"In the Reign of Harad IV" by Steven Millhauser
ブッシュがこんどはイラン空爆を画策中の記事を見にニューヨーカーに行ったら、ミルハウザーの新作短編に出くわしたので、こっちを読んじゃいました。
ハラド4世の宮殿でミニチュア製作に携わる彫刻家、普段は王宮内の家具調度や、600室を擁するというトイ・ハウスの装飾や修繕に腐心していたが、ミニチュアのリンゴに止まる超小型のハエを設えたことから、レンズで拡大しないと見えない極小の模型の製作に没頭していく。サクランボの種に刻んだ36頭の象に、トイ・ハウスの26部屋を再現した指貫。最初は面白がって見ていたハラド4世も、次第に呆れ顔。
だが、彫刻家の探求は止むことをしらず、自分の世界に閉じこもる孤高の天才という、いつものミルハウザーの展開へ。弟子にまで見放された彫刻家は、レンズを通してさえ見えないトイ・ハウスの忠実な模型を完成させ、ついには、王国全体のミニチュア化へと駆り立てられていく。
状況は異なりますが、なにやら裸の王様のような結末ですね。際限のないオブセッションのエスカレーションが、普遍的なテーマではあるんですけど、まるで今のブッシュを描いているように読み取れてしまいました。ミルハウザーにしては小粒(笑)な作品ですけど、短いので読んでも損はないと思います。

Comments
なんだか私には、ミルハウザー自身の姿が重なって見えました。オブセッションに憑かれた男というオブセッションに憑かれた男ですよね(笑)。
最後に出てくる孫弟子の賞賛は、見当違いのピューリッツァー受賞の隠喩じゃないかしらん。
Posted by: quark | Monday, April 10, 2006 at 22:58
あ、でも、あの作品はいつものミルハウザーらしくなくて、ピューリツァー向きの感じがしましたけど。ファンの間ではあんまり評判よくないようですが、あのスルっと抜けてしまう結末はけっこう好きですね。
Posted by: a nanny mouse | Tuesday, April 11, 2006 at 00:14