Thursday, January 31, 2008

27 Big Picture Illustrators nominated!

先日「ネスレ子どもの本賞」の中止という残念なニュースをお伝えしたばかりですが、その運営に当たっていたブックトラストが、絵本の良さをもっと知ってもらおうという「ビッグ・ピクチャー」キャンペーンを展開中です。

ブックトラストによると、このたび2000年以降に英国で出版された絵本の中から、27人の優れたイラストレータが出版関係者らによって選出されました。さらにこの中からビッグ・ピクチャー委員会が10人を選び、3月31日のボローニャ国際絵本原画展で結果が発表されるとのこと。選ばれた10人のイラストレータは、絵本の重要性をアピールする活動に今年いっぱい従事するそうです。詳細についてはビッグ・ピクチャーのオフィシャル・サイトで。

ロングリストに入っているエミリー・グラヴェットミニ・グレイジョエル・スチュワートは、marginalia でも以前ご紹介したお気に入りイラストレータでもあるので楽しみ♪ このキャンペーンで絵本のイラストレータにもっと脚光があたるようになって、良質な作品がたくさん出版されるようになるとうれしいです。

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Saturday, October 27, 2007

Poe Illustrated

やっと秋めいてきてハロウィーンも近いってことで、イラスト版ポー特集なんていかがでしょう?

Poe Illustratedまずはこの夏に出た "Poe Illustrated: Art by Dore, Dulac, Rackham and Others"。副題が示すようにドレ、デュラック、ラッカム、ウィリアム・ヒース・ロビンソン等 19世紀末から 20世前半のアーティストによるポー作品の 100以上に及ぶイラストが収録されているようです。私が持っている岩崎美術社の『エドガー・A・ポウと世紀末のイラストレーション』と時代的にかぶってるんですが、この中では個人的に創元推理文庫の「ポオ小説全集」にも採用されているハリー・クラークの絵が好きですね。彼の作品が一番ポーに合ってるんじゃないかと思うのですが、どうでしょう? ハリー・クラークのイラストはこちらで、ウィリアム・ヒース・ロビンソンのイラストはこちらで見ることができます。Poe: Illustrated Tales of Mystery And Imagination

この現代版といえる本  "Poe: Illustrated Tales of Mystery And Imagination" が昨年末に出ています。ウスグロウ、カサラモーナ、ジェン・レイ、ブライアン・ユーイング等、最近のアーティストによるものということですが、こちらは気になりながらもあまりの値段の高さEdgar Allan Poe's Tales of Mystery and Madnessに手をだせないでいます。どなたか味見してくれるとうれしい♪

ポーといえば思いっきり暗いイメージですが(2004年発売とちょっと古いですが)グリス・グリムリーは "Edgar Allan Poe's Tales of Mystery and Madness" でなにやらコミカルなポーを描いています。内容にはちょこっと手を加えているようですが、このコミカル・タッチがまた、とても合ってるように思えるから不思議です。表紙の地中の憔悴しきった悩ましい顔のポーもいい味出してますね~。

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Wednesday, August 15, 2007

Death By Chocolate: Redux, by David Yurkovich

Death By Chocolate: Reduxううむ、夏にはむちゃくちゃ鬱陶しいヒーローの登場ですよ。スイスの怪しいキャンディ工場で、ついうっかり溶けたチョコレートの桶に落ちた主人公は(たぶん ISO 9001 の認定は受けてないんでしょうね)、そこに巣くっていた異星生物と一体化して、純チョコレート人間となってしまいます。ウィリー・ウォンカの工場では落ちた人間はチョコレートの原料になりますが、こちらでは逆。誤って死なせてしまった人間を助けるウルトラマンと設定がそっくりですね^^)

で、触れるものすべてをチョコレートに変える能力を身に着けたミダス王のような主人公、悪の道に堕ちてたんですが、FBIに捕まって改心し、エージェント・スウィート(Swete)として、食べ物がらみの犯罪に挑むことになります。なにやら人語を話す異次元犬ジェフリイや、作家のヘミングウェイと知り合いになって、不死を授ける「永遠パスタ」の盗難事件や、なんでも貪り食う3人組と渡り合うようです。かなりノワール・タッチということですが、スウィートなのにブラック・チョコレートですか^^;

