Here Be Monsters, by Alan Snow
主人公の少年アーサーは、祖父とともに Ratbridge という町の地下に隠れて暮らす身で、時々食料の調達(こそ泥ともいう)に地上に出てきます。祖父の発明したゼンマイ仕掛けの翼を使っていつもはうまく立ち回るんですが、今回は恐いおばさんの反撃にあって墜落する羽目に。
ちょうどそのころ町では暗闇に紛れてご禁制のチーズ狩りが行われていました。か弱い二本足でヨタヨタ逃げ回るチーズを、獰猛な猟犬の群れが追い掛け回しています。背後には悪徳チーズ男爵のなれの果てであるスナッチャーに率いられたチーズ連盟の面々がいたのでした。
工業化による汚染によりこの町の野生のチーズは毒性を帯び、狩りは禁止され、チーズ連盟の本拠も荒れるにまかされていたんですが、そこを根城にしたスナッチャーは町の乗っ取りを狙って何かを画策しています。運悪く見つかってしまったアーサーは、なんとか逃げ延びますが、ゼンマイ仕掛の翼はスナッチャーの手に握られてしまいます。
運良く引退した法律家に救われたアーサーは、その友達のボックストロルやキャベツ・ヘッドと知り合いになり、翼を取り戻せないものかと頭を捻ります。ボックストロルというのは、引っ込み思案の地下の住人で、空き箱を身にまとい、機械仕掛けには目がないという愛すべき生き物。崇拝するキャベツを頭におし戴くキャベツ・ヘッドは、地上の栽培技術を視察にきた研究者でした。
いっぽう、町とその地下とはいくつものトンネルで結ばれ、自由に行き来できたんですが、スナッチャーはそのトンネルをふさぎ、地下の住民を捕らえてはチーズ連盟の本拠に幽閉しはじめます。さらには、裕福な町の奥様向けのペットとして、ミニチュアのボックストロルやキャベツ・ヘッドが流行の兆しをみせます。そしてとうとう、アーサーの友人たちもスナッチャーの魔の手に落ちてしまうのでした。
法律家や女発明家、そして元海賊船の船員とネズミが共同で始めた洗濯船の助けを借りて、アーサーはスナッチャーの悪巧みに挑みます。他にも賢いカラスやデュゴンの仲間の海牛、ウサギ穴に落ちてウサギに育てられたウサギ女たちなどなど、あんまりプロットに関係ないけどかわいいから許す!モンスターたちが満載です。スナッチャーの究極の秘密兵器も……う~ん、やっぱりかなりお馬鹿でかわいいんでは?
ということでスリル満点の冒険ものというよりは、とってものほほんの楽しい作品です。どのページを開いても、見開きのどこかに最低ひとつは挿絵が入っているという細かな配慮には、作者と編集者の児童書に対する愛情が感じられますね。児童書好きの人でもないとそれほど楽しめる本ではないかもしれませんが、わたしにとっては当たりでした。続編も出たら買ってしまうぞ^^)
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Comments
なんかヘンなのがいっぱい出てくるところがいいですね。pumpkin head とか onion head(←ペリクレスのあだ名)なら聞いたことありますが、キャベツはすごそうです。ペーパーバックは出ないんでしょうかね。
Posted by: Lilith | Monday, September 12, 2005 at 22:27
いやまあ、キャベツ・ヘッドっていっても、頭の代わりにキャベツが載ってるわけじゃなくて、敬愛するキャベツをいつも頭に載せてるんです。好物はキャベツの葉っぱの間にキャベツを挟んだキャベツ・サンドだそうです。
地下が大洪水になって、女王を中心にキャベツ族大移動を始めるんですが、だれにも通じないもったいぶった女王の物言いを、くだけた言葉に直させる側近との掛け合いがけっこうツボでした^^)
Posted by: a nanny mouse | Tuesday, September 13, 2005 at 21:06