The Great Victorian Collection, by Brian Moore
ヴィクトリア朝を専門とする美術の教授が、学会で訪れたついでに泊まったカリフォルニアのカーメルのモーテルで奇妙な夢を見るんですが……。前の晩、モーテルの隣の広大な空き地だったはずのところを埋め尽くすのは、まるで骨董市が引っ越してきたかのようなヴィクトリア朝の美術品の数々。
ところがこの宝の山、目を覚まして消えるどころか、世界中の美術館や著名なコレクターが所蔵する逸品と寸分の違いもない粋を集めたものだった。なかには記録に残っているだけで散逸してしまったと思しき品も混じっていたり、一画にはポルノがびっしり詰まった隠し部屋がしつらえてあったりと、疑いもなくヴィクトリア朝の家具調度、書籍、美術品の世界一のコレクションだった。
ということで、夢のようなというより、夢から生まれたヴィクトリア朝の一大コレクションが、専門家の手により紛れもない本物であることが立証されるんですが、ここに困ったことがひとつ。教授が町を離れようとすると、一部が日本製の粗悪な模造品に変わったり、雨が降ってきたりするんですね。でまあモーテルでずっと過ごすことになった教授、コレクションの一部とも見紛うような新聞記者のガールフレンドに横恋慕し、秘書に仕立て上げるんですが……。
まあミイラ取りがミイラになったようなコメディではあるんですが、じつのところかなりポイントレスな話で、なんとも身も蓋もない結末が待ってます。ま、チャーミングといえなくないこともないんですが、同じムーアでもクリストファー・ムーアあたりがこの設定で書いてくれたほうが、もっとオフビートで楽しいものになったかもと思わせるような作品でした。なんとなくタイトル負けしてます。
作者のブライアン・ムーアは、ブッカー賞に3度もノミネートされたというかなりの大家みたいですので、他の作品はもっと力作なのかもしれないですね。
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Comments
おや、この作品も 1975年のカナダ総督賞を受賞してますね。一風変わったコメディというあたりをもっと楽しまなければいけないのかも。
Posted by: a nanny mouse | Wednesday, October 11, 2006 at 00:03