なんか悲劇的な結末が待っていそうな予感がしますが(まあチョコレート人間の末路ですからね~)、これはやはり鬱陶しさを我慢しても夏に読まないと実感が湧かないでしょう。脳みそがチョコレートになっちゃいそうな気もしますけど……。

ちなみにこの作品に合うチョコレートといえば、やっぱり中がとろとろになったリンツのリンドールでしょう。げ~っ、考えただけでも涎が……じゃない、吐き気が^^;

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Thursday, June 07, 2007

"World Behind the Door: An Encounter with Salvador Dali" by Mike Resnick

World Behind the Door: An Encounter with Salvador Daliダリは子供のころからすっごく好きだったので、「記憶の固執」の表紙で思わずチェック! なんと『キリンヤガ』のマイク・レズニックのYA向けの新作でした~。

シュールでメタフォリカルなところが魅力のダリの作品群。ところがダリったら、ちょくちょく平行世界に行っては、謎の少女から絵画のアイディアをもらってたそうなんです。そう言われてみると、シュールレアリスム(特にダリ)と量子物理学って、妙にマッチしている気がしませんか?(気のせい?)

いずれにしてもダリの作品の新たなヒミツが明かされるとあれば、ダリ・ファンとしては読まずにはいられませんね。ハイゼンベルクやフロイトなどの実在の人物も登場するようですが、フロイトがダリの夢判断をしたらいったいどんなことになるんでしょうか。Lady with an Alien: An Encounter with Leonardo da Vinci

この作品、Art Encounters シリーズの1作なのですが、レズニックではダ・ヴィンチの「白貂を抱く貴婦人」の真実に迫る "Lady with an Alien: An Encounter with Leonardo da Vinci"(貂じゃなくて、エイリアンだったのね~)と、ロートレックの「ムーラン・ルージュ/ラ・ギュール」を扱った "A Club in Montmartre: An Encounter with Henri Toulouse-Lautrec" に続く3作目みたいです。他の作者では、フリーダ・カーロ、ジョン・シンガー・サージェント、ファン・アイクなどを題材とした作品もあって、個人的にけっこう好みの画家が取り上げられているので、ちょっと気になりますね。ご興味のある方は、出版社サイト(一番下)をご覧下さい。シリーズのコンセプトとしては、美術に親しんでもらうためのYA本ってことで、画家に関するちゃんとした資料も一応ついているようです(ってことで、アートのカテゴリに入れときます)

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Sunday, May 27, 2007

"The Professor's Daughter" by Joann Sfar (Author), Emmanuel Guibert (Illustrator)

The Professor's Daughterフランスにもヴィクトリア朝ブームが伝染したのでしょうか。ジョアン・スファーエマニュエル・ギベールのフランス人コンビによる合作 "The Professor's Daughter" は、ヴィクトリア朝ロンドンが舞台のグラフィック・ノヴェルです。

表紙をよ~く見ると、ごく普通の恋人同士の楽しそうなデートのようでいて、なにやら異様な……。そう、このふたり、エジプト学の教授の娘と、なんと(!)現代に蘇ったミイラというカップルなんです。ミイラのお父さんまで出てきて、それもヴィクトリア女王を誘拐しちゃうというので、すっごいドタバタコメディの予感。

【追記】
この作品のフランス語原書 "La fille du professeur" は1997年出版なので、ヴィクトリア朝ブームにのって英訳版がやっと出版されるって感じみたいですね。フランスのアングレーム国際BDフェスティバルで毎年選ばれるルネ・ゴシニー賞(Le prix René Goscinny)を1998年に受賞しています。

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Wednesday, May 23, 2007

A.L.I.E.E.E.N.: Archives of Lost Issues and Earthly Editions of Extraterrestrial Novelties, by Lewis Trondheim

A.L.I.E.E.E.N.: Archives of Lost Issues and Earthly Editions of Extraterrestrial Novelties時にはこういうかわいいエイリアンの絵本なんてどうでしょう。

作者のルイス・トロンドハイムが森の中で見つけた絵本、少々くたびれてますが、どうも地球で作られたものではなさそうです。登場するかわいいエイリアンたちは理解できない言葉で話しているそうですけど、そこはそれ、絵本ですから大体推測がつきそうですね。

