« The Stone Ship, by Peter Raftos | Main | Farewell Summer, by Ray Bradbury »

Thursday, October 19, 2006

Do the Creepy Thing, by Graham Joyce

Do the Creepy Thingグレアム・ジョイスの TWOC に続く児童書第2弾です。

前作は少年が主人公でしたが、こんどの主人公は女の子。ものわかりのいい母親と二人暮らしで、なんでも一緒にする親友もいるし、ボーイフレンド(らしきもの)にもことかかない、まあそれほど悩みもないふつーの少女です。

けど、普通だからといって問題がまったくないということじゃないんです。母親はボーイフレンドだといって、よりにもよって主人公が通う中学校の数学の先生を連れてくるし(まー悪い人じゃないんですけど、これはどーかと思いますよね)、ボーイフレンドもうじうじしてるばかりで頼りないし、親友の家庭は飲んだくれの父親のせいでひどいことになってるみたいだし。

で、そんな主人公が親友と二人でときどきする冒険が、真夜中に他人の家に忍び込んで、眠っている人の顔に鼻を近づけて15秒数えるという、肝試しのような creepy thing という遊び。人のものを盗むわけではないし、まだ一度も見つかったことはないので、なにも悪いことをしているという意識はありません。

ところが、ある老女の家に忍び込み、15秒数え終わったかと思ったときに、突然老女が目を見開き、主人公の腕をぐいとつかんで銀のブレスレットをはめてしまいます。ほうほうの体で逃げ出した主人公ですが、どうあがいてもブレスレットは取れません。さらに悪いことに、次の日の朝起きてみると、ブレスレットは消えたものの、代わりに刺青のような痕がうっすらと残っていました。

ということで、老女にかけられた呪いを背負って、主人公の苦難が始まります。

刺青を消すための資金稼ぎに、親友と二人でバーのグラスを片付けるアルバイトを始めれば、酔っ払いにはからまれるし、やっとお金が溜まって刺青を消してもらおうとすれば、高価なレーザー治療器は轟音と共に壊れてしまうし、母のボーイフレンド(つまり学校の先生)に連れられていった教会では、牧師に悪魔が憑いていると罵られるし、へんなサングラスの女には付きまとわれるし……。

老女に取り入って解いてもらおうにも、ジプシーにかけられた呪いを何十年ぶりかで他人に押し付けた老女は、主人公をお手伝いのようにこき使うばかりでせいせいした顔。

けど、ブレスレットの力は、けっして呪いなんかではありませんでした。しだいに人のこころの動きが感じられるようになった主人公は、周囲の人々の真意や弱点を理解するにつれて、逆に自分から働きかけることの重要性に気づいていきます。

ううむ、やっぱり典型的なグレアム・ジョイスの作品(vintage Joyce)ですね。超自然な要素がけっして悪意の発露ではなく、重荷として受けとめた主人公の真摯な行動が、最後には開放へと向かわせるポジティヴな展開は、いつもどおりに読んでいて気持ちがいいです。

まあ大人向けの作品と比べるとあっさりはしてますけど、TWOC のように特殊な状況を相手にしなくても、ごく普通の日常に繊細な視線を向けて、そこに潜むわだかまりをつかみ出し、逆に肯定的なパワーに変えてしまうジョイスの心霊治療師的な手際は、相変わらず見事です。

なんかこの人って、傑作以外書けないんですかね^^)

|

« The Stone Ship, by Peter Raftos | Main | Farewell Summer, by Ray Bradbury »

Comments

傑作でしたよね、ね^^)
私はTWOCは大事に残しておいて、こっちを何度も読み返してるんです。もうめちゃくちゃ好きで、何度か感想書こうとしたんですが、コーフンしすぎて駄目でした。いやもう、落ち込んだときはジョイスに限ります。YAだとよりストレートなので、心霊治療に即効性がありますね^^)

Posted by: bumpkin | Friday, October 20, 2006 01:17

あれ? bumpkin さんって、YAものはダメなんじゃなかったでしたっけ^^)

いえまあこれはお気に召すと思ってました。はたから見てるとかなり滑稽で、でもときどきジンときちゃうのはやっぱりジョイスですね。

Posted by: a nanny mouse | Friday, October 20, 2006 22:26

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference Do the Creepy Thing, by Graham Joyce:

« The Stone Ship, by Peter Raftos | Main | Farewell Summer, by Ray Bradbury »