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Wednesday, February 28, 2007

Win Cirque du Soleil on DVD!

Saltimbancoシルク・ドゥ・ソレイユ来日記念! というわけでもないのですが、この前ご紹介した Box Set Vol.1~3 の中でダブってる "Saltimbanco" と "Dralion" をご希望の方にプレゼントしちゃいます。

"Saltimbanco" と "Dralion" のどちらかを選んで、ご自身のハンドルとメールアドレスをご記入のうえ、右のサイド・バーにあるアドレス宛メールお願いします。ついでに marginalia に対するご意見・ご希望・ご感想などをちょこっとお書き添えいただけるとうれしいです。

締め切りは3月15日(木)応募者多数の場合は抽選とし、当選された方にはこちらからあらためてメールを差し上げて、送り先などをうかがいます。
marginalia 関係者も応募可ですが、一般の方優先となります。

★DVD に関するご注意★

Dralion◎英語版です(が、セリフは全然ないので問題ないと思います)
◎リージョン・コードは日本で再生できる「2」です。
◎映像出力方式は PAL なので、日本仕様(NTSC)の DVD プレイヤーでは鑑賞できません。両システム対応の DVD プレイヤーであればOKです。

というわけで、パソコンでは問題なく鑑賞できますが、DVD プレイヤーでご覧になる場合は、プレイヤーの映像出力方式をご確認の上ご応募ください。

なにかご質問がありましたら、ご遠慮なくどうぞ~。

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The Mysterious Benedict Society, by Trenton Lee Stewart

The Mysterious Benedict Society新聞広告で集めた子供たちの中から、様々なテストを経て4人の子供が選ばれて、怪しい学習塾の潜入捜査に送り込まれるんだそうです。ひょっとして『チョコレート工場の秘密』や『マイロのふしぎな冒険』ふうのナンセンスものかと思ったら、『フェルメールの暗号』のブルー・バリエットが引き合いに出されてますので、しっかりした冒険もののようです。学習塾の名を借りて子供たちの洗脳を進める悪の機関に立ち向かう利発な少年少女スパイという、流行りの図式でしょうか。

パズルに悪巧み、悪者にアクション、ユーモアたっぷりの物語で、それぞれ特殊な才能を持った子供たちが力を合わせて取り組むということですので、成功していれば面白そうですね。カバーもなかなかかわいいですし。

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Tuesday, February 27, 2007

Carnivàle

アメリカ製のTVドラマですが、ものすごい傑作でした。1週間ほど前に見終わったんですけど、シェル・ショックがまだ抜けず、何を見てもゴミにしか見えない状態が依然として続いてるほどです^^;

Carnivale - Series 1 (PAL) @ amazon.co.uk大恐慌下の米中南部、砂嵐が吹き荒れるダスト・ボウルと呼ばれるオクラホマ、テキサス、ニュー・メキシコあたりを巡業する、旅のサーカス団に拾われたひとりの青年と、季節労働者相手の教会を作ろうと腐心する伝道師の、光りと闇の化身としての対立を描いたダーク・ファンタジイなんですが、登場人物それぞれのキャラクタ造型から、時代と土地の雰囲気をそのまま切り取ってきたかのような画面作りと、作品の隅々まで本物感に満ちていて、プロットを抜きにしても、片時も目を離せないようなインパクトのある作品です。

荒れ果てた荒野の一軒家で、助けを拒んで死んでいく母親を看取った脱獄囚ベン・ホーキンズは、借金の形に土地を取り上げ、家を取り壊そうとするブルドーザーと睨み合っているところを、通りかかった旅のサーカス一座に拾われます。小人の世話役を頭に、髭女やトカゲ男、ヘビ使いや接合双生児と、おなじみのフリークを擁したサーカスは、盲目の透視術者や、昏睡状態の母親の助けで占いを行うタロット占い師、クーチ・ダンスを見せるストリップ小屋の一家や、観覧車やメリー・ゴー・ラウンドの解体・設置を行う職人など、かなりの大所帯でした。ところが、すべてを取り仕切る支配人は、世話役を通して行き先の指示を出すだけで、トレーラーに篭ったまま誰にもその姿を見せません。

いっぽう、眠るたびに見知らぬ場所で兵士に追われる悪夢に魘されるベンも、本人にも理解できない秘密を抱えていました。幼いベンの腕の中で生き返った猫を、血相を変えて溺れさせてしまう母。そう、ベンにはヒーラーの能力があったのです。サーカスの倉庫の中で、なぜか若い頃の母の写真を見つけたベンは、すべての鍵を握る見知らぬ父の行方を捜し始めます。

そのころ、西海岸では、メソジスト派の牧師、ジャスティン・クロウが、姉のアイリスとともに、教区の信徒からはつまはじきにされている季節労働者を救済しようと、新しい教会作りに追われていました。中国人の娼館を目にして、神の啓示に打たれたジャスティンは、所有者に幻覚を見せ、その弱みに付け込んでそこを巻き上げます。ところが、町の有力者との軋轢の中、やっと教会の形を取り始めた娼館は、6人の子供を中に閉じ込めたまま放火にあい、放心状態のジャスティンは野に出ることを余儀なくされます。

Carnivale - Series 2 (PAL) @ amazon.co.ukということで、ストーリイは、セカンド・シーズンの最後でのベンとジャスティンの直接対決に向かって、少しずつ謎を明らかにしながらじわじわと進むわけですが、父の足跡を追いながら次第に自分の力を自覚していくベンと、ある種ピカレスクなジャスティン牧師の受難の二つのストーリイ・ラインと平行して、サーカスの内部でも、妻と娘の美人局をしているストリップ小屋の一家を中心に、ひざを砕かれてプロ野球を追われた職人のリーダーと、タロット占いの娘を交えたインテンスなドラマが繰り広げられます。