で、シュールな背景の中でどんなことが起こるかというと、こちらにサンプルのゲームがありました。そう、みんなで遊んでエイリアンの手助けをしてあげましょう^^)

いや、どうみてもこれは Bunny-O-Calypse か Bunny Suicides の世界ですね。BGM はやっぱり The Suicidal Birds でしょうか。

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Sunday, May 13, 2007

"Alligator Boy" by Cynthia Rylant (Author), Diane Goode (Illustrator)

Alligator Boyおお~、これはオオトカゲの亜種、コドモドラゴン!……じゃなくて、ワニの着ぐるみを着たただのコドモですね。

人間のコドモでいるのに飽き飽きしてしまった少年が、母親の心配をよそにワニの姿で暮らすのだそうですが、いったいどんなことになるのでしょう。

こちらでちょこっと中身を見ることができるんですが、ちょっと古めかしくて懐かしい感じのイラストがかわいいです。イラストレータはコールデコット受賞者のダイアン・グッド。

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Friday, May 11, 2007

Samorost

Samorostウェブでできるちょっとしたアドベンチャー・ゲームなんですが、背景といいキャラクタといいこれがじつにかわいいんです^^) なんとなく以前に紹介した Conclave Obscurum99 rooms を親しみやすくしたような雰囲気ですね。

小惑星に住む小人さんが、他の小惑星から攻撃を受けて調査に向かうんですが、これがまあヘンテコなところにヘンテコな生物がうじゃうじゃいて、はてさて小人さんは無事に帰れるんでしょうか……。

Samorostいやまあハゲタカにさらわれたりアリクイに喰われたり危険なことだらけなんですが(ちょっと誇張が含まれてます)、死んでゲームオーバーということにはならないとっても優しい設計のようです。

Samorost 2 のほうはダウンロード版が 800円ということですが、Samorost 1 はフリーでプレイできます。ただし Flash プレーヤが要るようですね。とりあえず無料版で遊んだんですが、ううむ、800円だし、買ってしまおうか……。

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Wednesday, May 02, 2007

Persepolis: Le Film

Persepolis: Le Filmひぇ~、知らないうちに『ペルセポリス』がアニメになってました。MySpace のオフィシャル・サイトでトレーラーが見られますが、白黒のマルジが動いてます!

本物のおばちゃんマルジのインタヴュウ映像もありますね。なんていってるのかはわたしに訊かないでください^^; サトラピ自身がコ・プロデューサとして参加しているので、これは間違いなく期待できるでしょう。

フランスでは 6/27 封切りのようですが、果たして日本でも公開されるんでしょうか。まあどうせ DVD になったら即座に買いますけど。ともかく楽しみ~^^)

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Thursday, April 26, 2007

"God Save the Queen" by Mike Carey, John Bolton(Illustrator)

God Save the Queen"X-MEN" や "Lucifer" などの代表作があるコミック・ライターで、昨年 "The Devil You Know" で小説家デビューも果たしたマイク・キャリーと、写実的な作画が売りのジョン・ボルトンのコンビによるこのグラフィック・ノヴェル、シェイクスピアの『夏の夜の夢』からアイディアをもらってるようなんですが、このキョーレツなインパクトのある表紙から察するに、パンクなノリのハチャメチャコメディって感じでしょうか。タイトルは英国国歌というよりは、ピストルズ? いずれにしてもこのクィーン、エリザベス2世ではなさそうです。

主人公は、ロンドン北部に住む不良少女リンダ。クラブ通いで知り合った連中に人間の血を混ぜたヘロインをもらって試してみると、いつの間にか妖精郷の女王マブとティタニアの権力闘争の真っ只中に。というわけで、ドラッグの彼ら、妖精だったんですね(ずいぶん荒んだ妖精だ~)。そしてリンダ自身についても意外な事実が……。

出版社サイトで、数ページ見ることができるのですが、けっこうお馬鹿で笑えそうです。なんかコワイもの見たさで買っちゃいそうなんですけど。

ジョン・ボルトンは、クリストファー・ファウラー原作で "Menz Insana" というグラフィック・ノヴェルも出してたみたいですね。

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