるんでしょう。この医者というのも悪いやつなのか、なにを狙っているのか気になりますね。堕天使とハンターの争いに巻き込まれた2人の主人公の話なんでしょうか。

うむむ、作者キャメロン・ロジャーズのサイトにも、この本のプロモーション用サイトにも、これといった手掛かりはなさそうですね。いやまあなんにしてもハル・ダンカンの Vellum ほど理解不能ということはないでしょうから、手を出してみる価値はありそうです。

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Tuesday, May 15, 2007

Soon I Will Be Invincible, by Austin Grossman

Soon I Will Be Invincibleううむ、どうしても無視して通り過ぎることのできない悪趣味なカバーです。いえ、当たり前のスーパーヒーローものには全然惹かれないんですが、こういういかにもヘンテコそうな作品には思わず手を出してみたくなります。

自らの力を天下に知らしめようと、地球の公転軌道をずらし寒冷化を画策するマッド・サイエンティスト Doctor Impossible に対するは、リーダーが行方不明になってしまったため、やむなくスーパーヒーローのチーム「チャンピオンズ」を率いる羽目になった新米サイボーグ Fatale(ファタールですからもちろん女性です)。とはいえ二人とも自らの仕事や存在意義に疑問を抱えているようですね。

どう考えてもオフ・ビートな展開になりそうなこの作品、本職はビデオ・ゲーム・デザイナーだというオースティン・グロスマンのデビュー作ですが、この人、『コーデックス』の邦訳のあるNYタイムズのレヴュア、レヴ・グロスマンの兄弟らしいです(う、年齢が近そうだと思ったら、この2人双子じゃないですか)。なおさら一筋縄では行きそうにありませんね。プロモーション用のオフィシャル・サイトはこちら(あっさりしてて期待はずれです^^;)

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Wednesday, May 09, 2007

Reality Leak, by Joni Sensel

Reality Leakまた面白そうな児童書見つけましたよ。木箱に入って町に到着したアーチボルド・キーンは、打ち捨てられた工場を買い取って Acme, Inc. というなにやら怪しい会社を始めます。種の代わりにポップコーンを蒔いたり、見えないインクを開発したり……。ウィリー・ウォンカのチョコレート工場のイメージですかね。

トースターから手紙が出てきたり、シャボン玉が文字になったり、線路のないところを列車が走り出したり、これは怪しいと思ったブライアンは、自分が犬だと思っている女の子スポットとともに、アクメ工場を探ることにしますが……。

作者のジョニ・センセルのサイトによれば、来年出版が予定されている10世紀のケルトの僧院を舞台にしたファンタジイも面白そう。

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Tuesday, May 08, 2007

Verdigris Deep, by Frances Hardinge

Verdigris DeepFly by Nightフランセス・ハーディンジ(ハーディングかも)の2作目ですが、続編というわけではないようですね。Fly by Night は『プリンセス・ブライド』を思わせるようなルリタニアもので、凝った文章といいひねくれた展開といい、最近の児童書ファンタジイでは出色の出来でしたが、こちらもヘンテコそうですね。

帰りのバス代がなくなってしまったリャンとジョシュとシェルは、古びた井戸に投げ込まれていたコインを拝借します。それからというもの、3人の周りでは奇妙なことばかり。リャンの手首にはあざが現れて幻覚を見るようになるし、ジョシュが触った電球は突然爆発するし、シェルは誰かが乗り移ったような話を始めるし。すべては井戸の魔女の仕業でした。

ということで、魔女の僕にされてしまった3人はさらに恐ろしい目に遭うようですね。ちなみに verdigris というのは緑青のことだそうですが、それにあわせたカバーもなかなかそそります。

ハーディンジは、子供におもねない文章といいシニカルな描写といい、そのうち大人向けの作品に手を出す作家だと思いますので(わたしの勘はけっこう当たるんですよね、ウィリアム・ニコルスンとかクリス・ウッディングとか)、当分目を離せそうにありません。

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Friday, May 04, 2007

Logorrhea: Good Words Make Good Stories, edited by John Klima

Logorrhea: Good Words Make Good Storiesナショナル・スペリング・ビー・コンテストの難問をテーマにしたアンソロジイだそうです。難しい綴りの単語をいかに正しく書けるかを競うコンテストだけあって、なにやら見たことがない単語や、見覚えはあるけど意味が全然浮かんでこない言葉が選ばれてますね~。日本で言えば、さしずめ漢字検定のトップクラスの難字に当たるんでしょうか。21編収録ということですので、これを読めば 21の難しい単語の意味と綴りが身につくという、一石二鳥の優れものです。とはいえ、正しく解説されているのかどうかは保証の限りではありませんけど^^;

収録作をリストしておきますけど、作者のほうはうちのブログではおなじみの人ばかりですね。ハル・ダンカンの "The Chiaroscurist" も再録されてますし。表題作の "Logorrhea" の作者ミシェル・リッチモンドだけは初めて目にする名前ですが、わたしが知らないだけみたいですね。編者のジョン・クリーマは Electric Velocipede という小雑誌を個人で編集して出版している人で、こちらもおなじみですね。

  • Hal Duncan - The Chiaroscurist
  • Liz Williams - Lyceum
  • David Prill - Vivisepulture
  • Clare Dudman - Eczema
  • Alex Irvine - Semaphore
  • Marly Youmans - The Smaragdine Knot
  • Michael Moorcock - A Portrait in Ivory
  • Daniel Abraham - The Cambist and Lord Iron: A Fairy Tale of Economics
  • Michelle Richmond - Logorrhea
  • Anna Tambour - Pococurante
  • Tim Pratt - From Around Here
  • Elizabeth Hand - Vignette
  • Alan DeNiro - Plight