Silent Shout, by The Knife
エレクトロニカというかシンセ・ポップというか、リズム・ボックスをベースにしたダンス・チューンは基本的に好みではないんですが、ナイフっていうスウェーデンの兄妹デュオ、くせになるんですよね。
White Stripes とか The Fiery Furnaces とか、兄妹(姉弟?)バンドって不思議とアクが強いものが目に付きますけど、このナイフも、芯にポップなものを残しながらもとってもネクラです。とはいえ、救いようのない暗さではなく、ちょっとユーモラスで温かい暗さとでもいいましょうか。
前作の Deep Cuts からのシングル "Heartbeats" を、同郷のシンガー、ホセ・ゴンザレス(まるっきりスペイン系の名前ですけど、生まれも育ちもスウェーデンだそうです)がカバーしてかなり売れたので、ナイフの二人もキャッチーなポップ路線で売り出すという手もあったと思うんですが、この兄妹、やっぱりヘン。新作の Silent Shout では、ますます趣味に走った暗い方向へ行っちゃってますね。いやまあいよいよ研ぎ澄まされて奥行きを増した音作りがなんともいいんですが。ほんと、かなりの名盤です。
プロモーションのサイトではタイトル・トラックのヘンテコなビデオ・クリップが見られるだけでなく、音質は落としてありますけど、全曲のストリーミングが提供されてます。ちょっと懐かしいヨーロッパふうのメロディの "Marble House" なんて、かなりの名曲じゃないでしょうか。スウェーデン訛りのひしゃげた感じの英語のヴォーカルもなかなか魅力的です。
もう少し明るいほうが好みという方は、前作の Deep Cuts からどうぞ。こちらのほうが全般にポップな曲が多いです。このイギリス盤には、ビデオ・クリップと胡散臭い「ナイフ発見秘話」の短編映画が入った DVD がついてますので、とってもお得です(ただし PAL ですけど)。う~ん、日本盤が出てないのがなんとも不思議。
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