かなり色っぽいシーンや、ホラーがかった過激な場面も出てくるんですが、この作品の凄いところは、過度に特撮に頼るような安っぽいところが見当たらないことですね。やりすぎてばかばかしさを感じさせることの一切ない、大人向けのドラマになってます。じつは、ファースト・シーズンはビルド・アップのためのかなりスローな展開で、メイン・プロットが加速を始めるのはセカンド・シーズンになってからなんですが、一般には評価の高いセカンド・シーズンよりも、個人的にはさりげない描写でじわじわと話を進めていくファースト・シーズンにより惹かれました。

結末へ向けての怒涛の展開はトップ・クラスのホラーとして息をもつがせぬものがありますが、実際は最後の直接対決は並みのホラーと比べかなり地味に終結します。といって緊張感はいささかなりとも弱まることはありません。そこに至るまでの緻密な積み重ねが、過度の演出を必要としないんですね。正直、見るべきところは、クライマックスのドラマチックなシーンにではなく、その過程のディテールにあります。

弟を愛し、周りの人々に慈悲の心を向けながらも、時として冷酷な行為も厭わず、地獄で弟と再会することを覚悟しているジャスティンの姉の屈曲した性格など、ちょっと他では見ない凄みがありますが、アイリスに限らず、メインの登場人物のひとりひとりが、信じられないほどそれぞれの役にぴったりはまった演技をしてます。カリスマティックなジャスティン牧師のピカレスクな魅力はいうに及ばすですが、主役のベンも、線の細いナイーヴなキャラクタを最大限に生かして、自分の置かれた立場をよく理解できていない青年を完璧に表現しています。

いっぽう、サーカスの日常を描いた部分は、演出というよりも実際の作業シーンをそのまま撮影したようなリアリティを感じさせ、特に、汗と埃にまみれた擦り切れた作業服が、全然衣装に見えないという徹底ぶりには感服しました。すべてのシーンにこのリアリズムへのこだわりが発揮され、荒唐無稽になりかねない物語を地に繋ぎとめる役割を果たしてます。やりすぎていない音楽や効果音も見事ですね。どの点をとっても一級品で、文句のつけようのない映像作品っていうのは、初めて見たような気がします。ということで、ホラーやダーク・ファンタジイのファンであれば必見なのはもちろんですが、密度の高いドラマがお好きな方にも強くお薦めします。

じつはこの作品、当初は3部6シーズンで企画されていたそうなんですが、十分な視聴率が稼げず、1部が完結したセカンド・シーズンで打ち切りになったという、とても信じられない悲劇に見舞われています。ということで、かなりの謎を残したまま、続編への布石でセカンド・シーズンは終わるんですが、ともかくここまで見られただけでも幸運といえるかもしれません。続編でもこれ以上のものが出来るとは思えませんので。

シリーズの構成は1時間弱のエピソードが12編でワン・シーズンとなっていて、全部見ると20時間強の長丁場になるんですが、特にセカンド・シーズンは途中で置けないので、見始めるのにそれなりの覚悟が必要です。日本のアマゾンでも US版は手に入るようですが、本家アマゾンともどもかなり高いです。いっぽう、アマゾンUKでは PAL版がむちゃくちゃ安く手に入りますので、画像のリンクは UK版にしています。オフィシャル・サイトはこちら

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Monday, February 26, 2007

Mistress of the Art of Death, by Ariana Franklin

Mistress of the Art of Death中世のケンブリッジを舞台に、シチリアから派遣された女性医師が活躍するミステリだそうですよ。小柄で気短という、なにやらあくの強そうな主人公が気になりますね。他の登場人物も「カンタベリー物語」を思わせるような曲者揃いとか。

12世紀のケンブリッジで子供が続けて殺される事件が起こり、ユダヤ人が疑われて裕福な金貸しがリンチにあいます。高い税金の払い手としてユダヤ人を保護していたイングランド王は、いとこのシチリア王に専門家の派遣を要請します。サレルノには当時最先端の医学校があって、女性も活躍してたんですね。送り込まれたのは優秀な女性検視官ケイ・スカーペッタ、じゃなくて、ヴェスヴィア・アデリア・ラチェル・オルテーセ・アギラールでした。

ということでこのヴェスヴィア(以下略)が、ユダヤ人のフィクサーや投げ斧の名人のムスリムの宦官と組んで隠密捜査を行ううちに、当時の人々の生活が浮かび上がってくるという仕組みのようです。エリス・ピーターズなんかが引き合いに出されてて、歴史ものとしても期待できそうですが、けっこうユーモラスで、ヒロインのありえないロマンスなんかも出てくるそうですので、案外ツンデレなのかも。

作者のアリアナ・フランクリンは、だれも知らないことになっている本名のダイアナ・ノーマンとしてはベテランの歴史小説家だそうです。ミステリのほうでも前作の City of Shadows とか、評判よさそうですね。

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Sunday, February 25, 2007

"The Invention of Hugo Cabret" by Brian Selznick

The Invention of Hugo Cabret「自動人形」といえば、ブライアン・セルズニックの新作のこの児童書も気になります。

主人公は1930年代のパリに住む 12歳の孤児ユーゴー。彼は死んだ時計職人の父の跡を継いで、駅舎の時計の管理をしています。彼の夢は父の遺していった壊れた自動人形を元通りに直すこと。そのメカニズムについては父から伝授されていたものの、なにやら他にいろいろヒミツがあるような……?

