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Monday, October 31, 2005

Index of October, 2005

  • 10/01 Irish Traditional Music by Lilith in misc
  • 10/02 Alice's Adventures Under Ground by a nanny mouse in see here
  • 10/02 Peter S. Beagle Needs Our Help by a nanny mouse in see here
  • 10/03 "The Dark Chamber" by Leonard Cline by Lilith in one to watch
  • 10/03 Blind Owl, by Sadegh Hedayat by a nanny mouse in reading
  • 10/03 Last Night of Carnival and Other Stories, by Norberto Luis Romero by a nanny mouse in one to watch
  • 10/04 Revelation Space, by Alastair Reynolds by a nanny mouse in review
  • 10/05 "The Nicholas Feast" by Pat McIntosh by Lilith in one to watch
  • 10/05 Winsor McCay by quark in watch this
  • 10/05 "Terry Jones' Medieval Lives" by Terry Jones by Lilith in one to watch
  • 10/06 "Chaucer and the House of Fame" by Philippa Morgan by Lilith in one to watch
  • 10/07 The Necessary Beggar, by Susan Palwick by a nanny mouse in one to watch
  • 10/07 Myths Series by quark in news
  • 10/07 The Bookcast at Powells.com by Lilith in misc
  • 10/08 "The Valley of Secrets" by Charmian Hussey, Christopher Crump (Illustrator) by Lilith in one to watch
  • 10/08 G. P. Taylor in Trouble by a nanny mouse in buzz
  • 10/09 Flawed Angel, by John Fuller by a nanny mouse in one to watch
  • 10/09 The Vesuvius Club, by Mark Gatiss & Ian Bass by a nanny mouse in one to watch
  • 10/09 GIANT microbes by a nanny mouse in scribble
  • 10/09 "The Lizard Cage" by Karen Connelly by Lilith in one to watch
  • 10/10 "Pay the Piper : A Rock 'n' Roll Fairy Tale" by Jane Yolen, Adam Stemple by Lilith in one to watch
  • 10/10 WE3, by Grant Morrison & Frank Quitely by a nanny mouse in reading
  • 10/10 Announcement for Nobel Literature Prize Delayed by a nanny mouse in buzz
  • 10/11 John Banville Wins 2005 Man Booker Prize by a nanny mouse in news
  • 10/11 Four and Twenty Blackbirds, by Cherie Priest by a nanny mouse in one to watch
  • 10/12 The Shroud of the Thwacker, by Chris Elliott by a nanny mouse in one to watch
  • 10/13 "Lady Cottington's Pressed Fairy Book: 10 3/4 Anniversary Edition" by Terry Jones, Brian Froud (Illustrator) by Lilith in one to watch
  • 10/13 Hinterland, by David Barnett by a nanny mouse in one to watch
  • 10/14 Just want to put them side by side and see... by Lilith in scribble
  • 10/14 ... and now come mists and storms by a nanny mouse in scribble
  • 10/15 Full Dark House, by Christopher Fowler by a nanny mouse in review
  • 10/15 So you'd like to... Discover the True Identity of John Twelve Hawks by a nanny mouse in buzz
  • 10/15 "The 13th Hour" music by Midnight Syndicate by Lilith in listen, listen
  • 10/16 American Gods, by Neil Gaiman by さつき in review
  • 10/16 "The Narrows" by Alexander C. Irvine by Lilith in reading
  • 10/17 The Golems of Gotham, by Thane Rosenbaum by a nanny mouse in one to watch
  • 10/17 Evening's Empire, by David Herter by a nanny mouse in review; theme: sick lit
  • 10/17 "The Dedalus Book of Finnish Fantasy" by Johanna Sinisalo et al. by Lilith in one to watch
  • 10/18 Troll: A Love Story, by Johanna Sinisalo by a nanny mouse in review
  • 10/19 "Joplin's Ghost" by Tananarive Due by Lilith in one to watch
  • 10/19 "2006 Witches' Calendar" by Llewellyn by Lilith in one to watch
  • 10/20 It's Superman!, by Tom De Haven by a nanny mouse in one to watch
  • 10/20 Veniss Underground, by Jeff VanderMeer by a nanny mouse in review
  • 10/20 "Offerings" by Brom by Lilith in reading
  • 10/21 "Wolves" by Emily Gravett by Lilith in one to watch
  • 10/22 "The Remedy" by Michelle Lovric by Lilith in one to watch
  • 10/23 "Jabberwocky and Other Short Films" by Jan Svankmajer by Lilith in misc
  • 10/24 Zanesville, by by Kris Saknussemm by a nanny mouse in one to watch
  • 10/24 "To Charles Fort, with Love" by Caitlin R. Kiernan by Lilith in one to watch
  • 10/25 Lone Star Statements by a nanny mouse in buzz
  • 10/26 "Fantasy Encyclopedia" by Judy Allen by Lilith in one to watch
  • 10/27 Matty Groves, by Deborah Grabien by a nanny mouse in one to watch
  • 10/28 "Viator" by Lucius Shepard by Lilith in one to watch
  • 10/30 Viriconium, by M. John Harrison by a nanny mouse in one to watch
  • 10/30 Light, by M. John Harrison by a nanny mouse in review
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    Sunday, October 30, 2005

    Light, by M. John Harrison

    ハリスンの話題が出たついでに、Light の紹介もしておきましょう。国書刊行会の今後のラインアップに登場しています。

    Light今、イギリスの作家たちの間で一番尊敬されている現役のSF/ファンタジイ作家は、クラークでもバラードでもなく、M・ジョン・ハリスンである……などと始めると、首をかしげる人も多いだろう。たしかに、ニュー・ウエーヴの端役のひとりとして、20年ほど前にサンリオSF文庫から長編『パステル都市』が出ている以外、ほんの一握りの短編が翻訳されているだけという状況では、忘れ去られたというよりも、日本では全く認知されなかった作家といえるかもしれない。

    だが、遠未来を舞台にしたファンタジイ『パステル都市』は、10年以上に亙る深化と洗練を経て、三冊の短い長編と七つの短編からなる《ヴィリコニウム》へと熟成し、その後の多くの作家の精神的支柱となった。このシリーズがなければ、今のイギリスSFの活況はなかったといっても過言ではないほど、現代の中堅・若手作家はその影響にどっぷり浸かっているのである。その後ハリスンは、短編以外ではSF/ファンタジイを離れ、作家活動の中心は一般小説へと移る。

    そのハリスンのSFとしてはほぼ30年振りとなる新作『ライト』の登場は、2002年イギリスSF界最大のイベントとなった。カバーの推薦文にはこぞるようにハリスンの精神的な子供たちが名を連ねる。イアン・バンクス、スティーヴン・バクスター、マイケル・マーシャル・スミス、アレステア・レナルズ、ケン・マクラウド、そしてチャイナ・ミエヴィル。ハリスンはその当代一流の子供たちの鼻面に、さらに高い目標を突きつけたのである。

    銀河の核にほど近いケファフチ宙域。ここには事象の地平線を持たない裸の特異点があり、近くの惑星には時々奇妙な物体が流れ着く。小惑星上で見つかったからっぽの宇宙船と二振りの骰子、人間の骸骨の由来をめぐって、物語は現代のロンドンと400年後の宇宙を舞台とした三つのストーリー・ラインを交互にたどる。

    現代のパートの主人公である物理学者ポール・カーニイは、フラクタルな空間認識の特殊能力をベースに、量子コンピュータ完成へのブレイク・スルーを間近に控えていた。彼の発明がその後の人類の宇宙への進出を後押しすることになるのだが、彼にはそれより切実な問題があった。子供の頃に浜辺である光景を目にして以来、馬の頭蓋骨の姿をした怪物シュランダーに追われる彼は、骰子を振り、その目の出方に従ってあちこちに旅行し、行きずりの女を殺すことで悪夢から逃げつづけている。だが、それも終わりに近づいていた。

    400年後の未来では、「ホワイト・キャット」の船長セリア・マウが、ドクター・ヘインズを呼んでくれと言いつづける箱を手にして思い悩んでいた。ただひとりの生身の人間として宇宙船と一体化しているセリア・マウは、異星人の遺した宙航コンピュータであるシャドウ・オペレータに十次元空間の操作を委ね、箱の手掛かりを追って「遺伝子の仕立屋」アンクル・ジップの住む惑星を目指す。だが、その前に、彼女の海賊行為を見咎めて追尾してくる警備船を片付けなければならない。

    一方、ケファフチ宙域の異星人の遺物を漁る目的で発展した周辺地域「ビーチ」にあるヴィーナスポートでは、バーンアウトした元宇宙船のパイロット、エド・チャイアニーズが、仮想ポルノ空間に入り浸っていた。だが、地元のヤクザ、双子のクレイ姉妹の逆鱗に触れたエドは、リキシャ・ガールのアニーに助けられ、「パテト・ラオのサーカス」に潜り込み、未来予知の見世物を行うこととなる。彼の見たものは、来るべき大戦の恐怖だった。

    ホラー仕立ての現代小説を思わせる連続殺人鬼のパラノイアックな狂気、ハイパー・モダンなスペース・オペラ、コミカルなサイバーパンクという、最初は関連の見えない三つのスレッドは、徐々に共鳴を始め、触手を絡めながら、一つに収斂する。ある出来事がきっかけでずっと自分自身から逃げ回っていた三人が、それぞれの過去と対峙することでひとつのことを成し遂げる結末は、予想されるごとくデウス・エクス・マキナである。だが、決して長いとはいえない物語の中で、無数のアイデアと重層的なプロットを破綻なくまとめ上げ、小説としての完成度も極限まで追求したこの作品には、ごくごくふさわしいものとなった。

    三原色が重なり合って生まれる白光のように、眩いオープン・エンドの結末が心地よい。(2003/5/12)

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    Viriconium, by M. John Harrison

    Viriconium現在のイギリスのファンタジイのお手本となっているヴィリコニウムの長編3冊と短編集1冊が合本になった作品集が、なかなかかっこいいカバーの新装版で出ましたので、これは是非とも押さえておきましょう。イギリスのゴランツ版も手に入るんですが、アメリカでは初の出版になるというこちらはトレード・ペーパーバックですので印字も読みやすいです(とかいいながら途中で止まっている人はだれでしょう^^;)。

