"The Invention of Hugo Cabret" by Brian Selznick
「自動人形」といえば、ブライアン・セルズニックの新作のこの児童書も気になります。
主人公は1930年代のパリに住む 12歳の孤児ユーゴー。彼は死んだ時計職人の父の跡を継いで、駅舎の時計の管理をしています。彼の夢は父の遺していった壊れた自動人形を元通りに直すこと。そのメカニズムについては父から伝授されていたものの、なにやら他にいろいろヒミツがあるような……?
500ページ以上あるのですが、絵本でもなく、グラフィック・ノヴェルでもないけれど、挿絵のページがかなり多いということなので、かなり読みやすそうです。この作品の紹介サイトで、最初の部分をフラッシュで見ることができるのですが、ちょっと映画を見ているような感じになりますね。同サイトによると、セルズニックはこの作品を書いているあいだ古い映画をいっぱい見たそうです。彼のオススメは『パリの屋根の下』。これは私も昔見て、内容は忘れちゃったけどけっこう好きだった記憶があります(主題歌はとてもいいですよね)。ちょうど同時代なので、そんな雰囲気が盛り込まれていそうですね。
Variety.com によるとこの作品は、マーティン・スコセッシ監督で実際に映画化されるようです。全然関係ないけどスコセッシ、その前に遠藤周作の『沈黙』も撮るんですね。

Comments
わぁ、セルズニック好きです。買おうかなー。こってりと緻密な絵なんですよね。恐竜絵本も絵本ですがかなり文字の多いものでした。
Posted by: 1day1book | Sunday, February 25, 2007 at 12:37
うう~っ、二人して面白い本を次々に紹介して……
私を破産させるつもりですか!
この作品なんて、「月世界旅行」のジョルジュ・メリエスが重要な役割を果たすそうじゃないですか。映画史の初期に活躍したメリエスはその後負債を重ね、1928年に研究者によって発見された時は駅の売店の売り子をしていたという哀しいエピソードがあるんですよ。1930年代が舞台というこの小説では一体どんな姿で登場してくるんでしょう。もうドキドキです。
ルネ・クレールの「巴里の屋根の下」は私も見たんですけど、ほんとに中身が思い出せませんね。パリの路地裏でゴチャゴチャやってるシーンと、素晴らしい映画だったという記憶だけが残っています。
Posted by: quark | Sunday, February 25, 2007 at 13:14
わあ、早い! 私もバラエティでこの記事、読みましたが、フラッシュが見られるなんて、全然知りませんでした。早速リンクをクリックさせていただいてアクセスしてみたら、この作者、本当にメリエスが好きなんですね。「月世界旅行」のリンクが貼ってあったので、見ちゃいました! フランス人弁士の英語が聞き取りにくかったけど、最後まで10分ちょっと、丸ごとです! Google Video。 ご興味のあるかた、是非どうぞ。こんなものまで無料で見られるようになったとは……(ため息)(ここにもろにURLを貼っちゃ、ダメだったかもしれません。ごめんなさい)http://video.google.com/videoplay?docid=-2872403246769762863&q=a+trip+to+the+moon
Posted by: Frostphile | Sunday, February 25, 2007 at 18:18
「月世界旅行」は月に突っ込む場面しか見たことなかったので、全部見るのは今回が初めてなんですが、こんなにカワイイ作品だったんですね~。想像してたのとずいぶん違ってました。しかし確かにすごいフランス語なまりで、"R" の音なんてモロにフランス語だ。
全然関係ないですが、日本語ではメリエスって読んでますが、セルズニックはわざわざ「メリエズ」と発音記号を書いてますね。でも Méliès をフツーにフランス語風に発音すると「メリエ」になりそうですが、どれが正しいんでしょうかね。
あ、著作権は切れているはずなので、リンクは全然大丈夫だと思います。
Posted by: Lilith | Sunday, February 25, 2007 at 22:13
ひぇ~、先を越されてしまいましたね^^; たしかにこの作品、面白そう。ちなみにアマゾン・ジャパンでは3月発売になってるんですけど、本家では1月末に出てますね。Frostphile さんに教わって、数日前に Book Depository に注文したところです。
「月世界旅行」もこんな楽しい作品だったなんて、ちょっと感激です。星が美女だったり傘がキノコになったり、もう凄すぎ^^)