500ページ以上あるのですが、絵本でもなく、グラフィック・ノヴェルでもないけれど、挿絵のページがかなり多いということなので、かなり読みやすそうです。この作品の紹介サイトで、最初の部分をフラッシュで見ることができるのですが、ちょっと映画を見ているような感じになりますね。同サイトによると、セルズニックはこの作品を書いているあいだ古い映画をいっぱい見たそうです。彼のオススメは『パリの屋根の下』。これは私も昔見て、内容は忘れちゃったけどけっこう好きだった記憶があります(主題歌はとてもいいですよね)。ちょうど同時代なので、そんな雰囲気が盛り込まれていそうですね。

Variety.com によるとこの作品は、マーティン・スコセッシ監督で実際に映画化されるようです。全然関係ないけどスコセッシ、その前に遠藤周作の『沈黙』も撮るんですね。

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Friday, February 23, 2007

Passarola Rising, by Azhar Abidi

予想してたのとずいぶん違ってたんですが、なかなかの拾い物でした。Passarola Rising

18世紀初頭のヨーロッパを舞台にしたブラジル人兄弟の飛行船の物語を、オーストラリア在住のパキスタン人作家が書いたということで、荒唐無稽な大冒険譚かと思ってたんですが、届いてみれば 250ページほどのかわいい小型本。中身のほうも、飛行船という舞台装置を除けばまっとうな歴史ものの手触りで、ミュンヒハウゼンやスチームパンクを思わせるような要素は全くありません。ただ空を飛びたいだけなのに、諸侯や教会の思惑に翻弄され欧州各地を飛び回る二人の物語は、驚くほど地味に淡々と進みます。

けど、限界を極めたいという純粋な欲求と、現実のしがらみとのせめぎ合いの物語は、シンプルな外見とはうらはらに、妙に心を揺さぶるものがあります。

ポルトガルに留学中の兄バルトロメウを追って、リスボンにやってきたこの物語の語り手アレクサンドレ・ロウレンソは、兄が発明した飛行船の初飛行に乗り込むことになります。4つの巨大な銅製の玉から空気を吸い出して空に浮くという仕組みですので、この部分は完全な創作ですね。裕福な商人の後押しを得て、王への初お目見えという主旨だったんですが、人間が空を飛ぶなんてなんて不埒な!という枢機卿から異端の疑いをかけられて、二人は命からがらそのままポルトガルを飛び出す羽目に。

知り合いの皮肉屋ヴォルテールを頼ってフランスへと逃れた二人は、啓蒙君主ルイ15世に仕えることになるんですが、最初は純粋に飛ぶことを楽しんでいた王も、次第に軍事への転用を考えるようになり、二人はフランスとロシアの軍勢の狭間で孤立したポーランド王の救出へと送り込まれるのでした。武器としての使用を頑なに拒む理想家の兄と、戦闘を目にして興奮してしまう少々俗物の弟の対比は微笑ましいところがありますね。

そんなこんなで持て余されてないがしろにされてきた飛行船ですが、極地が平らか出っ張っているかの討論をめぐって、北極圏での測量の話が持ち上がります。いっぽう、兄には、空の高みはどうなっているのか見てみたいという別の思惑がありました。この寒さを押してのラップランド上空飛行と、そこで見た光景というのがこの物語の要になりますが、新しい知識を求めて限界に挑む男たちの極地探検ということで、アルフレート・ヴェーゲナーのグリーンランド行を描いたクレア・ダドマンの Wegener's Jigsaw と同様の高揚感がありました。映画「ル・グラン・ブルー」の素潜りの世界に通じるともいえますかね。

物語は、漂白の思いに誘われながらも、ブラジルに帰ってささやかながらも幸福な普通の生活に取り込まれてしまう弟と、インドへ、南極圏へとその後も理想を追い続ける兄とを対比して終わるんですが(といってしまっても、単なるストーリイ以外のところに感動がある物語なので、ネタバレにはならないでしょう)、このあたりの情感にはなんともいえないものがあります。

パキスタン出身の作家といいながら、内容面では特に西欧の作家とのメンタリティの違いは感じられないのですが、やはりどこにも属さない気球に乗った兄弟の疎外感と超越感に、故郷を離れたものの心象風景が反映されているのかもしれません。ブラジルへ帰った弟の平凡な日常への帰属意識に、そのあたりが対比されているようにも思います。

見知らぬ外国を舞台にして、純粋にイメージから導き出されるエキゾチズムを有効に使う手法は、メキシコ作家のイグナシオ・パディーリャで読んだな~と思っていたら、ちゃんと裏表紙にパディーリャの推薦文がありました。今年のコスタ賞受賞のステフ・ペニーの The Tenderness of Wolves も、一度も訪れたことのないカナダを舞台にしたイギリス作家の作品ということで、これは全世界的な流れになってるんでしょうか。国際化によりもたらされたローカリズムという感じで、なにやら面白いですけど。

さてさて、カバーの絵と造本がチャーミングなので、表紙のリンクはハードカバーに張っていますが、ペーパーバックも既に出ているようです。

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Thursday, February 22, 2007

Finn, by Jon Clinch

Finnご存知マーク・トウェインの代表作『ハックルベリー・フィンの冒険』のハック・フィンの父親を主人公にした物語です。いつも飲んだくれの父親は、ハックを助けるどころか、息子に金をせびり、トムとハックが手にしたインジャン・ジョーの金貨を巻き上げようとまでして、最後には川辺で死体として見つかるというのが、トム・ソーヤー/ハック・フィンの両冒険での登場場面だったかと思いますが、この作品では若い頃からのフィンおやじの素顔が描かれているそうです。

さては際物かと思いきや、作者ジョン・クリンチのデビュー作でありながら、むちゃくちゃ評判いいようです。物語はハックの母親として黒人女性を設定しながら、郡判事の息子として生まれた半端者のフィンおやじが、いかにして飲んだくれの人殺しとなったかを、当時の人種差別の実情を背景に描いているものとか。といってピカレスクではなく、どうも状況と欲望に翻弄された主人公の心の闇を扱っているようで、かなり暗くて重そうですね。