    イギリスの本格的なファンタジイの歴史が『ゴーメンガースト』で始まったとすれば、このシリーズは中興の祖ということになるでしょうか。チャイナ・ミエヴィルやエリザベス・ハンドを始め、ジェフ・ヴァンダーミアやジャスティナ・ロブスン、K・J・ビショップやステフ・スウェインストンという、現代を代表する多くのファンタジイ作家が大きな影響を受けた作品として挙げているものです。位置付けとしてはジーン・ウルフの「新しい太陽の書」に匹敵するもの、あるいは、影響力の点ではそれ以上のものといえるかもしれません。

    日本では遥か昔にシリーズ最初の長編の『パステル都市』がサンリオ文庫から出ただけで、ハリスン自身がほとんど紹介されてませんが、そろそろ取り上げ時じゃないですかね。国書刊行会で邦訳予定の Light に続けて訳されるなんてことはないかな~。

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    Friday, October 28, 2005

    "Viator" by Lucius Shepard

    viator 幽霊屋敷の次は、幽霊船(?)です。

    お、この表紙はなかなか♪……と思ってよく見たら、ピカシオでした。やっぱりこの色彩感覚と幻想的な雰囲気はいいですね~。この絵のオリジナルはこちら

    ルーシャス・シェパードの新作、物語のほうもとてもおもしろそうです。表紙の絵は、20年前アラスカ沖で座礁して放置されたままになっている貨物船「ヴァイエイター」。これを引き上げるために4人が謎の男に雇われるのですが、船のミステリアスな過去を調べていくうちに、「ヴァイエイター」の魔力にかかったように、みんな正気を失ってしまうそうです。そしてリーダー格で主人公のトーマスが夢で見たとおりに……。「ヴァイエイター」って「旅人」という意味ですよね。船名もなにか関係あるんでしょうか。いろいろ期待させてくれます(全然関係なかったりして)。

    いつもだったら「このページ数でこの値段は高い!」と怒っちゃいうのですが、この表紙にこの内容だったら迷わず買ってしまいますね。

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    Thursday, October 27, 2005

    Matty Groves, by Deborah Grabien

    Matty Grovesまだハロウィン・シフトでいいんでしょうか? ダメっていってもポストしちゃいますけど。

    イギリスの伝承音楽をモチーフにした幽霊がらみのミステリだそうです。フォーク・シンガーのリンガン・レインとその恋人が、古い屋敷を訪れて幽霊に出会い、過去の事件を解明するという体裁で、この作品が3作目のようです。あまり長くないコージーものということですが、トラッド・ミュージックにゴースト・ストーリー、歴史的な謎ときては、三題話みたいでちょっと惹かれますね。

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    Wednesday, October 26, 2005

    "Fantasy Encyclopedia" by Judy Allen

    fantasy_encyclopedia ジュディ・アレンは、ウィットブレッド賞や地球の友「ミミズ」賞など、多くの賞を受賞している児童書作家。そんな彼女が、ゴブリン、妖精、ドラゴン、ドラキュラ、人魚など、ファンタジー小説や民話に出てくるあらゆる生き物について、項目別に分りやすく解説した事典が、この "Fantasy Encyclopedia" です。

    アーサー・ラッカムから、ロード・オブ・ザ・リングのジョン・ハウまで、400枚ものイラストや写真がついているというので、それを見るだけでも楽しそうです。『バーティミアス』シリーズのジョナサン・ストラウドが序文を書いています。

    例によって US 版のほうが安いけど、表紙は UK 版のほうがいいですね。

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    Tuesday, October 25, 2005

    Lone Star Statements

    タイムが選ぶ1923年以降に書かれた英語の本ベスト100冊ですが、まあ単にタイムの書評家2人が相談して選んだだけなので、ジャンルものや最近の本が結構入っているという以外、他のメディアのベストほど選択の根拠はないんですが、それにあやかったちょっと面白い記事を見つけました。

    100冊の中からいくつか選んで、アマゾンの読者評から星ひとつのコメントをピックアップしたというものなんですが、かなりの傑作が混じってます。The Catcher in the Rye、Gravity’s Rainbow、Mrs. Dalloway、The Sun Also Rises あたりが非常に楽しいんですが、個人的にウケてしまったのは The Lion, The Witch and the Wardrobe と Slaughterhouse-Five に対するコメント。かなりあっちの方に行っちゃってますね^^)

    Codexちなみに、タイムの書評家のひとりレヴ・グロスマンは、一般文芸書の書評をしながらも本人はスリラーの書き手という変り種で、今回のセレクションにもいくつかSFを紛れ込ませるなど、かなり好みが反映されているみたいです。ゲーム関係も詳しいようで、その手のインタヴュウなんかもこなしてますね。グロスマンの2004年の作品 Codex は、古文書にまつわる謎に「MYST」のようなゲームを絡ませて、現実のゆらぎをうまく表現したディックを思わせるところもある作品で、『ダ・ヴィンチ・コード』系の作品の中では出来のいいものでした。アマゾンの書評ではそこらへんがわからなかった読者にむちゃくちゃ虐められてますけど、そのうち正当に評価されるんじゃないでしょうか。

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    Monday, October 24, 2005

    "To Charles Fort, with Love" by Caitlin R. Kiernan

    to_charles_fort_with_love ホラーなキアーナンの新作は、チャールズ・フォートへ愛を込めてなんていうタイトルからして怪しげな、13篇からなる短編集です。パブリッシャーズ・ウィークリーのレヴューには、strange dark worlds とか、madness とか、nightmares とか fear なんて言葉が散りばめられていて、そんなありきたりな形容詞に騙されないわよと思いつつ、ついつい誘われてしまいそうです。

    リチャード・カークのイラストがついているというのも、気になります。

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    Zanesville, by by Kris Saknussemm

    Zanesvilleこの表紙を悪趣味と思わない人はさすがにいないでしょう^^) 今年の Worst Cover of the Year はほぼ決定ですね。大きく開けた口の中に、バベルの塔と逆さになった……なんかビールのラベルかなにかのおねーさんなんでしょうか。

    ううむ、表紙といっしょで、アマゾンの紹介を読んでもすごくヘンな本という以外によくわかりませんね。地震と宗教戦争で混乱し、政府までもがドラッグの製造会社の下請けをやってる近未来のアメリカで、30年前から飛ばされてきた記憶喪失の主人公が奇妙な人々の間を遍歴する話とのこと。早口言葉を口にするだけで敵がひざまずくというんですから、ただ者ではありませんね。テリー・ギリアム版のガリヴァー旅行記なんていう評もありますけど、それって……ほっといてもそのうち登場するのでは?

    もちろんわたしはこういう趣味の悪い表紙のヘンな本は買いませんし読みませんが、ここにポストしておいたら間違って手を出す人もいるかもしれませんよね。ペーパーバックだから安いですし^^)

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    Sunday, October 23, 2005

    "Jabberwocky and Other Short Films" by Jan Svankmajer

    jan_svankmajer チェコ・アニメの巨匠ヤン・シュヴァンクマイエルの廉価版DVDが、今年出てたんですね。私は高いほうを昔買ったんです(悔しい~)。

    この短編集には人気のある6篇が収録されているので、シュヴァンクマイエル入門としてはいいかも。アニメといってもイラストではなく、人形などをコマ撮りして動かすほうです。今はCGで何でもできちゃいますが、いろいろな制約があって作製しているこちらのほうが、逆に新鮮さを感じますね。想像力も豊かで感嘆してしまいます。ただ、虫が苦手な人は見ないほうがいいでしょう。

    最初の『シュヴァルツェヴァルト氏とエドガル氏の最後のトリック』は、2体の人形がステージで他愛のないマジックを披露しあう物語。顔の表情は変わらないのに、仕草だけで相手に対する内心穏やかでない気持ちがひしひしと伝わってきます。ふたりとも最初は紳士的に振る舞っていたのに、だんだん敵意をむき出しにして……と、その表現力が素晴らしいです。マジックもシュールというか、お馬鹿というか……ステキ。

    次の『J・S・バッハ-G線上の幻想』は、曲に合わせて錆びた鉄線やひび割れた壁の映像が映るのですが、これはバッハのイメージとは全然違うので、ワイヤーのくねくねが曲に合っていたとしても、ちょっとう~んって感じでした。

    木の枝でカムフラージュした中年男が草むらから突然現れて、オンボロアパートの各ドアに次々と穴を開けて中の様子を窺う『家での静かな1週間』では、普通のキャンディーや家具が、人間に見られてないのをいいことに、なにやら怪しい動きを始めます。ストーリーは殆どないのですが、目だけで楽しめる作品です。

    『庭園』はふつうの実写で、20年ぶりに再会した友人の家に招かれた男の話。友人の運転する車で彼の家に着いてみると、なんと庭の周りで人間が生け垣を作っているんです(「人間の鎖」みたいに)。意味はよく分らないのですが、ブキミな雰囲気の漂う作品です。車のバックミラーについてたマスコットが、絞首刑になったみたいな揺れ方をしていたと感じたのは私だけ?