このアクセント記号の置き方だと、やっぱり「メリエス」のような気がしますね。あとに母音が来てアンシェヌマンするとこれが濁るんですよ、きっと(<あんまり自信ない)。
Posted by: a nanny mouse | Sunday, February 25, 2007 at 23:48
たった今、Varietyから、スコセッシと"Departed"が共にオスカーをとったというニュースが飛び込んできました。このプロダクションチームが映画権を購入してるから、この本、製作されるとすれば、鳴り物入りの映画になりそうですね。特にスコセッシがメガホンをとれば。(でも、スコセッシとこの原作、どうも結びつかない)
Posted by: Frostphile | Monday, February 26, 2007 at 16:22
おお、これで注目度が一層高まりますね。オスカー取って、この映画化で新境地を開くってカンジでしょうか。
え~と、フランス語の単語の最後の s は発音しないんじゃありませんでした? アンシェヌマンは全然関係ないかと……。
Posted by: Lilith | Monday, February 26, 2007 at 21:48
う、なんて乱暴な^^; fils とか Champ de Mars とか、s 発音しなかったらどうなっちゃうんですか。
までも、固有名詞だったらアンシェヌマンしないかもしれませんけど。Méliès en vacance は、メリエザンヴァカンスじゃなくて、メリエスアンヴァカンスになりそうな気が。専門家はいらっしゃいませんでしょうか?
Posted by: a nanny mouse | Monday, February 26, 2007 at 22:29
ダメ、ダメ、ダメ!
映画用語にケチつけちゃ駄目ですってば。
こういうのは歴史的に決まってるんですから。
フランスの発音がどうだろうが、メリエスはメリエスなんです。
時に皆さん、「イントレ」って何かわかりますか。
撮影現場で助手なんかしていると、「そこ、イントレどけろ!」なんて怒号が飛んでくるわけです。俯瞰台のことなんですけどね。
なぜ、俯瞰台(俯瞰ショットを取るための台)のことを「イントレ」と言うのでしょう?
1916年製作のD・W・グリフィス作『イントレランス』は、公開当時日本でもヒットしたのですが、その時、イントレランス(Intorelance)=不寛大=俯瞰台という語呂合わせから、イントレ=俯瞰台という用語が定着したのです。その業界用語が脈々と受けつがれて、現在でも使われているわけです。
つまり、私が何を言いたいかというと、映画業界の古い慣習にケチをつけるなってことですね。
Posted by: quark | Monday, February 26, 2007 at 22:33
イントレ!(爆)
そういえば『イントレランス』も昔見ましたがあまりおもしろくなかったので、2本立てのもう1本『国民の創世』は見ないで帰っちゃった記憶が(注:100歳ではありません)。
でもって基本は発音しないので、fils などは「例外」なんですってば。デュマだって最後は s ですよ~。あ、せっかく quark さんが間に入ってくださったのに、また戻してしまった。
Posted by: Lilith@Kaisha | Tuesday, February 27, 2007 at 08:55
だから s を発音するケースは普通にあるっていいたいのに^^; このケースはアクサン・グラーヴが付いてるので、発音する印象が強いです。
で、強いて z になるケースを考えると、アンシェヌマンで母音に挟まれて濁る可能性があるかと思ったんですが、固有名詞だとアンシェヌマンしないかな~と。
Posted by: a nanny mouse | Tuesday, February 27, 2007 at 20:47
え、じゃ、最初から同じこと言ってたんじゃないですか。日本語なのにこの意思の疎通の難しさは一体……。
Posted by: Lilith | Tuesday, February 27, 2007 at 21:58
今日、届きました!
洋書屋にAmazonから洋書を配達させる鬼畜さよ(フフフ……)。
装丁といい、グラフィックの素晴らしさといい、完璧です。
本に対して、こんなにフェティッシュな愛情を抱いたのは初めてかも。
530ページ余りのうち、284ページが見開きのイラストで占められていて、ちょうどこの感じは、昔の字幕映画を見ているのに似ています。字幕部分がちょっと長いかなぁといった感じです。
"Finn"も一緒に届いたのですが、あんまりこちらが素晴らしいので後回し!