アマゾンの読者評が軒並み大絶賛というのは逆に怪しいような気もしますけど、文字通り受けとめれば文章も一級品で、トウェインへのオマージュにはごくごく相応しいものとなっているようです。ワシントン・ポストでも手放しで誉めてますので、相当の大物かもしれません。

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Tuesday, February 20, 2007

Voices from the Street, by Philip K. Dick

どなたか 800万円ほどお金が余っている人はいらっしゃいませんでしょうか? じつは、ティム・パワーズ宛ての署名("To Tim Powers: the warmest, the most witty, the most human & least android person I know, the best friend I have ever had, Philip K. Dick July 1, 1972.")が入った電気羊 Do Androids Dream of Electric Sheep? のハードカバー初版が、4万ポンドほどで売りに出てるんですけど……。Expiration Date を書いていた頃といいますから、10年ちょっと前になるんでしょうけど、当時生活費に困っていたパワーズが手放したディック・コレクションの一つだそうです。パワーズ、ブレイロック、ジーターの3人組がディックの親友だったことは有名ですが、若い頃の思い出の品だったわけですね。

A Scanner Darkly @ amazon.comいっぽう、A Scanner Darkly の映画(というかアニメなんでしょうか)のメイキングの中で、ティモシー・リアリーの名付け子であるウィノナ・ライダーのコメントとして、ディックとリアリーが友人で、ディックがリアリーに宛てたメモを、彼女が記念にこの映画の脚本家にあげたことになってますが、パワーズによれば、ディックとリアリーはおそらく面識さえなく、今では脚本家が冷蔵庫のドアに貼っているというこのメモ("Tim -- I have moved out -- won't be back for a long time -- Phil Dick")は、ティムはティムでもパワーズに宛てたもので、大家の目をくらますために自室のドアに貼っておいたものとのこと。これもパワーズが手放したコレクションの一つだったそうです。

Voices from the Streetはてさて、800万円の余裕がない人は、フィリップ・K・ディックの新作長編、Voices from the Street で我慢するというのはいかがでしょう? 1950年代に書かれた未発表のノンSF作品ということですが、ごく平凡な主人公が経験する狂気の世界という、後の作品に繰り返し現れるモチーフが使われ、当時の社会に対する鋭い観察眼が十分に発揮された作品だそうです。どうもラルフ・エリスンやカート・ヴォネガットが引き合いに出されると、ディック作品にうるさい理屈はいらないだろうとつい思ってしまうのですが、レイモンド・チャンドラーとともに、いまでは一時期のアメリカを代表する押しも押されぬ大文学者扱いなんですね。

ちなみに、ティム・パワーズが手放したコレクションはほんの一部で、いまでは困らないだけの収入があるそうです。

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Monday, February 19, 2007

A Short History of Tractors in Ukrainian, by Marina Lewycka

このブログでは「トラクター本」で定着しつつある話題の作品ですが、Frostphile さんにいただいた紹介をコメント欄に埋もれさせておくのは惜しいので、再掲させていただきます。

A Short History of Tractors in Ukrainianこの「トラクター」、とても面白かったのですが、正直言って感想は mixed feeling といったところです。笑いの構造がステレオタイプ的なところがあるし、誰かが言っていたように、登場人物がみな likable ではないし。いかにも50代のケンブリッジ在住・イギリス中流インテリ女性が書きそうな話です。でも、だからこそ、私は楽しめました。話が逸れてしまって恐縮ですが、Kate Atkinson の傑作(!)の一つ "Case Histories" もケンブリッジが舞台で、40代のエキセントリックな姉妹が出てきますが、この世界に通じるものがありました。

で、筋はご存知かと思いますが、こんな風です。

現代のイギリス、ケンブリッジ近郊。2年前に母をなくしたナディアは、84歳の父から突然再婚すると告げられる。相手は、ビザが切れかかっている子連れのブロンドで、「ボッティチェリ」ばりの豊かな胸をもつ36歳のウクライナ女性ヴァレンティーナ(父親が費用を出して豊胸手術をしていたことがあとでわかる)。英国在住許可と豊かな生活が目当てであることは火を見るより明らかだ。ナディアはこのピンク爆弾に対抗するため、不仲になっていた姉と共同戦線を張る。お人好しで変人の父親とダイナミックなヴァレンティーナが巻き起こすドタバタ騒動に巻き込まれるうち、次第に明らかになる家族の秘密、ウクライナの悲劇。そんな中、父親はウクライナ語で「トラクター小史」をこつこつ書き綴る。思いきり笑ったあとに、歴史の重さと人間の心の豊かさが心に残るエンターテインメント作品。

ちょっと褒めすぎかな? でもジーンとくるところ(たとえば、死に行く母親の描写や、母親が丹精込めた庭の描写など)、捨てがたいところも多々あります。すぐに読めてしまうので、お暇なおりにどうぞ!

Two Caravans著者第二作目の小説 "Two Caravans" が今年3月に出ることを a nanny mouse さんのおかげで知りました(いつも情報、ありがとうございます!)。またウクライナ人が出てくる苺つみ労働者の話のようですね。ずうっと前、ホップの摘み取り労働者のエピソードを俳優の Terence Stamp の自叙伝で読んだことを思い出しました。それから苺つみと言えば、石川好さんの『ストロベリー・ロード』も懐かしい。どんどん話が逸れそうなので、この辺で。

うむむ、わたしも読まないと^^;

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Sunday, February 18, 2007

"Dream Angus: The Celtic God of Dreams" (The Myths VI) by Alexander McCall Smith

Dream Angus「世界の神話シリーズ」の6人目の語り手は、代表作『No.1レディーズ探偵社』の翻訳があるスコットランドの人気作家アレグザンダー・マコール・スミスで、この "Dream Angus" は、ケルト神話の愛と夢の神アンガスにまつわる物語集になっています。