    『オトラントの城』は、あの『オトラント城奇譚』の城が南イタリアではなく、チェコにあったという大発見(?)のドキュメンタリー形式の作品。発見者である学者のインタヴューと同時進行で、原本のイラストが動き出して、ストーリーを演じてくれます。もちろんあの兜も出てきます。最後のオチがよかったです。

    何と言っても一番好きなのは、子供部屋の人形やおもちゃが動き出す『ジャバウォッキー』ですね。人形が釜ゆでになったり、人形が人形を食べちゃったり、考えようによってはグロテスクかもしれませんが、レトロでかわいいんですよ~。

    う~ん、長篇の『アリス』と『ファウスト』も廉価版で再発売されてますね(悔しい~)。

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    Saturday, October 22, 2005

    "The Remedy" by Michelle Lovric

    the_remedy18世紀のヴェネツィアの女優と、ロンドンの闇医学界のダーク・プリンスとの愛に、殺人事件が絡んだ物語……だけではさほど惹かれませんが、当時のヴェネツィアとロンドンの情報+ナイルの人魚の舌など怪しい処方満載と聞くと、うっかり注文してしまいそうです。この作品、今年のオレンジ賞のロングリストにも入ってました。

    この本の詳細と著者のミッシェル・ロヴリックについては、出版社のサイトをご覧下さい。

    UK 版はペーパーバックでもう出ているのですが、表紙は絶対 12月に発売される US 版のハードカバーほうがいいです。値段もちょっとしか変わらないし、ヴェネツィアといえばやっぱりこの仮面ですよね。

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    Friday, October 21, 2005

    "Wolves" by Emily Gravett

    wolves ネズミみたいなウサギが表紙のオオカミというタイトルのこの絵本、12月14日に発表されるネスレ児童書賞(Nestlé Children’s Book Prize =旧スマーティーズ賞)5歳以下の部にショートリストされているのですが、ちょっと気になります。

    ある日ウサギが図書館でオオカミの本を借りたら、その本の中の世界が現実に! というお話らしいですが、文はウィットに富んでいて、イラストもなかなかよいそうです。

    この本、作者兼イラストレータのグラヴェットのデビュー作なのですが、2004年度のマクミラン賞も受賞しています。彼女、学校を中退してから長らく放浪生活をしていたものの、最近落ち着いて、退屈しのぎにブライトン大学でイラストの勉強をしたら、才能が開花しちゃったみたいです。版権も、もう5カ国に売れてるというからすごい人気ですね。

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    Thursday, October 20, 2005

    "Offerings" by Brom

    offerings ブロムのイラスト集 "Darkwerks" がとても気に入ったので、それより後に出てもっと評判のいい "Offerings" も買っちゃいました。

    読者評によると、こっちのほうが成熟して洗練されているということだったのですが、私は "Darkwerks" のほうが好きかな。う~ん、でもどっちも好きかも。なんか日本の武者人形みたいなイラストもありました。

    ハロウィーンの仮装の参考になりそうな衣装もある……かも?(女性の場合、モデル並のスタイルじゃないと着れないと思いますけど)

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    Veniss Underground, by Jeff VanderMeer

    Veniss Undergroundヴァンダーミアの長編第1作がレギュラーのペーパーバックで大手から再登場しましたので、紹介しておきましょう。ハロウィン向きでもありますし。

    架空の都市アンバーグリスを舞台にしたシュールな連作短編集 City of Saints and Madmen (2001) で一躍脚光を浴びたジェフ・ヴァンダーミーアは、トールキン・クローンのハイ・ファンタジイの氾濫で硬直化したジャンルに、本来のファンタジイが持つ活力を取り戻そうと試みる新世代の作家の代表選手である。そのオピニオン・リーダーとしての位置付けは、チャイナ・ミエヴィルと並ぶものといえよう。

    両者の共通点は、19世紀以来の幻想小説の伝統を踏まえながらも、広く文学全般に目を向け、ゲットー化したジャンルを文学の本流に押し戻すことが自身の責務だと捉えているところにある。とはいえ、自らをジャンル内に位置付け、そこから外に打って出ようという、どちらかといえば伝統志向のミエヴィルに対し、ヴァンダーミーアは、ボルヘスやナボコフ、アンジェラ・カーターという、ジャンルに縛られない作家に視点を定め、スタイル上の実験にも意欲的に取り組みながら、より広い土俵での勝負を意識している。彼はまたアンソロジストとして、あるいは自ら運営する出版社を通して、新しい才能の紹介を積極的に行っており、このところの小出版社の活況を支える世話役の一人でもある。

    ヴァンダーミーアの初の長編『ヴェニス・アンダーグラウンド』は、ポスト・ホロコースト的な遠未来の地方都市ヴェニスで幕を開ける。長年に亙るAIの独裁から解放された人々は、その代償として、都市ごとに分断された政体を持つに至った。環境破壊が極度に進み、人間以外の生物はほとんど姿を消し、過去の技術も衰退の一途にある。人々は崩れ行く都市の空隙をホログラムで補って生活していた。

    売れないホロ・アーティスト、ニコラスの一人称による第1部は、彼がミーアキャットを求めて「クィンの上海サーカス」を訪れた経緯を語る。ウェルズのモロー博士を想起させるクィンは、バイオエンジニアリングの第一人者として、絶滅した生物のみならず、架空の生物も気の向くままに作り出すカリスマ的な「生命の芸術家」だった。彼の手になるミーアキャットは、カンガルーとゴリラの遺伝子をブレンドした、家政婦兼用心棒の役を器用にこなす知的生物である。だが、ニコラスはこの訪問を境にふっつりと消息を絶ってしまう。

    ニコラスと同じ人工子宮から生まれた双子の姉、ニコラを二人称とした第2部は、プログラマとして街の秩序を維持しながら、弟の行方を探す彼女の日常を追う。ある時、象の頭をした警備員ガネーシャが、ニコラの元に1匹のミーアキャットを連れてきた。クィンからのプレゼントだという。弟の失踪とクィンとの関連を疑うニコラは、手掛かりを求めて手元に置くことにする。だが、夜中に家を抜け出したミーアキャットを尾行したニコラは、彼らが街の乗っ取りを画策する現場を目撃する。

    三人称視点の第3部は、クィンの下働きのシャドラックが、若返りの手術を受けたばかりだという顧客の老嬢の目と手に、かつての恋人ニコラの印を発見するシーンで始まる。臓器バンクの記録によれば、ニコラが収容されたのはわずか2日前。まだ生存している可能性はある。彼女のアパートに駆けつけたシャドラックは、暗殺者仕様のミーアキャットに襲われる。かろうじてこれを倒した彼は、切り落とされてもなお減らず口の止まない首を抱えて、クィンの本拠であるヴェニスの地下へと下る。

    街の地下には三十層に亙って無秩序な闇の世界が広がっていた。臓器バンクの、高々と積み上げられた死体の山から、まだ息のあるニコラを掘り出すシャドラックの姿には、オルフェオの冥界行が重なる。さらにクィンを追って最下層へと至るシャドラックは、ダンテの「地獄編」、あるいはヒエロニムス・ボッシュの絵画さながらの世界へと足を踏み入れる。SF、ホラー、ファンタジイを経てグロテスクな美を追求してきた物語は、オズの魔法使い的なクィンとの対決に至って、さらにシュールなイメージの奔流へとなだれ込む。たしかに新しいファンタジイの一つの方向がここにある。

    ウェブ上で作家がジャンルの将来について議論する場面を目にすることが多くなった。超弩級のマッコウクジラを思わせるミエヴィルと、しなやかなダイオウイカのヴァンダーミーアの一騎打ちは、中でも一番スリリングなものだ。いや、新世代のファンタジイの大海には、まだまだ未知の巨大生物が潜んでいるのかもしれない。(2003/7/11)

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    It's Superman!, by Tom De Haven

    It's Superman!スーパーマンを主人公にした物語といえば、ノヴェライゼーションみたいなものかと思いきや、若き日のクラーク・ケントが、自分の力に戸惑いながら、スーパーマンとして成長していく過程を描いたものだそうです。1930年代の雰囲気をしっかり描いた歴史小説的な作品でもあるみたいですので、とくにスーパーマンに興味のないわたしでも、なんか惹かれてしまいますね。この間はミッチ・カリンのシャーロック・ホームズを主人公にした A Slight Trick of the Mind で大感動しましたんで、これもひょっとしたら当たりかも。

    作者のトム・ドゥ・ヘイヴンは、新聞の連載漫画創生期のころの20世紀初頭を背景にした Derby Dugan 3部作や、コミックスの原作・脚本で有名な人だそうで、他の作品もなんか気になりますね。

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    Wednesday, October 19, 2005

    "2006 Witches' Calendar" by Llewellyn

    witches_calendar ハロウィーンって、もとは古代ケルトの異教のお祭りですよね。というわけで、ヒーリングから異教信仰まで、怪しい品揃えの出版社ルウェリン発行の来年のカレンダーです。

    ジェニファー・ヒューイットソンのイラストに、月ごとに関連のあるキリスト教や異教の行事の解説がついているそうです。amazon.com に買った人の詳しい説明があるのでどうぞ。
    一緒に手帳もいかが?

    ヒューイットソンの絵はなかなかいいですね。

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    "Joplin's Ghost" by Tananarive Due

    joplins_ghost 1996年度ブラム・ストーカー賞ファースト・ノヴェル部門候補になった "The Between" が『死の扉は二度ひらく』として邦訳の出ているタナナリヴ・デューですが、最新作は「ラグタイム・キング」と呼ばれたスコット・ジョプリンの幽霊に取り憑かれてしまった、上り坂の若いR&B女性シンガーの物語。過去に実在した大物ミュージシャンとの関わりが、どんなふうに描かれるんでしょうね。おもしろそうです。

    スコット・ジョプリンについてはこちら。リンク先を辿っていくと、midi で4曲聴けます。

    タナナリヴ・デューのサイトはこちら。"The Living Blood" は 2002年に米国書籍賞(American Book Award)を受賞しています。

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    Tuesday, October 18, 2005

    Troll: A Love Story, by Johanna Sinisalo

    Troll: A Love Storyご指名がありましたので紹介を引っ張り出しました。

    2002年に『天使は森へ消えた』のタイトルで邦訳がありますが、イギリスでは2003年に Not Before Sundown、アメリカでは2004年に Troll: A Love Story の名前で英訳され、その年のティプトリー賞を受賞しています。ユーモラスなところがありながらもかなり disturbing な作品で、ううむ、ハロウィン向きといえないこともないですね。たしかに英米の作品とは肌触りが異なります。

    フィンランドでトロルとくればムーミントロールを連想するが、ここに登場するトロルは荒々しい野生の獣である。美青年の写真家が、少年たちに虐められているところを救ったトロルの子供は、傷が治るにつれて、しだいに凶暴さを剥き出しにする。デイヴィッド・アーモンドの『肩胛骨は翼のなごり』と似た設定から出発しながら、その後の展開はかなり大人向けである。

    雇い主のアート・ディレクターや獣医にその存在を漏らした主人公は、希少価値のある獣に対する両者の欲望を掻き立てることになる。さらには、トロルが発するフェロモンが周囲に影響を与え、主人公は二人の性的な攻撃の対象とされる。本能を呼び覚まされた同性愛者の危うい日常を追って、獣性と表裏一体となった愛の諸相を描いたダークな作品だが、野生への回帰を肯定的に扱った結末は意外に明るい。

    面白いのは、主人公がネットで調べた情報という設定で、全編にわたって挿入されているトロルにまつわる伝説や生態、文学作品からの引用である。このあたりを読むと、戯画化された現代のトロルとは違い、森林に対する長い畏怖の歴史が感じられる。ただし、ラーゲルレーフやユリヨ・コッコなどの作家の名前が見られるので一部は本物だと思われるが、目撃譚の新聞記事など、かなり作者の創作が紛れ込ませてあるようだ。(2004/3/13)

