The House of Paper, Carlos Maria Dominguez, illustrated by Peter Sis
読みました……っていっても、100ページほどの小型のハードカバーなんで、1時間ほどで読めちゃうノヴェラの長さなんですけど。
なんと~、わたしと同業、じゃない、同類の、バベルの塔のレンガ積みの話でした^^; う~む、身につまされる。
本好きなんてろくなことないんですよ。語り手の知り合いには、ブリタニカ百科事典5巻を頭に受けて麻痺になったり、フォークナーの『アブサロム、アブサロム』を取ろうとして脚立から落ちて脚を折ったり、古文書館に篭って結核になったりした人がいるそうな。はたまたチリでは『カラマーゾフの兄弟』を喰らって消化不良で死んだ犬もいたという。
語り手の同僚の英文学の教師ブルーマも、本によって運命を変えられた人のひとり。エミリー・ディキンスンの詩集を読みながらロンドンの街角を歩いているときに、車に当たって、死んでしまったのだ。そのブルーマの元に、遠くウルグアイから奇妙な小包が届いた。中に入っていたのは、ブルーマがカルロスという相手に贈ったコンラッドの The Shadow-Line。だが、その本は、なぜかセメントに塗り固められていた。
休暇で故郷のブエノス・アイレスに戻った語り手は、謎の「カルロス」を探して隣国ウルグアイへと足を伸ばす。古本屋を廻ってカルロスの足取りを追う語り手は、愛書家にまつわるおばかな噂を耳にしながら、ついに、鄙びた海岸で、バベルの塔のレンガ積みを探し当てるのですが……なかなか虚しさの漂うエンディングですね。
本にまつわるエピソードを散りばめてはいても、ぺダンチックな濃さよりはほどほどの軽さが味になってます。だからビブリオマニアの狂態を期待すると肩透しを食いますが、微笑ましいというか、なぜか惹かれてしまう奇妙な魅力がありますね。大して盛り上がりも驚きもない地味な作品ではあるんですが。同業、じゃない、同類の血が呼ぶんでしょうか^^)
マス・マーケットのペーパーバックより一回り大きい程度の小型本なんですが、濃いグレーの刷り色の本文に、10点ほど茶色で印刷したピーター・シスの挿絵が彩りを添えてます。文章を補完するというよりは、本文からインスパイアされて自由に描いたという感じで、なかなかかわいいです。
たぶん作中に出てくる「カルロス」とは別人の作者カルロス・マリア・ドミンゲスはウルグアイ在住とのこと。凝りに凝った濃い作品ばかりでなく、こういうほどほどの作品も時にはいいんじゃないでしょうか。本好きに(警鐘を込めて)クリスマス・プレゼントに贈るなんていうのもいぢわるでいいかも。
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Comments
Amazon.com の SEARCH INSIDE! で裏表紙を見て初めて気がついたのですが、これって鳥だったんですね~。私はてっきり蝸牛かと……だって背中に渦々が……。あ、これって翼? ま、これも幻獣ではありますね(←違う本とごっちゃになっている)
Posted by: Lilith | Friday, November 18, 2005 at 21:38
わたしはカメかと思ったんですが、どうもなんか本のページからできたハーピーみたいな感じです。ネバーエンディング・ストーリイのパクリかも^^)
幻獣事典のほうはかなりがっかり。詳細はそっちのほうのエントリで。
Posted by: a nanny mouse | Saturday, November 19, 2005 at 23:48