Ill Met by Moonlight, by Sarah A. Hoyt
シェイクスピアが続いたんで、かなり前に読んだ本なんですが、なんとも珍しいシェイクスピアその人が主人公のファンタジイを思い出してしまいました。そうはいっても設定が期待させるほど意欲的な作品ではないんですが……。
ここでのウィル・シェイクスピアは、まだうだつの上がらない結婚したての学校の教師。ところが、妻と生まれたばかりの娘が、妖精王シルヴァヌスの虜になってしまったため、無力ながらも「夏の夜の夢」世界でジタバタする羽目に。この世界では縦横無尽、じゃない傍若無人に振舞う妖精のほうが、人間よりもはるかに力を持ってるんですよね。
そこに現われたる黒ずくめの美女、じつはなにを隠そう、シルヴァヌスに王位を簒奪された、正統のオーベロンの後継ぎクイックシルヴァー(笑)の仮の姿なんですが、彼(女)は、シェイクスピアを操って王位奪還の画策を始めます。かくして妖精界の権力争いに巻き込まれた頼りないウィルの運命やいかに。シルヴァヌスに目移りした妻と子を無事に取り戻すことができるのでしょうか……。
ううむ、設定は面白いし、気紛れな妖精の世界が妖しく描かれていれば、かなりいい作品になったんじゃないかという気はするんですが、どうもねえ、それっぽい登場人物を揃えた割りには、あんまりキャラが立ってないんですよね。まあまあの作品で終わっちゃいました。たぶんシェイクスピアの位置付けが、主役を張れるほどしっかりしてないのが原因のような。
この作品、作者のデビュー長編で、All Night Awake と Any Man So Daring という続編が出て3部作が完結しているようです。続編ではキット・マーロウなんかも出てきて、シェイクスピアが劇作家への道を踏み出すあたりも描かれているようですが、デビュー作ほどには話題にならなかったようなので、あんまり期待できないのかも。
までも、このカバーにつられて手を出す人もいそうな気がしますけど^^)

Comments
う~ん、惜しいですね~。表紙は好きだし、設定はおもしろそうなのに。確かに Amazon.com で最初の部分を読んでも、あまり惹かれないでした。
『夏の夜の夢』といえば、ドーラン演出でRCSが年末に日本でやるんですよね。「虚飾を排し」って、私は虚飾が好きなんですが、最近はさっぱりしたのが多すぎ。これはおもしろいのでしょうか。そういえばもう何年も芝居とか見に行ってないですが、暇がないというよりは、お金がない?
Posted by: Lilith | Wednesday, August 24, 2005 at 21:51
む、あのサイトを見ただけで、なんか泥臭そうで苦手ですね。「夏の夜の夢」は、地に着かないような足取りでわっさわっさとやっている祝祭的な雰囲気が好きなんですけど。
Posted by: a nanny mouse | Thursday, August 25, 2005 at 23:12
「夏の夜の夢」は、ちょっと古いですがリンゼイ・ケンプのが大好きでした。いやもう、超豪華で煌びやか。チェンジリングは怪しげで、これがまたよかったんですけどね。最近ウワサを聞かないし、もうやめちゃったのかと思ったら……つづく
Posted by: Lilith | Friday, August 26, 2005 at 22:17