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    Monday, October 17, 2005

    "The Dedalus Book of Finnish Fantasy" by Johanna Sinisalo et al.

    the_dedalus_book_of_finnish_fantasy Dedalus Literary Fantasy Anthologies シリーズの最終巻フィンランド篇が、12月に発売になります。19世紀から今日に至る短篇ファンタジーを集めたということなので、これを読めばフィンランドの風土に根ざした文学の傾向や特徴が分るかもしれませんね。

    収録されているのは、アイノ・カッラス(Aino Kallas)、ミカ・ワルタリ(Mika Waltari)、アルト・パーシリンナ(Arto Paasilinna)、ボ・カルペラン(Bo Carpelan)、ペンティ・ホラッパ(Pentti Holappa)、レーナ・クルーン(Leena Krohn)、ヨハンナ・シニサロ(Johanna Sinisalo)らの作品で、ほとんどが英訳は初めてだとか。

    昨年英語版が出て話題になったレーナ・クルーンの "Tainaron" は『ウンブラ/タイナロン』、ヨハンナ・シニサロの "Troll: A Love Story" は『天使は森へ消えた』のタイトルで邦訳がそれぞれ 2002年に出版されているので、フィンランド文学に関しては日本語訳のほうがかなり早いですね。

    レーナ・クルーンについてはこちらをどうぞ。シニサロの感想も、読んだ方からそのうち出てくるんじゃないでしょうか。

    興味を持たれた方は、KIRJOJEN PUUTARHA(←読めない。でも日本語サイトです) というフィンランド文学情報サイトがとても充実しているので、オススメです。sinisalo-french

    で、どうでもいいんですが、シニサロのフランス語版 "Jamais avant le coucher du soleil" の表紙が奈良美智なんですけど~。

    同シリーズのギリシャ文学篇 "The Dedalus Book of Greek Fantasy" は、昨年 The TLS Modern Greek Translation Prize 希文英訳のベスト・ブック賞を取っています。

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    Evening's Empire, by David Herter

    これも怪しい話なんですが、作品の雰囲気が晩秋のイメージなんですよね。かなり好みの作品です。

    作者のハーターはヤナーチェクの大ファンということで、チェコにヤナーチェクの研究に行ったりしてるので、なかなか次作が出ませんね~。までも、その甲斐あってか、来年出る予定のヤナーチェクのピアノ曲集のタイトルを冠した On the Overgrown Path は、奇妙な殺人事件に巻き込まれたヤナーチェクを主人公にしたミステリふうのファンタジイだとか。う~ん、楽しみですね。SFとオペラの関係について書いたこのエッセイも、あまり知られていないオペラを紹介していて、この人、どちらが本職なんでしょう?

    Evening's Empireハイ・ファンタジイと児童書ファンタジイばかりがもてはやされる中で、大人向けの正統派のファンタジイを書く新人作家の登場は貴重である。とはいえ、最初からベテラン勢の作品に伍した傑作をものするような新人は、そうそう現われるものではない。幸運なことに、2002年は、二人の実力派の若手の力作が相前後した。奇しくも、ティム・パワーズとジェイムズ・ブレイロックを彷彿とさせる作風が好対照を見せている。

    ひとりは、19世紀のニューヨークを舞台にアステカの神の復活を描いた A Scattering of Jades で長編デビューのアレクサンダー・C・アーヴァイン。エキゾチックな神話と時代の裏面史の取り合わせが、パワーズの『アヌビスの門』を思い起こさせる。いっぽう、エキセントリックな登場人物と奇抜な設定を得意とするブレイロックを連想させるのが、今回紹介するデイヴィッド・ハーターである。

    じつは、ハーターのデビューは 2000年の Ceres Storm に遡る。こちらはナノテクで大きく変貌した太陽系を舞台に、支配者のクローンとして育てられた主人公の自分探しの旅を核とした、スペース・オペラの3部作の第1作であった。ジーン・ウルフやポール・マコーリイの遠未来ものの系譜に連なる異質な世界描写が、時として無機質な手触りを見せ、正直なところあまり楽しめなかったが、続編のつもりで手に取った本書は、意外にも、繊細な描写に満ちたシリーズ外のファンタジイだった。

    現代音楽の作曲家であるラッセル・ケントは、ヴェルヌの『海底二万マイル』を題材としたオペラの作曲に専念すべく、オレゴンの海辺の寒村イーヴニングに赴く。じつはこの村は、二年前に滞在したときに、最愛の妻を事故で失った思い出の地でもあった。詮索好きなインフォメーションの老嬢も、ペンションを経営する若き未亡人ミーガンも、同情とともにラッセルの再訪を歓迎してくれる。だが、夜な夜な夢に現われる妻の姿と、晩秋の村に漂う陰鬱な雰囲気に、作業は遅々として捗らない。

    気分転換にと散歩に出たラッセルは、村の主だった住人と顔見知りになる。古本屋の店主の紹介で、アマチュア考古学者カーヴァーや、村の創始者ジョセフ・イーヴニングが遺した館の管理人親子と飲み友達になったラッセルは、反チーズ連合への参加をうながされる。じつは、創始者イーヴニングの時代から、唯一の特産物であるチーズを製造する工場長が、この村の運営を取り仕切ってきたのである。反チーズ連合は、工場長の独裁を潔しとしないものたちの集まりだった。

    いっぽう、二年前に妻が足をすべらせた崖を訪れたラッセルは、そこで奇妙な容器を拾う。カーヴァーによれば、イーヴニングの海岸には、しばしば太古の遺物が打ち上げられるという。だが、苦労してこじ開けた容器の中から現われたのは、得体の知れぬ小動物の骨だった。尋常ならざる村の姿に徐々に眼を開かれていくラッセルが、遠巻きに付け狙う二人組の男の存在に気づいたのはちょうどそのころだった。

    ある日、地元の音楽教師が、奇妙なパターンの写った写真を彼の元に持参した。古代の楽譜ではないかというのである。色彩が音として聞こえるという共感覚の持ち主であるラッセルは、チーズ工場の地下で撮影したという不鮮明な写真から、奇妙な音楽を感じ取った。だが、是非実物を見てみたいと意気込むラッセルに、大きなチーズの塊に相手の顔を彫刻しながら受け答えする工場長は、頑として応じない。地下には、イーヴニングが植民して以来の、この村の存在理由が隠されていたのである。

    閉鎖的なカルトの支配する村に紛れ込んだ旅人の受難の物語である。ただし、ストーリーはホラーに向かうことなく、ミーガンとのロマンスや、ネモ船長に心酔するオペラの脚本家の来訪を交え、最後には村を挙げての大活劇へとなだれ込む。少々、というより、かなりトンデモな設定が、奇想天外なヴェルヌのロマンスに対するオマージュとなっているところが微笑ましい。

    ごくおだやかな幕開けから、村の雰囲気や住民の振る舞いに微細な不協和音を忍ばせ、徐々に異様さを盛上げていく作者の手綱さばきには揺るぎがない。シリアスな対立とコミカルなやりとりをほどよくブレンドし、古風な仕掛けをうまく現代に溶け込ませる絶妙なバランス感覚も、繊細さの要求されるモダン・ファンタジイにまさにうってつけといえる。次作以降はSFに戻るという作者だが、早期にファンタジイ第2作を期待したいところである。(2002/12/10)

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    The Golems of Gotham, by Thane Rosenbaum

    The Golems of Gotham (pb)The Golems of Gotham (hc)ゴーレムといえば、以前からこの作品が気になってるんですよね。ハードカバーのほうはなにやらインパクトのある表紙ですし(<悪趣味ともいう)。

    ホロコーストの生き残りの第2世代の作家がスランプに陥り、見るに見かねた娘が自殺したユダヤ系の作家のゴーレムを呼び出したところ、ニューヨークに混乱を巻き起こしてしまうという、シリアスな根っ子のコメディみたいです。召喚されたゴーレムがイェルジイ・コジンスキーとかプリモ・レヴィなんていうのが、ちょっと生々しいですね。

    ハードカバーが Amazon.com で $5.99 のバーゲンになってますけど、かなり売れ残ったんでしょうか。

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    Sunday, October 16, 2005

    "The Narrows" by Alexander C. Irvine

    the_narrows 舞台になっている自動車工業都市デトロイト(Detroit)は、フランス人カディヤック(Cadillac)が18世紀に建設した植民都市で、フランス語で海峡(narrows)を意味します。都市の英訳名がタイトルになっているこの物語にはもちろん、第2次世界大戦中のデトロイトの世相も大いに反映されています。

    主人公ジャレドは、妻と2歳になる娘を持つ20代後半の、平時で言えば働き盛りの青年。ただ右手の指に軽い障害を持つため徴兵されず、フォードのルージュ工場で働いています。そこでは驚くことに車ではなく、ユダヤ人ラビの指揮下、ルージュ川の泥を運び込んで、ナチスドイツを殲滅するためのゴーレムを生産していたのです。

    また、デトロイトには赤い矮人(Nain Rouge)伝説というのがあって、それが現れるのは凶事の前触れとされています。実際、赤い矮人に遭遇した直後デトロイトの建設者カディヤックは富と名声を失い、その後もデトロイトで暴動などが起こる直前に赤い矮人が目撃されているんですね。この物語では、ジャレドが5歳のときに赤い矮人が現れ、その時の事故で右手の2本の指の機能を失い、今になってまたその出現に悩まされることになります。

    こう書くとかなり怪しげにみえますが、実際はかなりメインストリーム寄りの物語なので、ファンタジーの部分を期待しすぎると見事に裏切られます。指の不具合のため出征して国に貢献することができず、泥まみれになるゴーレム作りを課せられる苛立ちと劣等感、同じフォードの別棟で働く妻のほうが稼ぎがいいためぎくしゃくする夫婦関係、またスパイ活動に巻き込まれて翻弄され……など、平凡な男を主人公に戦争中誰に降りかかってもおかしくないような出来事が中心に語られていきます。逆に主人公のその平凡さが、この物語の魅力不足につながっているようにも思えるのですが、作者が力点を置いているのは、個人の弱さや、普通の家庭のささやかな幸福感みたいなものなので、それは仕方ないかなという気がします。相変わらず当時の様子などよく調べてストーリーに取り入れているので、そういった面でも興味深かったです。