アンガスは、ケルト神話の最高神で戦術と豊穣の神ダグダが、心優しい水の精との間にもうけた息子で、人々に素晴らしい夢と愛を授けます。彼自身、人や動物の心を和ませる特質を持っていて、アンガスの前では獰猛な動物もおとなしくなり、小鳥は彼を慕って常に頭上でさえずっているといった具合。また彼をひと目見た女性を、恋の虜にしてしまう美貌の持ち主でもあります。

この "Dream Angus" では、その彼の生い立ちや青年期のエピソードと、現代に生きる人々の愛と夢の物語が、入り乱れて語られていきます。現代のほうはさすがにアンガスがそのまま登場するのではなく、アンガスについて言及されたり、またアンガスの化身のような(またはそのエッセンスを持った)登場人物が重要な役割を担っていたりして、それらを通して、「あー、こういうときがアンガスの出番なのね」とか「こういうのってアンガスの粋な計らいなのかもね」なーんて、たぶんスコットランドやアイルランドの普通の人々が日々の生活の中で、どんなときに目には見えないアンガスの存在を感じるのかが分かるようになっています。その中のひとつに反抗期の少年に振り回される家族の物語があるのですが、そこに出てくるアンガスという名のおじさんは、とんでもないことを考えちゃったりして、本音とはいえちょっと不謹慎で異質な感じがしたのですが、当のアンガス自身最大の権力者である父をウィットで負かしたりするエピソードもあったので、甘ったるいだけではなく、情に流されない現実的な側面もあるのかなとも思ったりしました。

キャノンゲイトのこの神話シリーズは年3冊発行なのですが、サイトを見てもまだ今年のラインアップは発表されてないので、次はどの作家がどこの神話を材料に料理してくれるのか楽しみです。というより、気をつけてないと知らないうちに出ていたということになりそうです。

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Saturday, February 17, 2007

"Hi-Fructose #4 - Under the Counter Culture" (Art Magazine)

Hifructose_4 きゃ~、レイ・シーザーの表紙、アヤシくてかわいい~~~♪ この "Hi-Fructose" っていうのはカウンター・カルチャーのアート雑誌で、#3 の前号は日本でも人気のある『不思議サーカス』のマーク・ライデンの特集だったのですが、#4 の今号はレイ・シーザーですよ~。めちゃくちゃ欲しいんですけど、アマゾンで扱っていないのが残念!

レイ・シーザーのサイトはこちらこちらの myspace のほうが見やすいかも。

で、こんなとこで聞くのはなんですが、Hi-Fructose #4 は quark さんとこで扱ってますか? あったら買いたいので1冊キープ願います!(レイ・シーザーの絵、絶対 quark さん好みでもある気がするんですけど)返事がこなかったら、ランダム・ブログに押しかけちゃうぞ~。

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Friday, February 16, 2007

"Fluffy" by Simone Lia

Fluffyこのグラフィック・ノヴェル、フラッシュで数ページ見れるのですが、哀愁の漂うこの雰囲気、なんだかとってもあとをひきます。人間を父親だと思いこんでるウサギの子と、ただひたすらそれを否定する男性とのやりとりだけなんですけど、なんかちょっとお馬鹿そう……いえ、純真無垢そうで一途なウサギがめちゃくちゃかわいいです。で、否定されたあとの間と表情がなんともいえないですね。勝手にお父さんにされちゃったほうも、なにやら生真面目に相手していてかなりヘンです。

しかし 192ページあるようですが、全部この調子なんでしょうかね。

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Thursday, February 15, 2007

The Last Unicorn ― 25th Anniversary Edition

The Last Unicorn @ Conlan Pressピーター・S・ビーグルの『最後のユニコーン』を原作とした 1982年のアニメの DVD が、リマスターされて25周年記念版として再発されました。

ところが、いろいろ背景があって、この DVD がいくら売れてもビーグルの懐には一銭も入らない状況になっています。まあ以前にも触れましたが、製作には参加したものの、適切な契約をしていなかったようですね(ちなみにお母さんは昨年亡くなられたようです)。

そこで、この DVD を自分で売っていくらかでも儲けを得ようということで、Conlan Press と組んで、現在サイン版の販売を行っています。アマゾンなどと比べるとかなり高くなりますが、売上の半分はビーグル自身に行くそうです。

ということでわたしも注文してみましたが、本体 $24.98 + 送料 $13.00 で、トータル $37.98 になりました。まあ主人公が手塚治虫のユニコみたいなタッチで、あんまり好みでもないんですけど、欲しかったんですよね^^; ちなみに、アマゾンの場合はこちらになりますが、現時点の価格で $16.99 + $5.98 = $22.97(計算合ってますでしょうか^^;)と、3分の2ほどで買えます。

カバー・イメージのリンクは Conlan Press にしています。リージョン・コードは多分 "1" でしょうねえ。届きましたら確認してお知らせします。

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Wednesday, February 14, 2007

Books for Rent!

アマゾンのアフィリエイト収入が、持って夜逃げできるほどではないんですけどかなり貯まっていますので、使い道を考えてるんですけど、貸し出し用の本や DVD を用意するなんてどうでしょう?

