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Wednesday, October 31, 2007

Scariest Characters in Literature

AbeBooks.com で、文学に出てくる恐ろしいキャラクタのアンケートを取ったようですが、ハニバル・レクターかスティーヴン・キングのホラーの登場人物が1位になるのかと思ったら、『1984年』のビッグ・ブラザーでしたか。けどでも、あれってキャラクターなんだろうか??

これを受けてガーディアンのブログでも読者のコメントを受け付けてますが、こちらでは『アメリカン・サイコ』のパトリック・ベイトマンが強いようですね~。もちろんわたしはああいう鬼畜本は読まないので、なんともコメントはできませんが。他にも Blood Meridian の判事や The Use of Weapons の椅子制作者が複数の評を集めてます。ううむ、The Use of Weapons だけは読みましたけど、確かにえぐいです。

さてさて、他にはどういう怖いキャラクタがいるんでしょうか。quark さんと gardener さんで「普通の人は読んじゃいけない怖い本ガイド」でも作ってくれると、安心して避けて通れるんですけどね^^)

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Tuesday, October 30, 2007

Where the Wild Things Are on Film

モーリス・センダックの『かいじゅうたちのいるところ』が実写映画になるそうですよ……っていっても、公開は 2008年の10月ということで、1年も先の話ですが。

監督のスパイク・ジョーンズとともに脚本を担当するのはなんとデイヴ・エガーズ。もともとは絵本なので、長編映画化ということでは余計なエピソードで膨らませて台無しにならないかという点が心配ですが、心理的な描写に重きを置いて原作に奥行きを与えるようなしっかりした台本になっているようです。期待できそうですね。

この作品の映像化ということでは、作曲者のオリヴァー・ナッセンが指揮したグラインドボーンのオペラのライヴ映像を見たことがありますが、正直音楽ともどもかなり退屈だったような記憶が……^^; センダックが美術を担当した『三つのオレンジへの恋』のほうが遥かに印象に残っています。アニメ化ということでは 1983年にディズニーが手を出しかけたということですが、実現しなくてよかったですね。これとは別に 1988年にセンダックを絵を元に短いアニメが制作されたそうですが、こちらは youtube に上がってます。画質はいまいちで残念ですが、なかなかチャーミングな出来なのでリンクしておきましょう。

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Saturday, October 27, 2007

Poe Illustrated

やっと秋めいてきてハロウィーンも近いってことで、イラスト版ポー特集なんていかがでしょう?

Poe Illustratedまずはこの夏に出た "Poe Illustrated: Art by Dore, Dulac, Rackham and Others"。副題が示すようにドレ、デュラック、ラッカム、ウィリアム・ヒース・ロビンソン等 19世紀末から 20世前半のアーティストによるポー作品の 100以上に及ぶイラストが収録されているようです。私が持っている岩崎美術社の『エドガー・A・ポウと世紀末のイラストレーション』と時代的にかぶってるんですが、この中では個人的に創元推理文庫の「ポオ小説全集」にも採用されているハリー・クラークの絵が好きですね。彼の作品が一番ポーに合ってるんじゃないかと思うのですが、どうでしょう? ハリー・クラークのイラストはこちらで、ウィリアム・ヒース・ロビンソンのイラストはこちらで見ることができます。Poe: Illustrated Tales of Mystery And Imagination

この現代版といえる本  "Poe: Illustrated Tales of Mystery And Imagination" が昨年末に出ています。ウスグロウ、カサラモーナ、ジェン・レイ、ブライアン・ユーイング等、最近のアーティストによるものということですが、こちらは気になりながらもあまりの値段の高さEdgar Allan Poe's Tales of Mystery and Madnessに手をだせないでいます。どなたか味見してくれるとうれしい♪