Posted by: quark | Wednesday, March 07, 2007 at 23:19
おおお、そこまでよかったですか。では早速私も注文しちゃいます♪(←紹介しておいて人に毒味させるイケナイ私)
Posted by: Lilith | Thursday, March 08, 2007 at 21:48
ううむ、アマゾンが遅そうだったんで、Book Depository に注文したんですが、quark さんより先に注文したはずなのにまだ届きませんね。
Posted by: a nanny mouse | Friday, March 09, 2007 at 22:48
しまった!
読まないうちから自分でネタバレしちゃってました。
メリエスも出てくる話じゃなくて、もろにメリエスの話だったとは……。
だもんで、ストーリー的には驚くようなことはないんですけど、挿絵は美しいし、物語との融合のさせかたも新鮮だし、装丁は見事だし、買って損はないですよ。
古い映画が好きな人ならワクワクするようなディテールがいっぱい出てきます。
Posted by: quark | Saturday, March 10, 2007 at 16:10
届きました。
quark さん読み終わるのがむちゃくちゃ早い!と思ったら、文字のページはほとんどないじゃないですか^^;
けど、児童書ということもありますが、最近の小さいほうの版型でこの厚さっていうのは、不恰好で嫌いですね。大きい方の版にするか、せめて紙を薄くすればいいのに。
Posted by: a nanny mouse | Saturday, March 10, 2007 at 19:34
鬼畜の quark さんより、ネタバレの quark さんのほうがコワイ! それもネタバレとか言わなければ、分からないのに~。ま。セルズニック自身がサイトにメリエスのこと載せちゃってるので、まあ、いいんじゃないかと思いますけど。早く届かないかな~。
Posted by: Lilith | Saturday, March 10, 2007 at 20:52
そうか、伏字を使えばよかったですね。
○○○○も出てくる話だと思っていたら、××××の話そのものでしたとでも書いておくべきでした。
もう手遅れだ……すみません。でもね、でもね、ほんの△△ページで……
Posted by: quark | Saturday, March 10, 2007 at 21:12
quark さん絶賛の造本が、ものすごく気になります。イントレを組んでいたこともある身としては、やはり購入するべきなのでしょうか。
まったく関係ありませんが、"Etched City Crack Doujinshi"のコメント欄、おもしろすぎです。わたしは、ただいま大絶賛 Kirsten 萌え中(笑)。そうだ、これと彼女の本を一緒に注文することにしましょう。
Posted by: Gardener | Sunday, March 11, 2007 at 06:00
ああ~、ちょっと待ってください。他の方のご意見も聞かれてからでも遅くはありませんよ!
私も昔、こういう古い映画を上映していたもので、特に思い入れが強いんです。○○とか××の写真をふっと出されると、それだけで何でも許せちゃう(笑)。
ところで、Bisyounenは英語になっているようですが、Biseinenはまだなんでしょうかね? この二つはペアだと思うんですけど。
Posted by: quark | Sunday, March 11, 2007 at 10:59
直接あっちのスレッドに書けばいいのに~。鬼畜なおふたり、意外にシャイだったり?