    19世紀のニューヨークを舞台に、アステカの新旧の神々の争いに巻き込まれる父娘を描いたデビュー作の "A Scattering of Jades" でも言えるのですが、作者のアーヴィンは全く脈絡のないいくつかの歴史的事実を怪しい空想的産物(今回はゴーレムや赤い矮人)を媒介にして、ひとつの繋がりのある物語に仕上げるのがとても上手い人だと思います。それに加えて、家族関係や人種問題や社会的出来事について問題意識を持って書いているというのも、大きな特徴ですね。

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    American Gods, by Neil Gaiman

    American Gods昔書いたものを出せと、ナニーにお尻を齧られました。

     移民たちによって世界中から連れてこられ、土地に根づくことなく信仰の低下とともに消え失せようとしている「アメリカの神々」の物語。
     ニール・ゲイマンは、複数の画家(天野喜孝を含む!)との共同作品で、「夢の王」を中心に据えた絵物語集『サンドマン』で有名らしい。この作品も、女神の指先で摘み取られた月が銀貨となって落ちるシーンや、回転木馬の古ぼけた作り物の動物たちが、神々を載せる神話の動物と変じて虚空をかけるシーンなど、視覚的に印象的な場面が多い。

     銀行強盗と暴行の罪で6年の懲役刑を受けたシャドウは、3年目に仮釈放されようとしていた。釈放された後シャドウが望むのは、愛する妻とともに厄介事に関わらずひっそりと生きていくこと。しかし、釈放の日を間近にして、シャドウは理由の無い胸苦しさに襲われていた。嵐の近づいてくる予感。その不安が的中したかのように釈放予定日より早く呼び出されたシャドウは、妻が事故で死亡したことを告げられる。
     数日前に電話で話したばかりの妻の死が実感出来ないまま、故郷に向かう飛行機のなかで、シャドウは奇妙な紳士と会う。ミスタ・ウエンズディと名のるこの謎の紳士に雇われることになったシャドウは、徐々に、その紳士がいまアメリカで忘れ去られ、力を失いつつある旧き神々の一員であること、彼が他の旧き神々を糾合して、新しき神々に戦いを挑もうとしていることに気がついていく。しかし、何故、ミスタ・ウエンズディは自分に目をつけ、雇い入れたのか?旧き神々の使いっ走りでしかない自分を、新しき神々までもが彼らの陣営に引き込もうとしだしたのは何故なのか?ミスタ・ウエンズディと契約を交わしたあと、夢に現れてくるようになった洞窟は何を意味するのか?そして、そこでシャドウを迎えるバッファローの頭を持った神の正体は?...シャドウは自分が認識していないゲームのルールによって引っ張り回されているのを感じる。
     一方で、自動車事故で死亡したシャドウの妻ラウラは、動く死者となってシャドウのもとを訪れる。「あなたには、だれか見守ってくれるひとが必要よ。わたしがあなたを守ってあげるわ、わたしの子犬ちゃん」その囁き通り、彼女は新しき神々の手下に攫われたシャドウを、監禁者達を文字通り素手で引き裂いて助け出す。「死者にとって殺人は何の問題でもないわ」感情も倫理も失った妻を前に「僕にとってはまだ大きな問題だ」とシャドウは返すしかない。「もう一度、生き返りたいの。心臓の鼓動を、血潮の巡りを、感じたいの」と願う妻をもう一度生の側に取り返す方法はあるのだろうか?
     シャドウはミスタ・ウエンズディを車に乗せてアメリカの小都市を巡りながら、人々に交じって暮らす(元)ロシアの神々、インドの神々、エジプトの神々など旧き神々に合うが、ミスタ・ウエンズディの呼びかけに、神々からは必ずしも前向きな返答は返ってこない。しかし、全てのものの父、オーディンが新しき神々の奸計によって射殺された時から、事態は大きく動き始める。怒りに駆られ、更に事態の不穏さをようやく認識し始めた旧き神々はにわかに集い始める。そしてシャドウは、契約通り、オーディンのために七日七晩に渡る命を懸けた夜伽をやり遂げようとしていた。だが、ある者が周到に企んだコン・ゲームがその裏に隠されているのを、今や戦いに突入しようとしている新旧どちらの神々も気がついていなかった。

     旧き神々と新しい神々の戦い、というと何やら壮大なスケールの物語を期待しそうだが、実のところ、ここに描かれる神々はいじましく、みみっちい。旧き神々は街娼や占い師、葬儀屋に身をやつし、あるいは詐欺や年金(!)などで生活を立てている。旧き神々の中心に立つオーディンにしてから、勘定の度に小銭をくすねるというせこさだ。一方の新しき神々は、というと、ご立派なリムジンを乗り回してはいるが、脅し文句はといえば「ボクがワン・クリックするだけでオマエ達は綺麗さっぱり消去されるんだからね。わかってる?」とどこか子供っぽい。メディアの女神の誘惑も「ルーシーのおっぱいを見てみたくない?」から始まり、「あなたを誰もが歓声を上げるスターにしてあげる」と、たとえば荒野でイエスが受けた「世界の王にしてやる」という誘惑に較べるとえらくスケールが小さく、そして妙に現実的なのである(おまけに、ロウソクの明かりの中で行われる神々の会食のメニューは冷めたハンバーガーである!)。
     そう、ここに描かれる神々の姿は人々の写し絵である。ひとが神々の似姿として創られたのではない、神々が人々の似姿として存在しているのだ。
     だとしても、いろいろ歯がゆさが残る読後感だ。例えば、アメリカは先進国の中でもいまだ宗教的な国といえるし、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教といった明らかに現在にも人々の信仰の対象であり、力を持っていると思われる宗教の神(々)がこの物語には姿を見せることはない。おそらく、アメリカという国は、神々が大地に・人々の無意識に根を下ろしていない場所として舞台に選ばれたのだろう。だからこのアメリカはモデルとしてのアメリカであり、現実のアメリカではない。「リアルな」宗教は手をつけるに危険すぎる、ということか。そうした読む方の居心地悪さもあってか、章の後ろに挟まれるアメリカに移住した人々についての挿話、あるいは神々の間を巡りながらシャドウがであう市井の人々がからむ挿話は、平凡でありながら心に沁みるものが多いのに、肝心のメインストーリーである神々の葛藤は奇妙に宙に浮いてしまって、実感として迫ってこない。物語としても、あちこちに見られる印象的なシーンと個々のエピソードが、それぞれどうにも動かしがたいものとしてストーリーに組み込まれているとは言い難いのが残念だ。(2002/07)

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    Saturday, October 15, 2005

    "The 13th Hour" music by Midnight Syndicate

    the_13th_hour ハロウィーンのBGMには、ゴス・ホラー系バンド、ミッドナイト・シンジケートの "The 13th Hour" なんていかが? 今のところ日本のアマゾンでは扱ってないですが、amazon.com で試聴できます。バンドのオフィシャルサイトはこちら

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    So you'd like to... Discover the True Identity of John Twelve Hawks

    The Traveler覆面作家ジョン・トウェルヴ・ホークスについては以前にもこことかここで紹介していますが、ホークスじゃないかと疑われた作家のひとりヴェラ・ナザリアン(英語ではナゼイリアンでしょうかね)が、ちゃっかりとアマゾンでホークスかもしれない作家のガイドを作っています。

    Specimen Days に "off the grid" という表現が出てくるということで、マイクル・カニンガムまで疑われてますが、さすがにこれは質が違うと思いますけど。

    ちなみに、ジョン・ホークスを名乗る人物が掲示板にポストしてます。内容的にでっち上げた感じではないので、どうも本人のコメントのようですね。

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    Full Dark House, by Christopher Fowler

    Full Dark House (uk hc)最後にはちゃんと論理的なミステリに着地する作品ではあるんですが、いちおうハロウィンにちなんでということで。ペーパーバックも出てます。そういえばちょっと前に3作目が発売されてますね。

    ストーリーはほとんど覚えていないのに、なぜか記憶にくっきりと残っている本がある。15年ほど前に読んだクリストファー・ファウラーの最初の長編『ルーフワールド』もそんな作品のひとつだった。ロンドンの屋根の上で暮らすアウトローたちの覇権争いを現実的に描いたものだが、超自然的要素を排除しながら、設定だけでファンタジイを成立させるという小気味よい手際がごくごく新鮮だった。数年前の邦訳第2作『スパンキイ』も、悪魔との契約という使い古されたテーマを現代風に処理しながら、最後には現実に回収するという切り返しが印象的だった。

    ということで、いちおうホラー作家に分類されているものの、決して一筋縄では行かないファウラーが、初めて本格的なミステリに手を染めたということなので、こんどはいったい何をやらかしてくれるのかと、興味しんしんで本書を手にしたのだが、いや、これは、冒頭からかなりの大技。刑事コンビによる新シリーズの開幕編だというのに、ろくに紹介も済まないうちから、主役の一人がオフィスごと木っ端微塵に吹っ飛ばされてしまうのである。

    アーサー・ブライアントとジョン・メイは、80歳を超える老齢ながら、まだまだ現役の刑事。第二次大戦中から特殊犯罪捜査班を率いて、奇妙な犯罪を解決してきた長年のパートナーである。悲しみにくれる間もなく、メイは、相棒の爆死事件の捜査を開始する。解決の鍵は、ブライアントが最後に手にしていた、二人が手掛けた最初の事件の調査記録にありそうだった。

    1940年、ナチスのロンドン空襲の真っ只中で、不安に喘ぐ人心の収斂のために、不可解な犯罪に専門に対処する特殊犯罪捜査班が設置された。新任刑事のメイは、そこで、エキセントリックなブライアントと出会う。二人を待っていたのは、パレス・シアターを舞台にした悲劇的な死だった。オッフェンバックのオペラ「地獄のオルフェ」の開幕を控え、稽古中の踊り子が、エレベータに両足を切断された状態で見つかったというのである。

    悲劇はそれだけでは済まなかった。第二、第三の犠牲者が、同様に芝居の演出のような死を迎えたのである。マスクをつけた怪人に襲われるという未遂事件も発生した。調査が進むにつれ、しだいに劇場を取り巻く特異な状況が明らかになってくる。もともと権威を小馬鹿にしていたオッフェンバックが、「オルフェオ」を換骨奪胎して貴族社会を皮肉たっぷりに笑いのめしたオペラを、半裸の女性を散りばめてさらにセンセーショナルに盛り立てようという演出家。各国からの寄せ集めによる一癖も二癖もありそうな出演者たちの公私混同の愛憎劇……。

