The Last Cavalier: Being the Adventures of Count Sainte-Hermine in the Age of Napoleon, by Alexandre Dumas
アレクサンドル・デュマの新作が英訳されたそうですよ……って、デュマが晩年に書いた未完の新聞連載小説で、本の形ではまとまっていなかったものを、研究者が発掘し、本国フランスでは 2005年に出版されたものだそうです。英訳でもハードカバーで 750ページというかなりの大作ですが、これでもデュマの構想の3分の1程度だとか。全体のストーリイ自身はアウトラインが残されているようです。
物語は、デュマが他の作品では書くことのなかったナポレオンの時代を背景にしていて、王党派のサント・エルミン伯エクトールの受難と冒険を描いたものだとか。結婚を目前にしてナポレオンに捕まったエクトールは、一船員として海外に赴くことを条件に解放されますが、まあデュマの主人公ですから、行く先々で剣を片手に大活躍、女性にはモテモテで……という、ファンには堪えられない面白さだとか。人間相手の戦いだけでなくなにやら秘境冒険ものも楽しめるようですよ。エピソードを積み重ねるような展開の中に、有名人の伝記やファッション、風俗、地理、歴史への含蓄がユーモアを交えて語られ、中途で終わっているからといって面白さが減じるものではないそうです。
そもそもデュマの父というのが、一時はナポレオンのライバルと目されたほどの軍人ながら、若くして亡くなったため、デュマ一家はかなり苦労したとのこと。ということで、ナポレオン寄りというよりは、相当揶揄を込めて書かれていることが想像されますが、作者の意図は、エクトールを視点人物として、ナポレオン時代の主な出来事をパノラマ的に描くことにあったとのこと。まあそのあたりのお勉強は横に置くとしても、モンテ・クリスト伯的な立場の主人公がダルタニャン風の活躍をするというだけで、これはちょっとほっておけないかも^^)
ちなみに以上はデュマの大ファンを自認する有名な書評家、Michael Dirda のレヴュウのかなりいい加減な受け売りですので、きちんとした内容を知りたい方はそちらを参照ください。
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