ペーパーバックならまだしも、気に入るかどうか分からないのに購入するのはちょっと……というもので、何人かの人が興味を持っているもの、あるいはこのブログでプッシュしたい作品を用意して、希望者にお貸しし、返送料のみ負担いただくという形です。まあ個人の蔵書を借りるのでもかまわないのですが、そうすると借りるほうでも気を使わないといけないし……ということで、誰のものでもない、このブログの所有物というのはいいアイデアだと思うんですけど。

ということで、まずは何を用意したらいいか候補を募集します。このブログで紹介したもので気になっているものでもいいし、全く新規のものでもかまいません。また、ダブリ本とか不要本で、誰かが読みそうなものをご提供いただくのもアリかと思います。ただし、『コーデックス・セラフィニアヌス』SUMO は、検討するまでもなく却下(笑) リトル・ニモの超大型本は考えなくもないんですが、ちょっと送料がいくらになるか想像がつかないんですよね。

まずは間違いなく借り手がつくと思われるオススメ本、ショーン・タンの The Arrival を準備しましょう。1冊注文しておくことにしますので、貸し出し希望者のかたはコメントでお知らせください。

まあ読んだり見たりしたあとは、感想を投稿いただくかコメントいただけるとベストなんですが、完読するかどうかも含め、条件とはいたしません。

[附記]

……と思ったんですが、ちょっと中止することにしました。背景はコメントをご覧ください。

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Monday, February 12, 2007

The Box of Delights

The Box of Delights (PAL) @ amazon.co.ukジョン・メイスフィールドの The Midnight Folk(夜中出あるくものたち)と The Box of Delights(喜びの箱)といえば、ペーパーバックを読み始めたころに発見した作品で(例によって表紙につられて買ったんでした^^; 昔から変わってませんね~)、もう何度となく読み返した愛読書なんですが(といっても4~5回ですけど)、The Box of Delights のほうは 80年代に BBC が映像化したものが DVD になってましたんで、懐かしくなって見ちゃいました。

クリスマスを控えて帰省した少年ケイが、人形芝居のおじいさんから預かった不思議な箱をめぐって、狼や鼠を操る悪人アブナーと戦う話なんですが、じつは、メイスフィールドの作品が楽しいのは、メイン・プロットがうんぬんというより、途中で出てくるわけのわからない気まぐれの部分なんですね。そう、魔法の力を秘めた箱は、ケイを歴史や神話・伝説の世界へと連れて行きます。なんとも行き当たりばったりな不思議に満ちた展開は、『とぶ船』や『魔法のベッド』、『砂の妖精』などと共通した、トールキン以前の古き魔法の世界ですね。

さて、肝心のテレビ・ドラマのほうですが、時代の雰囲気を生かした画面作りで、主人公のケイの演技も達者ながらやりすぎでなく、脇を固めるキャラも個性的でなかなかの出来。ただし、箱によってもたらされる超自然の部分は、笑っちゃうほど稚拙なアニメや安手の特撮で作られていて、とても 80年代のレベルではないですね。一緒に入っているメイキングによれば、なかなか画期的なプロジェクトだったらしいのですが、どう見ても 10年は遅れてる感じです。手作りの良さを生かした……といいたいところですが、普通の映像の部分が出来がいいだけに、正直いって少々興醒めでした。

物語は教会でのクリスマス礼拝を最後に持ってきた季節ものなんですが、ハラハラドキドキの不思議な冒険も無事に終わって、祝祭的な雰囲気はまさにクリスマスにぴったりです。までも、原作の場合は寄り道が多いせいかかなり混乱していたプロットが、すっきりと整理されてて少々もの足りない印象もありますね。動物もあんまり出てこないし……って、それは The Midnight Folk のほうでしたか。The Box of DelightsThe Midnight Folk

じつはこの作品、最初に読んだときは何が起こっているのかよく分からなくて、たぶん自分の英語力が不足してるんだろうな~と思ってたんですが、まともに読めるようになってからでもやっぱりよくわからず、そんなあたりも逆に魅力になってます。そのため、すっきりさせてしまうのは決して正解ともいえないんですが、ディズニーあたりがお金をかけて作ったいかにもな映像でないのは幸運だったかもしれないですね。ともかく、懐かしい雰囲気の、原作のファンでも安心して見られるごく良質な作品です……ただし、特撮の部分では必死で笑いをこらえましょう^^)

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"A Soul in a Bottle" by Tim Powers, J. K. Potter (Illustrator)

A Soul in a Bottle日本のあまぞんさまったら、なんでこんなマイナーな本を在庫するんでしょうねぇ。Subterranean からぱらぱら出ているパワーズの掌編や短篇は、そのうちまとまったら廉価版の短編集が出るに違いないと踏んで、ず~~~と辛抱強く待つつもりだったのに、「1点在庫あり」に思わず反射的にクリックしてしまった意思の弱い私……。これがしょうもない表紙だったらガマンできたハズなんですけど、ボトルの美女の誘いは拒めませんでした。タイトルもなにやら曰くありげだし~。

ジョージ・シドニーはチャイニーズ・シアターで魅力的な若い女に出会い、すぐさま恋に落ちる。なぜか彼女は観光スポットには場違いな、黒の(それも汚れた)フォーマルを着ていた。その後、何度か会話をする機会に恵まれたものの、彼女はいつもジョージの目の前からふっと消えてしまうのだ。ある日、貴重な古書を探し出しては知り合いの古本屋に売っていた彼は、1960年代に若くして自殺した女性詩人シャイアン・フレミングの初版本を見つける。それも彼女のものとしては珍しいサイン入りだ。驚いたことに妹レベッカに捧げられたその詩の最後の6行は、一般に知られているものとは全く異なっていた。

出会いの場面で突然、オマル・ハイヤムの『ルバイヤート』の詩の一節を口ずさむ女。難なくその続きを口にするジョージ。なんの脈絡もないようでいて、その直前の(チャイニーズ・シアターに手形と足形がある)ジーン・ハーロウについての会話とこの詩が、あとになってからとても重要だったことに気づかされます。もし始めに彼女がジョージに『ルバイヤート』を思い出させなければ、またはジョージが『ルバイヤート』を知らない青年であれば、またはジーン・ハーロウのことで分かった彼の気質がなければ、全く違った結末になっていたんじゃないでしょうか。というか、旅人が通りかかるたびに謎をかけたスフィンクスのように、暗唱できるほどルバイヤートに親しんでいる青年に出会うまで、彼女は手当たり次第に声をかけてはそのフレーズを繰り返していたかもしれません。読み終わってみると、その導入部で既に彼のその後の人生が決定づけられていたんじゃないかなと感じました。女性詩人の死にまつわるミステリに、ルバイヤートのスピリッツを加えたこのゴーストストーリーは、文学通でアヤシイもの好き(?)のパワーズらしさのよく出たファンタジー作品という印象です。