    そして、興行主である肢体不自由なギリシャの海運業者の御曹司の過去を探るうちに、謎の糸口が掴めたかと思われた。興行主の実の兄と駆け落ちした妻が、不可解な死を遂げたという風聞である。事件全体に影を落とすギリシャのモチーフに、ギリシャ神話の暗喩を見るブライアント。いっぽう、現実的なメイは、劇場関係者とねんごろになりながら、地道な捜査を続ける。だが、戦時下における劇場という特殊な空間は、人々を絡めとリ、自らの胎内に、二重三重の錯綜した罠を張りめぐらしていた。

    時と場所を効果的に使った演出である。ファウラーにとってはロンドンという都市がひとつのキャラクターとして見えているようだ。詩情をたたえながら丁寧に書き込まれた時代の描写も、死と隣り合わせの状況に、ほんのわずかな楽しみでも見逃さない人々の姿を生き生きと描き出す。とはいえ、ここには、ゴシック・ミステリにつきものの、過剰な装飾はない。ペダントリーも、超自然のほのめかしやおどろおどろしい恐怖も、意外にあっさりと処理されているのだ。様々な要素を行き過ぎない範囲でバランスよく配置し、大人の読物に仕上げているところに、作者の上手さが見える。

    夢想に耽りがちなブライアントと、常識的なメイという、新たなホームズとワトスンのコンビは、当意即妙の掛け合いを見せながら、今後も作中で言及されていたいくつもの不可解犯罪に対処していくようだ。本部の顔色ばかりを窺う無理解な上司や、実直なまでに融通のきかない同僚、姉御肌の婦警と、お決まりの配役も出揃った。先行きが楽しみなシリーズの登場である。しかし、最初から主役を殺してしまって、これからいったいどうしようっていうんだろう。(2005/1/14)

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    Friday, October 14, 2005

    ... and now come mists and storms

    お~、三つまとめてぶった切るのかと思いましたよ。

    そいじゃまあ続きを。

    Mists of Everness The House Of Storms


    Mists of Everness, by John C. Wright
    The House of Storms, by Ian R. MacLeod です。

    人物が複数になってたりしますけど、後姿だからいいでしょう^^)

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    Just want to put them side by side and see...

    lord_byrons_novel olympos shalimar_the_clown


    晴天だったのに、徐々に天候が崩れて、あっと言う間に一面霧に! Donnerwetter!
    あ、すみません。ただ並べてみたかっただけなんです。

    ちなみに左から
    "Lord Byron's Novel : The Evening Land" by John Crowley
    "Olympos" by Dan Simmons
    "Shalimar the Clown" by Salman Rushdie です。

    くだらなすぎ?

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    Thursday, October 13, 2005

    Hinterland, by David Barnett

    Hinterlandハロウィンというお題にはこういう得体の知れない本が向いてそうですね。

    ローカルペーパーの記者が奇妙な出来事を追ううちに、狂気なのか現実なのか区別のつかない領域に足を踏み入れる話だそうです。荒野を彷徨う不気味な獣の影、泣く少年の呪い、持ち主に悲惨な死をもたらす絵画、池の中の小島に暮らす謎の少女、そして、現実と Hinterland との境界線に建てられたアルカディアという名のナイトクラブ……。

    ううむ、ウィリアム・ホープ・ホジスンの『異次元を覗く家』なんでしょうか、それともジム・ニプフェルの The Buzzing のようなおばかなパラノイアものなんでしょうか。

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    "Lady Cottington's Pressed Fairy Book: 10 3/4 Anniversary Edition" by Terry Jones, Brian Froud (Illustrator)

    lady_cottingtons_pressed_fairy_book モンティ・パイソンで思い出しました。ブライアン・フラウド画、テリー・ジョーンズ文の、押し花……じゃなくて、押しフェアリーのこの本、1994年のオリジナル版に両者による新しい序文とDVDがついて新登場です。DVDではコティントン夫人自らが妖精の上手なつぶし方を実演してくださるそうです。あと、フォト・ギャラリーと、壁紙と、スクリーンセーバーも入ってます。

    なんでこんなに半端なアニヴァーサリーかというと、厳密に数えたんでしょうね。ま、テリー・ジョーンズだし。

    で、ブライアン・フラウドの挿絵といっても、"Faeries" とかの雰囲気を想像して買うと怒っちゃうと思います。モンティ・パイソン系のフェアリーですね。

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    Wednesday, October 12, 2005

    The Shroud of the Thwacker, by Chris Elliott

    The Shroud of the Thwackerコメディアンの書いた歴史ミステリのパロディということなんですが……むちゃくちゃお馬鹿そうでわたし好みみたいです。

    ヨーコ・オノからタイム・トラベルの能力を与えられた主人公クリス・エリオット(作者と同じ名前ですね)が、19世紀末のニューヨークで連続殺人鬼 Jack the Jolly Thwacker を追う話ということで、『エイリアニスト』や『ダ・ヴィンチ・コード』にモンティ・パイソン的ひねりをかけたものだとか。ひょっとしてジャスパー・フォード2なんてこともあるかも知れませんね。

    ふ~む、作者はこんな人ですか。こっちにもヘンなのがありました。ううむ、やっぱりあんまり期待しないでおこう^^;

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    Tuesday, October 11, 2005

    Four and Twenty Blackbirds, by Cherie Priest

    Four and Twenty Blackbirdsデビュー作なんですが、かなり評判がいいようだし、カバーも十分怪しいので、手を出してみようかなと思ってます。コリイ・ドクトロウのブラーブもプラスですね。10/1 発売なのにアメリカのアマゾンでは読者評が 44もあって、ほとんどすべて星5つ。なんか怪しいな~と思ったら、2003年に小出版社から出た本の再版なんですね。となるとかなり期待できそう。

    サザン・ゴシックの伝統にのっとった作品で、ヒロインが自分の祖先の出所を調べていくと、次第に闇の領域に……という展開らしいですが、ちょっと元気のいいヒロインというあたりが面白そう。タイトルはマザー・グースかな?

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    John Banville Wins 2005 Man Booker Prize

    The Sea受賞作はジョン・バンヴィルの The Sea だそうです。かなり渋そうな作品なんで、てっきりジュリアン・バーンズだとばかり思ってたんですが、カズオ・イシグロの作品とタイになって、チェアマンの1票でこちらになったとのこと。

    Man Booker のサイトのリンクがちょっとおかしいので、詳細はガーディアンで。

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    Monday, October 10, 2005

    Announcement for Nobel Literature Prize Delayed

    ノーベル文学賞の発表が1週間ほど遅れて木曜日になるということで、ガーディアンによればいろいろな憶測が流れているそうです。

    わたしの名は紅いちばん有力なのがトルコの国民的作家オルハン・パムクをめぐってのもので、過去のクルド人虐殺に対する発言で 12/16 にパムクの裁判が行われるため、トルコのEU参加が検討されている欧州情勢に配慮しようとしているというもの。他にも、53才というパムクの若さが議論を呼んでいるとか、久々にノンフィクション作家が検討されているという説があるそうです。はてさて、いったいどうなるんでしょう。

    ちなみに今日はブッカー賞の発表日でしたね。ジュリアン・バーンズが受賞したんでしょうか。

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    WE3, by Grant Morrison & Frank Quitely

    WE3兵器として改造されちゃったペットのグラフィック・ノヴェルなんですが、なかなか面白かったですよ。

    飼い主の元から行方不明になった犬と猫と兎が軍事施設を抜け出して、追っ手と戦う血腥い話なんですが、タイトルの "WE3" から「ワンダー3」(<古い)なんか想像するとぜんぜん違いますね(あ、いや、そういう勝手な想像をするのはわたしだけですか)。むしろリチャード・アダムズの Plague Dogs (邦題は『疫病犬と呼ばれて』でしたっけ)の戦闘ヴァージョンですね。シーラ・バンフォードの『信じられぬ旅』をベースにした動物の帰還ものといえないこともないですけど、さすがにシビアです。

    フルページを使った絵もかっこいいんですけど、ダイナミックなコマ割りと、ちいさいコマで見せる刻々とした状況の変化がうまいですね。100ページ程度の短い作品なのがちょっと残念かも。いやまあ動物好きの方にはお薦めしませんけど。

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    "Pay the Piper : A Rock 'n' Roll Fairy Tale" by Jane Yolen, Adam Stemple

    pay_the_piper 一人で勝手にハロウィーン特集やっちゃいます(と言っても、これ1冊で終わる可能性が……)。

    タイトルからお分かりのように、ロックンロール・フェアリーテイル・シリーズの1作目のこの本は、現代版ハメルンの笛吹男です。

    マサチューセッツの平凡な町に、人気ロックバンドのブラス・ラットがやって来て、14歳の少女キャリーは学級新聞のレポーターとして、楽屋でバンドのメンバーにインタヴューをすることになります。超かっこいいリード・ボーカルのピーターは、もちろんフルートを吹くんです。で、実は彼、妖精王の息子だったりするんですが、いろいろ事情があるようなんですよね。そしてハロウィーンの夜、キャリーの弟を含む子供たちが、突然姿を消してしまいます。

    作者のジェイン・ヨーレンは児童書やファンタジーをたくさん書いていて、翻訳も『夢織り女』など何冊か出ていますね。共著のアダム・ステンプルは彼女の息子で、本物のミュージシャンだそうです。

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    Sunday, October 09, 2005

    "The Lizard Cage" by Karen Connelly

    the_lizard_cage 蜥蜴の表紙かかわいいこの本、カナダで詩やノンフィクションの賞を取った経験のある詩人が書いた待望の小説ということなのですが、アメリカや日本ではまだ販売予定がないのはちょっと残念です。

    独裁政治を糾弾する歌で、一時はビルマの人々の熱狂的な支持を受けた主人公が、秘密警察に捕まって投獄されてからも、誠実さとユーモアで看守など周辺の人々へ影響を与えていくという物語のようです。カナダのアマゾンにある抜粋を見ると独房での蟻とのやりとり(?)とか、詩的でありながらちょっととぼけた感じがおもしろいんですよね。

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    GIANT microbes

    GIANT microbesううむ、ヘンなの見つけちゃいましたよ。クトゥルー人形ならまだしも、だれが買うんでしょう。

    う、ぬいぐるみ界に君臨するクトゥルー人形紙芝居^^;