ポーといえば思いっきり暗いイメージですが(2004年発売とちょっと古いですが)グリス・グリムリーは "Edgar Allan Poe's Tales of Mystery and Madness" でなにやらコミカルなポーを描いています。内容にはちょこっと手を加えているようですが、このコミカル・タッチがまた、とても合ってるように思えるから不思議です。表紙の地中の憔悴しきった悩ましい顔のポーもいい味出してますね~。

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Thursday, October 25, 2007

"Sputnik Caledonia" by Andrew Crumey

Sputnik Caledonia突然ですが、今年はスプートニク打ち上げ 50周年ってご存知でした? あれからもうそんなに経っちゃったんですね~(って、生まれてなかったですよ)

それにあやかったのかどうか、来年出るアンドリュー・クルーミーの新作がSputnik Caledonia! でも、カレドニア(=スコットランド)のスプートニクだなんて、なんかあさっての方向に飛んできそうな予感……。シノプシスによると、舞台は戦後共産主義国家になった1970年代のスコットランド。筋金入りの社会主義者の父を持つ主人公は宇宙に行くことを夢見るも、資本主義国家のアメリカ人と同乗するなんてまっぴらというわけで、相対性理論を読みながらも、ロシア語の独習にいそしんだりするのですが、結局は閉鎖的な研究所に落ち着いて……って、あれ? そういえばクルーミーって、子供の頃は宇宙飛行士になりたかったけど、理論物理学の研究者になったんでしたっけ。ポーランドの研究所を訪れたことが結構強い印象として残ってるとも過去に語っていたので、実体験が色濃く反映された平行世界ものみたいですね。

物理学、文学(ディドロらの啓蒙主義やプルーストなど)、哲学、音楽が融合した、コミカルな筆致が特徴のクルーミーの作品群ですが、この新作も今までのそんな路線を引き継いでいるのかもしれません。

で、何より期待しちゃうのが、この作品、昨年イギリスの Northern Rock Foundation Writers Award を受賞、見事6万ポンド(!)を獲得して完成させたものだということ。この賞は、イギリス北東部に住み、過去に何冊か出版物があるものの、才能があるのに生活の糧を得るため作家業に専念できない人をサポートするために設立されたのだそうです。クルーミー・ファンとしては、今までの中の最高傑作が読めるんじゃないかとわくわくしてしまいます。

表紙のへなちょこイラストは、前作メビウスクジラと同じ人みたいですね。結構好きなんですよ~。

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Thursday, October 18, 2007

Santa Esperanza, by Aka Morchiladze

Santa Esperanza @ amazon.de黒海に浮かぶサンタ・エスペランサ島を舞台にした作品だそうですが、なんと~、36冊の小冊子がフェルトのケースに入った構成で、地図も付いているんだとか。中身はラヴ・ストーリイや手紙、おとぎ話や神話・伝説・年代記、はたまた e-mail から新聞記事、日記や戯曲、憲法の抜粋から遺言書、そしてなんと6人でプレイするカードゲームまで、ありとあらゆる形式の創作で成り立ってるようですね。

作者はグルジアの……、ええと……、読めません^^; ううむ、なんとか無理してアカ・モルチラッゼということにしておきましょう。グルジアでは人気作家で、テレビのパーソナリティやソープオペラの作者、スポーツ・コラムの執筆など多方面で活躍しているんだとか。本名は Gio Akhvlediani だそうですが、なおさらわかりません^^;

そう、サンタ・エスペランサというのは架空の島で、グルジアの状況を重ね合わせているんですね。グルジア人とトルコ人、イタリア人とユダヤ人、そしてブリトン人が住むこの島国では、内部抗争に外国人が加担して様々なドラマが起きているようです。詳しい内容はこちらの記事で。

でまあ、形式も含めてむちゃくちゃ面白そうなんですが、問題は今のところグルジア語以外ではドイツ語訳しかないということ。ということで、リンクは amazon.de に張っていますが、ま、どうせつまみ読みするだけなんで、ドイツ語版買っちゃいましょうかね。ちなみに、グルジア語っていうのはこういう言語らしいです……って、ページのタイトルに作者の名前がありますので多分そうなんでしょう^^; ううむ、google translation も歯が立たない……って、毎度のことでした。