本自体は80ページのとても薄いハードカバーなのですが、字が大きくて行間も広いので、普通に活字を組んだらもっとずっと短くなるはず。最初はちょっと高いかな~と思いましたが、装幀(リトグラフのような装飾とか)が奇麗で、白黒だけどJKポターの美しいイラストがいくつも入っているので、これは買って正解でした(でも、パワーズ・ファンじゃなければ、怒っちゃうかも?)。

Publishers Weekly のレヴューはかなりネタバレなので、これから読む人は見ないことをオススメします。

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Sunday, February 11, 2007

Salmon Fishing in the Yemen, by Paul Torday

Salmon Fishing in the Yemen「アメリカの鱒釣り」ならぬ「イエメンの鮭釣り」というタイトルと、あっさりしたカバーが前から気になってたんですが、例によってよくわからなそうな本ですね。

イエメンの首長との会談で、サケ釣りをイエメンに導入することに同意した総理大臣が、白羽の矢を立てたのはうだつの上がらない漁業学者。イエメンといえばかなり乾いたところのはずなんですが、そこにサケマスを移殖し、そのうえいかにもイギリスらしいスポーツのフライ・フィッシングを根付かせるという、どう考えても不可能な難題を押し付けられちゃったんですね。さらには妻とも上手く行っていない主人公、下手をすれば国際問題にもなりかねないこの局面をいかに乗り切るんでしょう。

フライ・フィッシングと政治工作、思いがけないヒロイズムと晩生のロマンス、そして不可能が可能であることを証明しようとする物語ということですので、政治絡みのスラップスティックから意外に純なストーリイが顔を出す展開なんでしょうか。ちょっと期待できそうです。

作者のポール・トーデイは鮭釣りが趣味で、仕事で中東をたびたび訪れたことがあるので、このデビュー作を書くにあたり、自分のよく知っている二つのことを題材にしたとか。本人にとってはヘンな取り合わせではないのかも。なにやらかわいいオフィシャル・サイトもあります。

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Saturday, February 10, 2007

"Dralion" by Cirque Du Soleil

Cirque Du Soleil - Vol. 3現在6回目の来日公演中のカナダのサーカス集団シルク・ドゥ・ソレイユ。見たい見たいと思いながら、実は私まだ見に行ったことないんですよね~。今回の演目は日本初お目見えの "Dralion" なのですが、へへへ、実は DVD で見ちゃいました♪

詳細については公演のホームページに譲るとして、いやもうとにかくすごかったです。Dralion とは、東洋の Dragon と西洋の Lion の合成語で、東西の融和を象徴しています。実際出演者の多くが中国人で東洋と西洋の混成団となっていて、サーカス団自体がそれを体現しているんですね。中国雑技団の、人間業とは思えない柔軟でアクロバティックな演技を見たことがある方もいるかと思いますが、その難易度と芸術性を最大限に高めて西洋的なサーカスに融合させたという感じで、ただただ感嘆。見てるほうが、ひぇ~~と怖じ気づいてしまうような技を軽々とこなしてしまうのには、もう羨望の眼差ししか向けられませんでした。

DVD にはメイキング・シーンも収録されてるのですが、昆明での練習の場面を見ていると、最初から楽々とあんな難しい演技ができたわけではないのね~、とこれまた感動。監督の夢である高い目標に向かって、失敗を恐れず全員が一丸となって努力した結果なんですね。世界にはいろいろな対立がありますが、人種や言葉なんて関係ないんだと改めて感じました。

ド派手な衣装に包まれ、怪しいファルセット・ヴォイスの歌声にのせて繰り広げられるアクロバティックな演技は、今回も多くの人を魅了することでしょう。幕間のコントもおばかで(難しくてもそれを感じさせないところがまたスゴイ)とっても楽しいんですよ~。まだ未体験の方は、ぜひとも公演か DVD でご覧になることをオススメします。

イギリスのアマゾンでは "Cirque Du Soleil - Vol. 3" として、Alegria、La Nouba、Dralion、Saltimbanco の4枚が入った DVD Box Set がなんと £5.97(80% off)で売っているので超オススメ。Dralion、Varekei、Journey Of Man、A Baroque Odyssey の Vol.1 と Nouvelle Experience、Saltimbanco、Reinvente、Magie Continue の Vol.2(なんで演目がダブってるんでしょうね~)も先週までは 10ポンド未満だったのに、なんか値上がりしてます。それでも安いですけど、一緒に買っておけばよかったと激しく後悔中。

これ見たら、公演も行きたくなってしまいました。

注:日本ではこのボックスセットは出ていないので、リンク先はイギリスのアマゾンです。

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Friday, February 09, 2007

Hoodwinked

Hoodwinked (PAL) @ amazon.co.ukじつはこんなの見てました。いやもうおバカで楽しいのなんのって^^;

お察しのとおりベースは「赤ずきん」で、ヒロインのレッドがお祖母ちゃんに化けたオオカミに襲われそうになるんですが、綱でぐるぐる巻きにされたお祖母ちゃんが助けようとよたよたしている間に、窓から斧を振りかざしたキコリが飛び込んできて一件落着……っていうのが冒頭の3分間。じつは、「赤ずきん」との類似点はここで終わりで、ここからほんとうの物語が始まります。

大挙して押しかけた動物の警官隊はオオカミを引っ立てようとしますが、そこに現れたのがカエルの探偵。犬の警部をいさめて、関係者それぞれの証言を求めます。次々と明らかになる意外な背景。いやこのお祖母ちゃんの素顔というのが凄いです(笑)。じつはこの森では最近お菓子のレシピの盗難が相次いでいて、この事件の背後にも何者かの陰謀が影を落としているのでした。