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    The Vesuvius Club, by Mark Gatiss & Ian Bass

    The Vesuvius Club (Graphic Edition)マーク・ガティスの The Vesuvius Club がグラフィック・ノヴェルになったそうです。エドワード朝を舞台にした秘密諜報部員のコミカルな冒険ものということですが、なにやら頽廃的な雰囲気を背景におばかなスラップスティックが楽しめそう(いえ、本は積んだままです、すみません^^;)。

    作者のガティスは The League of Gentlemen というコメディ番組の主役のひとりで、かなり有名な人なんだとか(ブルース・ブラザーズXモンティ・パイソンみたいなのかな~と想像してみたりして)。アマゾンUKのレヴュウを見ると、軽すぎてつまらん、バンド・デシネ(グラフィック・ノヴェル)にでもすればいいのになどと書いてる人がいますが、いやまあ、ほんとになっちゃいました。わたしもこちらで読む(見る)ことにします。

    The Vesuvius Club (pb)The Vesuvius Club (hc)なかなか好みのカバーなんで、オリジナルのハードカバーペーパーバックも並べておきましょう。

    オフィシャル・サイトもありました。

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    Flawed Angel, by John Fuller

    Flawed Angel中近東を舞台にした寓話的な物語ということで、ヘタウマふうのカバーも含めて誰かさんのお好みではないでしょうか^^) よく見るとこのカバー、フェルトのアップリケというデザインなんですね。

    森で拾われた胸に3本目の腕が生えている王子と瓜二つの少年の物語だとか。アラビアン・ナイトやオスカー・ワイルドの童話が引き合いに出されてます。作者についてはこちらに詳しいです。詩人として有名な人みたいですね。

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    Saturday, October 08, 2005

    G. P. Taylor in Trouble

    Shadowmancerここ数年イギリスの児童書の世界では自費出版本が注目を集め、それを大手出版社が取り上げるというケースが増えてるんですが、そのはしりともいえるのがG・P・テイラーの Shadowmancer でしょう。元警官の牧師が書いたファンタジイということで、自慢のハーレーを売り飛ばして出版資金を捻出したというのが一時期話題になりました。

    作品のほうは18世紀の港町を舞台にした少年少女の冒険もので、ファンタジイ的な要素の扱いがアラン・ガーナーを思わせる本格派。エキゾチックで異教的な宗教的アレゴリズムの扱いが、牧師という立場からするとかなり意外ですね。日本での出版はまだのようですが、例によってしっかり書かれた作品であればあるほど敬遠されるという昨今の出版事情に影響されてるんでしょうか。ちなみに第3作の Tersias が先ごろ出版されています(どの作品もスタンドアロンでシリーズものではないあたりもプラスの要素)。

    で、そのテイラー牧師、イギリスの小学校では引っ張りだこなんですが、今回は汚い言葉を頻発して講演の途中で追い出されたという騒ぎを起こしています。本人の釈明もこちらにありますが、bum、fart、bogey という言葉が汚い言葉なのか、いままで一度としてクレームをつけられたことはないのにと訝しげのご様子。どうも学校側の過剰反応の雰囲気が濃厚ですね。ちなみに、一部で報道された "Harry Potter is not the only gay in the village" 発言はテレビ番組にちなんだジョークとのこと。

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    "The Valley of Secrets" by Charmian Hussey, Christopher Crump (Illustrator)

    the_valley_of_scecrets 大人も楽しめる児童書だそうです。

    ストーリー的にはかなりクラシカルな感じで、ロンドンの孤児院を転々として暮らしてきた10代の少年スティーヴンが、ある日突然コーンウォールの叔父の邸宅を相続することになり、謎に包まれたその屋敷や叔父の秘密を探る物語なのですが、その叔父さんがアマゾンの探検家で日誌も遺していたところが、いろいろ期待させてくれます。

    風光明媚な英国の地方が舞台で、80枚ものペン画が入った美しい造本というのは魅力ですね。出版の経緯もおもしろくて、もとは11歳の息子がアマゾンの環境破壊を危惧していたことに触発されて書いたファンタジーで、地方出版社をいつくか経て、昨年大手のホッダーから新たに大人も楽しめるメインストリーム作品に形を変えて出版されたそうです。当の息子はもう30代だそうです。

    イラストについてはこちら。なにやらクランプ氏が卒業した美大では、ハリー・ポッターシリーズの対抗馬にもなりえるんじゃないかなんて大いに期待しているようですが、どうなんでしょう。

    ガーディアンにフィリップ・アーダーがレヴューを寄せていましたが、彼によると具体的にはいえないけれど、なんだかとても惹かれる物語で、子供より児童書を読む大人が好みそうな物語とか。環境問題が入っているところがポイントでしょうか。

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    Friday, October 07, 2005

    The Bookcast at Powells.com

    bookcast ポートランドの本屋さん Powell's がブックキャストを始めました。独自収録した作家のインタヴュー、出版業界の最新情報、リーディングなどを、12分程度の手頃な長さで配信します。

    第1回の作家は先頃新作 "Willful Creatures" が発売されたばかりのエイミー・ベンダーです。

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    Myths Series

    1126167999294写真は、『イーリアス』『オデュッセイア』の物語をオデュッセウスの妻ペネロペの側から描くという、現代の視点から神話の再話を試みた作品。カナダのブッカー賞受賞作家マーガレット・アトウッドの新作です。

    これだけだと、ふーん、と思われるかも知れませんが、実はこれ「世界の神話」シリーズというかなり大きなプロジェクトの一環なのです。
    Canongateの紹介によると、世界で24の出版社の共同企画として、神話の再話をモチーフにしたシリーズを刊行していくんだとか。
    冗談かもしれないけど、100冊まで出すつもりでいるみたいです。

    11月に第1弾として刊行されるのが以下の3点

    Short History Of Myth by Karen Armstrong
    The Penelopiad by Margaret Atwood
    Weight by Jeanette Winterson

    来年刊行が決まっているのが

    Helmet Of Horror by Victor Pelevin
    Lion's Honey by David Grossman

    さらに、交渉中の作家として名前の挙がっているのが、ウンベルト・エーコ、イアン・マキューアン、スティーブン・キング、ポール・オースター、トニ・モリスン、ヨースタイン・ゴルデル、ミラン・クンデラ、マイケル・オンダーチェ、カズオ・イシグロというんですから、これが実現したらほんとに凄い叢書になりますね。(情報源は、「文學界」2005年10月号)

    んで、肝心の日本を代表して参加している出版社なんですが、
    角川書店です。

    (………………………………)

    いえ、別に文句はありませんよ。
    11月に『ペネロピアド』(仮題)のタイトルで刊行される予定です。

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    The Necessary Beggar, by Susan Palwick

    The Necessary Beggarなんか粗筋を読んでもよく分からないんですが、聖なる乞食を殺してしまったために、異次元からこの世界に追放された一家が、荒れ果てた未来のアメリカで居場所を探す話とのこと。ゼナ・ヘンダースンの「ピープル」ものとか、ディックやゼラズニイが引き合いに出されてますね。ファンタジイ的な設定ながら、ディストピアもののSFなんだろうか。それとも、ロバート・チャールズ・ウィルスンの『世界の秘密の扉』のような作品とか。なにやら当たりのような予感がします。

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    Thursday, October 06, 2005

    "Chaucer and the House of Fame" by Philippa Morgan

    chaucer_and_the_house_of_fame こちらも中世を舞台にした歴史ミステリなのですが、あの『カンタベリ物語』のチョーサーが探偵という大胆な設定。実際、外交官としてイタリアやフランスに派遣された経歴を持つチョーサーなので、歴史的事実をうまく取り込んだミステリと聞くと、買わずにはいられません。

    昨年出版された、この "Chaucer and the House of Fame" はシリーズ1作目で、彼女のデビュー作でもあります。2作目の "Chaucer And the Legend of Good Women" はこの夏に出たばかりです。

    チョーサーといえば、テリー・ジョーンズの "Who Murdered Chaucer?: A Medieval Mystery" なんていうのもありましたね~。こっちでは被害者ですけど。これは US 版でペーパーバックが出るのを待ってるんですが、全然気配がないんです。

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    Wednesday, October 05, 2005

    "Terry Jones' Medieval Lives" by Terry Jones

    terry_jones_medieval_lives 中世ついでに、モンティ・パイソンのテリー・ジョーンズによる中世解説書です。「暗黒の中世」とか、中世人は無知蒙昧とか、そういう中世に対する悪いイメージはルネッサンス人が作りあげたものだとか。農民、修道僧、女性などの項目ごとに、私たちの持つ誤った中世のイメージを塗り替えてくれそうです。

    彼は中世研究家でもあるので、間違ったことは書いていないはずですが、ちょっとハメを外しているところもあるそうな……。でもおもしろそうです。

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    Winsor McCay

    0486232344Millhauserの傑作中篇'The Little Kingdom of J.Franklin Payne'のモデルともなったWinsor McCay。コミック・ストリップとアニメーションの草創期において伝説とも呼べる彼の作品が、こうも簡単に読めるようになっていたとは……。正直、考えもしませんでした。不覚……。

    たけくまメモで、マッケイの詳しい解説とともに、アニメーションへのリンクまで張られてますので、興味がおありの方は是非ご覧ください。

    ない人も見て!!!