グルジアでは 500冊ほど売れればベストセラーで、2,000部売れたら大ヒットということですが、ドイツでは既に本国の5倍ほど売れているとのこと。日本語版は……さすがに出ないでしょうね。ともかく、話の種としてだけでも手に入れる価値はありそうです。

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Friday, October 12, 2007

"Half Life" by Shelley Jackson

Half_life__3 どうして、誰も教えてくれなかったんですか~~~!!!

ケリー・リンクの本の挿絵を描いてたShelley Jacksonって、めちゃめちゃ私向けの作家じゃないですか。

昨年出版された彼女の初長編"Half Life"の主人公は、サンフランシスコに暮らすシャム双生児ノーラとブランシェ。といっても、核戦争後という設定のこの世界では遺伝子の優位性に変異が起こっており、シャム双生児(この世界ではTwoferと呼ばれている)はマイノリティ集団として確固とした地位を築いている。双子の片割れノーラは、15年も以上寝たきりのブランシェが邪魔で仕方がなく、非合法の切断手術を受けようとロンドンに飛ぶ。謎めいたUnity Faoundationなる団体を探す旅は、図らずもノーラとブランシェの誕生の謎を探る旅へと様相を変え、舞台はネバダ州Too Badの町へ。ブランシェはノーラと話したいの? ブランシェの望みは何? 奇妙な人物たちが行き交うこの町で、ノーラは狂気の淵へと追い込まれる……。

この小説を発表する前は、"Frankenstein"を書くMary Shellyを脱構築的にハイパーテキストに仕立てあげた"Patchwork Girl"という作品で名を知られていたJacksonですが、プロフィールを調べてみると、何とロバート・クーヴァーの教え子ではありませんか!! しかも、ジョナサン・リーサム(Jonathan Lethem)の元奥さんときてる。現在進行中の"Skin"というプロジェクトでは、ヴォランティアの身体に一単語づつ刺青するかたちで小説を書きつづけている模様。(そんな彼女の公式ホームページはこちら。)

「またフリークスものか?」との謗りを受けそうですが、ケリー・リンクの2006年一番のお気に入りらしいので、読んでおいても損はなさそうですよ。キャサリン・ダンの傑作"Geek Love"に最も近づいたと評判の話題作です。

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Monday, October 08, 2007

minuscule - la vie privée des insectes

minuscule (coffret 4 dvd) @ amazon.frなにやらサボっているうちに10月になってしまいましたが、うわっ、これは買わなきゃというビデオを見つけてしまったんでご紹介。ミニュスキュールというフランスの虫アニメなんですが、いや、これはもう虫嫌いでも見るしかないでしょう。サイトのサンプルだけでも楽しいです。ひょっとして有名なんでしょうか?

リアルな虫の生態ならまだしも、3D の虫アニメなんてほんとは趣味じゃないんですが、これは一目見て惚れ込んでしまいました^^; それなりのデフォルメ、擬人化はありますが、実写の田園風景を背景に、原型を残しながらかわいくアレンジされたちょっと皮肉な虫たちの、半分リアルで半分ナンセンスな無言のコメディがなんともいえません。ときどき使われるサティのピアノ曲が妙にしっくりきますね。

minuscule, vol.1 @ amazon.fr minuscule, vol.2 @ amazon.fr minuscule, vol.3 @ amazon.fr minuscule, vol.4 @ amazon.fr


DVD が4巻出ているようですが、それぞれに5分ほどの掌編が20本ほど入っているみたいです。Amazon.fr では、10/16 に出る4巻セットが送料入れて50ユーロほどですので、思わず注文してしまいました。オンライン・ショップでも買えるようですが、バラバラに4巻買ってこれに送料が乗るとなるとちょっと高そうです。

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