CGアニメとはいいながら、手作りの良さを残したような画面はなかなか味がありますし、小ネタをふんだんに散りばめたリズムのいい展開は、子供より大人のほうがかえって楽しめちゃうかもしれませんね。ジェットコースターで空中に飛び出してしまったレッドに、雲間から現れたお祖母ちゃんの幻影が、"Use the hood..." なんていうし。そうか、フードにはこういう使い方もあったんだ^^) 声優の声のせいか、ヒロインのキャラが意外とオバンくさいんですが、空手の達人のレッドには向いている感じです。

ということで、おバカな人にはオススメです……あ、いえ、おバカなスラップスティックが好きな人には、です。う~ん、も一回見ちゃおうか^^)

イメージはアマゾンUKの PAL版にリンクしてますが、US版のほうが安そうです。オフィシャル・サイトもまだ生きてました。

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"Garage Band" by Gipi

Garage Band昨年フランスのアングレーム国際BDフェスティバルで金賞を取った "Notes pour une histoire de guerre" については、以前 marginalia でもちょこっとお伝えしましたが、そのイタリアのコミック作家ジピの別の作品(仏訳版は "Le local")がとうとう英語版で出るようです。やった!

バンドを組んで音楽に打ち込む、家庭に問題を抱える4人の少年たちの友情の物語――な~んて、とっても青春ですね~~~。こちらで数ぺージ読むことができますが、やっぱりすっごく上手い! もう予約しちゃいます。

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Tuesday, February 06, 2007

Sebastian Darke, by Philip Caveney

Sebastian Darkeう~ん、なんかこれは楽しそうですよ。「シュレック」やテリー・プラチェットや『プリンセス・ブライド』のファンにはうってつけだそうです。表紙もなかなかかわいいし。

人間の父とエルフの母の間に生まれた主人公セバスチャン・ダークは、父の後を継いで立派な道化師になるべく旅に出るのですが……。どうも奉公先を求めてお城に向かう間に、いわくありげな騎士とかお姫さまに出会うようですね。お供は人間の言葉を話すバッファロープ(バッファロー+アンティロープ)のマックスとのこと。ジョークのひとつさえいえないセバスチャンですが、無事に宮廷道化師になれるんでしょうか。

ちなみに Frances Hardinge の Fly By Night も『プリンセス・ブライド』を思わせるような話でしたけど、最近リバイバルの気配でもあるんでしょうか。それとも「シュレック」のせいですかね。

作者のサイトを見ると、このフィリップ・キャヴニイという人、大人向けのスリラーを書いてたようですね。なんかいかにもな表紙が並んでます^^) セバスチャン・ダークのオフィシャル・サイトもありますが、楽しげな音楽はいいんですけど、これってストップできないんでしょうか^^;

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Sunday, February 04, 2007

"The Silver Bough" by Lisa Tuttle

The Silver Bough"The Mysteries" に続くリサ・タトルの新作 "The Silver Bough" は、これまたケルト民話を現代に上手く蘇らせた、チャーミングな物語でした。

親友を突然失い滅入っていたアシュリーは、父の提案を受け、亡くなった祖母の故郷スコットランドのアップルトンを訪ねる。祖母は生前多くを語らなかったが、1950年に家族にも告げず故郷を離れアメリカに渡ってきていたのだ。アップルトンへ向かうバスの車窓から、アシュリーはエキゾチックな雰囲気の魅力的な青年を目にする。

アップルトンはその名のとおり昔はりんごで栄えた町だったが、アシュリーの祖母フェミーが伝統のアップル・クイーンの座を放棄して行方不明になってから、衰退の一途を辿っていた。その町にはそれぞれの事情で住みついたふたりのアメリカ人女性、図書館員のキャスリーンと、若くして夫を船の事故で亡くしその遺産で暮らす未亡人ネルがいた。

アシュリーがアップルトンに到着した夜、町は大きな地震に見舞われた。この海辺の町の他への唯一の接点である細い道は、落下した大きな岩で塞がれ、アップルトンは陸の孤島と化してしまった。するとなぜだか電話も不通となり、テレビやラジオの電波も受信できなくなり、住人はそれぞれ不思議な現象に遭遇することとなる。そしてある日、ネルが植えたりんごの木に黄金の実がなる。それこそがアップル・クイーンに選ばれた者がカップルで食し、町を繁栄へと導く幻のりんごだった。

半分くらいまでは、ごくふつうの現代の物語として進むのですが、町が孤立してから徐々に異世界が浸食してきて、謎の青年ローアンの正体が分かる頃には、アップルトンは全く別の世界と化してしまいます。この少しずつの変化が、ごく自然に現代の世界に現れてくるところが、なかなかミステリアスでよかったです。"The Mysteries" のときのように、章の間に今回はアップルトンの町の記事や伝説、関係者の手記が挟まれていて、背景がよく理解できるようになっています。これを物語の中に盛り込もうとするとかなり説明的になってしまうので、このようにして情報を挟み込むというのは、とてもいいアイディアですね。

最初はアシュリーが主人公だと思ったものの、そうではなくて、その辺がちょっと中途半端に感じはしましたが、後味もよく(でもちょっと謎を残した)、ベテラン作家による安心して読める楽しい現代のフェアリー・テイルでした。

タイトルの silver bough(銀の枝)は、あっちの世界へのパスポートみたいなもののようです。ギリシャ神話ではアイネイアスが冥界に行くときに、巫女シュビレの指示に従い黄金の枝を持って行きましたが、なんか関係があるのでしょうかね。

タトルの現代版ケルト民話シリーズ(?)、これからも是非続けて欲しいと思います。

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