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    "The Nicholas Feast" by Pat McIntosh

    the_nicholas_feast 中世グラスゴー(!)を舞台にした歴史ミステリ、Gil Cunningham Murder Mysteries の2作目です。

    デビュー作でもある昨年発売の "The Harper's Quine" では、見習い公証人のギル・カニンガムが、グラスゴー大聖堂で若い女性の遺体を発見し、行きがかり上その調査をすることになります。いろいろな探偵コンビはありますが、大聖堂の増築工事に来ている、フランス人の石工と一緒に捜査をするというのが、なんともユニーク。

    それに続くこの "The Nicholas Feast" では、卒業生でもあるギルがグラスゴー大学の学祭に招待されるのですが、芝居に出ていた学生が絞殺死体として発見され、またもや事件解決のため奔走することに。この主人公、母親からは聖職者になることを期待されているので、その辺の問題もいろいろ出てくるようです。

    なんといっても時代考証がしっかりしているというので、ミステリとしてだけでなく、中世の諸々も楽しめそうなところがよさそうですね。グラスゴー訛りも堪能できそうです。

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    Tuesday, October 04, 2005

    Revelation Space, by Alastair Reynolds

    Revelation Spaceそろそろアレステア・レナルズのこの長編第1作が『啓示空間』として出版されますので、むか~し書いた紹介を引っ張り出してみました。宇宙のゴーメンガースト城・巨大ラム・シップ「永遠への郷愁」号の登場ですよん^^) 作品としては2作目の外伝 Chasm City のほうが遥かにまとまりがいいんですが、この作品のワクワク感は捨てがたいですね。

    つい先ごろ「銀河極北」が邦訳されたが(注:SFマガジン 2001年3月号^^;)、宇宙を舞台として、ビッグ・アイデアを核に数々の小技を詰め込んだスリリングな短編を次々と発表してきたレナルズが、初の長篇に挑戦した。結果は、巨大なラム・シップ、90万年前の謎、惑星大の武器、そして中性子星に隠された秘密を背景に、人類の存亡を賭けた、グランド・スケールのスペース・オペラとなった。

    26世紀、人類はいくつかの惑星に植民し、各地で種々の異星人の遺構を発見していた。だが、なぜか生きた知的種族に出会うことはなく、その存在を示すものもなかった。どの種族も、恒星間飛行を実現した時点で、ふっつりとその足跡を絶っていたのである。

    考古学者ダン・シルヴェストは輝かしい経歴の持ち主だった。通常の物理法則の働かない静止空間シュラウドの調査からただ一人生還し、過去を記録する液状生物パターン・ジャグラの海を泳ぎその情報を会得していた。故郷の星系に戻ったシルヴェストは、惑星リサージェムで、かねてからの懸案だったアマランティンの遺跡の調査にあたる。鳥類に似た骨格を持つアマランティンは、90万年前、宇宙技術の確立と相前後して、太陽の膨張により絶滅していた。シルヴェストは、残された記録から「太陽の簒奪者」への言及を発見するが、同時に母星に起こった革命により囚われの身となる。

    一方、数十光年離れた宇宙では、巨大ラム・シップ「永遠への郷愁」号が、シルヴェストの故郷イエローストーンに向けて航行中だった。宇宙船とリンクした船長が、システムを襲ったウイルスに犯され、次第にシステムと一体化する過程を、冷凍睡眠で遅らせながら、過去に治療にあたったシルヴェストの父を目指していたのだ。だが、宇宙船の中では奇妙な事態が進行していた。武器部門の責任者イリア・ヴォリョーヴァが、砲手のトレーニングを始めると、砲手は突然異常な行動を示し、やむなく射殺せざるを得なくなる。しかも、その原因となった得体の知れない相手は、システムの中に逃げ込み、その後もイリアを悩ませつづけるのだ。

    そして、イエローストーンでは、シルヴェストに復讐を誓うものの手により、暗殺者アナ・クーリが雇われていた。新たな砲手としてアナを加えた「永遠への郷愁」号は、一路シルヴェストの確保に向かう。シルヴェストの父は既に死んでいたが、その意識と知識はシミュレーションとして電子的に残されており、シルヴェストの神経系を走らせることにより再現が可能なのだ。だが、シルヴェストに隠されていた秘密と、「永遠への郷愁」号に潜む魔物が出会うと同時に、90万年前の謎が一気に息を吹き返した。

    すべてのストーリー・ラインは、中性子星ハデスをめぐる惑星ケルベロスに焦点を結ぶ。人工の惑星ケルベロスは、太古の種族が巧妙に仕掛けた罠だったのだ。ひとつ取り扱いを間違えれば、そのトラップが動作し、人類はアマランティンと同様の運命をたどることとなる。懸命にその危機に立ち向かう一行は、中性子星ハデス隠されていたさらなる秘密へとたどり着く。

    アイデアいっぱいのスペース・オペラである。その一つ一つをとってみれば、『バーサーカー』や『ゲイトウェイ』に『ソラリス』、はたまた『エイリアン』など、おなじみのアイデアやプロットが見え隠れしているが、単一の作品の中にここまでの要素を詰め込んだものはそうないだろう。しかも作者は、光速の限界という枷を自らに科し、その他の点でも決して物理的法則を曲げることなく、ハード宇宙SF特有の迫真性でこの大きな物語を成立させている。ただし、大量のアイデアと複雑なブロットに振り回されて、全体にバランスを欠き、ヴァーナー・ヴィンジのような完成度はないことは事実である。また、スポットライトが当たっている部分以外の存在感が皆無なのも少々気にかかる。とはいえ、イギリスSF界にまた新たな重厚なスペース・オペラの書き手が加わったことを喜びたい。(2001/8/10)

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    Monday, October 03, 2005

    Last Night of Carnival and Other Stories, by Norberto Luis Romero

    Last Night of Carnival and Other Storiesむっちゃ好みのカバーなんですが(わたしゃ派手好きですか^^;)、137ページで $34.95というのはちょっと手を出しにくいですね。アルゼンチン出身で今はスペインに住んでいるという作家の短編集です。カフカやボルヘス、カルヴィーノを思わせる疎外感をテーマにしたものだそうです。

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    Blind Owl, by Sadegh Hedayat

    Blind Owl英訳がオンラインでも読めるんですが、ちゃんと本も出てましたね。イランの作家サーデグ・ヘダーヤトによる漱石の『夢十夜』のような暗い夢の物語です。フランスに留学してカフカとか西欧の文学の影響を受けた人だそうですが、1951年に自殺してますね。いや、なんか、この作品読むといかにもそういう最期を遂げそうな作家ではあります。

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    "The Dark Chamber" by Leonard Cline

    the_dark_chamber あー、なんかかわいい表紙♪ と思って画像を拡大してみたら、"This is an absolutely magnificent work of art!" という、ラヴクラフトのブラーブが。あれ???

    この9月の新刊、最初に発行されたのはなんと1927年でした。リチャード・プライドという主人公が、音楽や臭いやドラッグの刺激で記憶を呼び覚まそうとするも、最後は心の闇の部分にまで入り込んでしまうという、ちょっとコワそうな物語です。

    ご本人は殺人罪で1年服役。出所した半年後に、心臓マヒで亡くなったそうです(享年35歳)。

    quark さんあたり、いかがでしょう?(もう、とっくに読んでたりして)

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    Sunday, October 02, 2005

    Peter S. Beagle Needs Our Help

    The Last Unicornピーター・S・ビーグルが、アニメ版 The Last Unicorn の脚本料要求のための訴訟費用と、100歳になる母親の医療費をまかなうため、援助を求めています

    ビーグルのマネージャの弁によれば、Granada Media が製作した The Last Unicorn には、ビーグル自身が脚本を提供したものの、その費用が払われていないため、訴訟を準備しているとのこと(原作使用料……っていうんでしょうか、それについてはこの文章ではよくわかりませんね)。イギリスでの訴訟になるため、準備金が必要になるそうです。

    いっぽう、アニメ版の「指輪物語」の脚本では、たった 5,000ドルが払われただけということで、こちらについても不当な扱いを訴えていますが、この文面だけでは訴訟を行うのかどうかはわかりませんね。

    同時に 100歳になる母の医療費が必要ということで、ほとんど無一文のビーグルはかなり困った状況にあるようです。

    ということで、いくつかサポート方法がリストされてますが、letter-writing campaign というペティションのリンクは切れちゃってますね^^; 他には直接寄付する方法や、Conlan Press からビーグルの本を買うこと、あるいはビーグルの窮状を広く知らせることでも助けになるのだとか。このサイトのリンクをブログやメールで広めて欲しいとのことですので、わたしもポストしておきます。

    Locus などでも取り上げられていますので、信頼できる内容だろうと思います。

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    Alice's Adventures Under Ground

    Alice's Adventures Under Groundルイス・キャロル直筆の挿絵入りのアリスの原型 Alice's Adventures Under Ground の原稿が、British Library のサイトで公開されてます。なかなかいいですよ~。CD-ROM版を買うこともできるみたいです。

    同じサイトには他にもダ・ヴィンチのスケッチとかメルカトルの地図、コーランや聖書、ルネサンスやフランダース派の絵画なんかがあるようです。

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    Saturday, October 01, 2005

    Irish Traditional Music

    ケイト・トムスン作 "The New Policeman" のガーディアン賞(児童書)受賞記念ということで、勝手にアイリッシュ・トラッド特集です。

    quark さんが pocket universe で紹介してくださったように、ABC形式の楽譜を専用ソフトで再生するという手もあるのですが、最初からMIDI形式で無料で聞ける曲もたくさんありますので、お手軽に楽しみたい方は次のサイトを試してみるというのも手です。

    Musica Viva

    テリー・プラチェットのファンという、スウェーデンのフランクが運営しているサイトで、曲名が分れば簡単に検索できます。無料で曲の MIDI ファイルを聞けるだけでなく、GIF 形式の楽譜を見ることもできます。作品の中に出てくる "The New Policeman"、 "The Cup of Tea"、"Tomorrow Morning"、"Farewell to Ireland" などの曲がありました。アイリッシュ・トラッドだけでなく、クラシックや他の国の伝統音楽などもあります。

    Tadpole Tunes

    オーストラリアのロン・クラークが自作の曲のほかに、英・愛・米のトラッドを無料で配布しています。"Fairhaired Boy"、"Lucy Campbell"、"King of the Fairies" などの曲がありました。

    ★アイリッシュ・トラッドで使われる主な楽器は次の通りです。
    ・Fiddle(フィドル):ヴァイオリン
    ・Flute(フルート):木製で穴が六個
    ・Whisle(笛):金属製で穴が六個
    ・Concertina(コンサーティーナ):六角形のボタンアコーディオン
    ・Bodhrán(バウローン):山羊皮を張ったタンバリン状の太鼓(ばちで打つ)
    ・Banjo(バンジョー):アメリカのと違って六弦

    楽器についての詳細はこちらをどうぞ。

    ★アイリッシュ・トラッドはダンス・ミュージックですが、主なスタイルは次の通りです。
    ・Jig(ジグ)
    ・Reel(リール)
    ・Hornpipe(ホーンパイプ)

    アイリッシュ・トラッド全般についての詳しい説明はこちら

    アイリッシュ・トラッドの伝統を引き継いで活動しているアーティストは、チーフタンズとか、むかしエンヤも在籍していたクラナドぐらいしか知らないんですが、ちょっと古いですかね。今は誰が人気あるんでしょう?

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