Posted by: Lilith | Sunday, March 11, 2007 at 20:59
わたしもイントレには思い入れがあるので、購入しちゃおうかと思います>quark さん。というか、またしても日曜日の出勤でささくれた気分のまま、これからクリックしてこようかと。
ううう、わたしはライティングに自信がないだけです。でも、だんだんすごいことになっているので、次の展開が楽しみ(笑)。あの手の人形、わたしは大すきです>Lilith さん。はじめてのバイトが、輸入物のハンス・ベルメールの写真集を買うためだったというのは、ここだけの秘密です。
Posted by: Gardener | Sunday, March 11, 2007 at 22:01
読みました。文字の部分も思ったよりありますね。100ページほどでしょうか。1時間よりもうちょいかかりました。
まあストーリイは上手いというほどではないんですが、連続画での動きのシーンはいいし、肝心の部分はあえて絵にしない勇気も随所に見られて、なかなかでした。
ノンフィクション的に本物を並べたページはさすがにインパクトありますね。個々の絵ではなく、物語でのコラージュっていったらいいんでしょうか。メディア・ミックスっていっちゃうと安っぽくなりますし。
ただまあ造本に関してはやっぱり不満です。これだったらもう少し大判にしてトレード・ペーパーバックというのがいちばんピッタリだと思いますね。
Posted by: a nanny mouse | Tuesday, March 13, 2007 at 20:55
う~ん、メリエスを出したのがいけないんじゃなくて、解説しちゃったのがいけなかったんですね^^)
Posted by: a nanny mouse | Tuesday, March 13, 2007 at 20:57
う~ん、もう一度ちょっと見返してみましたが、題材の目の付け方は見事ですが、ストーリイの部分は正直いってかなり下手じゃないですか。キャラクタも平板ですし、ところどころ絵で描けばいいのにダラダラと興醒めの文章を綴ってますし。完全にグラフィック・ノベルにしちゃったほうがよかったんじゃないですかね。
Posted by: a nanny mouse | Saturday, March 31, 2007 at 01:23
Amazon.comのベストセラー・リストをチェックしてたら、何とこの本が52位に入ってるじゃないですか(現在は70位)。映画化されるからって売れるには早すぎますし、どこかでオプラみたいな人が紹介したんでしょうかね。
marginaliaで取りあげた作品が売れ筋になるなんて珍しいんじゃないですか。
結局、このブログでは不評でしたけど(笑)。
Posted by: quark | Monday, May 21, 2007 at 21:20
そんなことありませんって。うちで取り上げた本だってベストセラー・リストに載りますよん。Ghostwalk もNYタイムズの 30何位かに上がってましたし。
う~ん、たしか quark さんがうちでも絶賛してましたよ < Hugo Cabret。少々文句言ってたのはわたしだけでは? まあ児童書のトップクラスと比べるとやっぱり見劣りすると思いますけど。
Posted by: a nanny mouse | Monday, May 21, 2007 at 22:37
http://www.ala.org/ala/alsc/awardsscholarships/literaryawds/2008MediaAwardWinners.htm
ごぶさたしています。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
今年度のコールデコットをとりましたね!
アスペクトから邦訳も出ているようです。
http://www.aspect.co.jp/np/contents.do?goods_id=963
Posted by: 1day1book | Tuesday, January 15, 2008 at 13:04
おお、コールデコット、おめでと~♪
『ユゴーの不思議な発明』、私も昨日久々に大きい本屋に行って見かけました。紙は原書のほうがよかったかな? あら、これも金原さん。
Posted by: Lilith | Tuesday, January 15, 2008 at 22:36
おや、ニューベリーじゃないほうってことは、あれはやっぱり絵本だったんでしょうか。
Posted by: a nanny mouse | Thursday, January 17, 2008 at 00:43
本日、邦訳本が届いてじっくり読んだのですが、絵本なのでしょうね。
読んでみて、a nanny mouseさんのおっしゃることもわかりました。
ストーリーは題材にくらべては確かに弱いですね。軸となる少年の魅力が足りていないように私も感じました。ただ、本のつくりは魅力的だなと思いました。個人的にもセルズニックの、素朴でいてアクのある絵は好みなので。彼はやっぱり画家なのでしょうね。文字無し絵本をつくるにしては、セルズニックの選ぶ題材はどうしても言葉を必要とするものばかりのようですが(笑)。この本も最初は小説のように文字主体で書き、1章ごとにイラストをつけるというオーソドックスな形でつくりはじめたのだけれど、絵を主体にしたいと路線変更してつくったとインタビューでいっていますね。
Posted by: 1day1book | Thursday, January 17, 2008 at 17:10
あ、かなりきつい書き方しちゃいましたが、いい作品だとは思いますよ。
ふむ~、文章が先でしたか。文章がそれほど生きていないので、完全にグラフィック・ノヴェルにしちゃったほうがよかったんじゃないかとは思いますが、あの形だったから新しい試みということで話題になったんでしょうね。
Posted by: a nanny mouse | Monday, January 21, 2008 at 00:33