I, Coriander, by Sally Gardner
最近は共感覚の持ち主の作家とか、自閉症の動物行動学者とか、作品の題材だけでなく、ハンディを持った作家が独特の視点で作品を発表するケースが増えているようですが、この本の作者は失読症(dyslexia)だそうです。
失読症というのは、言語を音で認識する限りにおいては何等問題ないのに、文字を音や意味と結びつけることができないという遺伝性の疾患で、イギリスでは軽度の人を含めると約10%、重度の場合は4%の人がこの障害を持つとのこと。まあ言語はあくまで音だという認識に立てば、決して障害と見なすべきではないのでしょうが、不便であることには変わりないでしょうね。ちなみに、言語によって文字表現の方法が異なるので、失読症の影響も一様ではないようですけど。
作者のサリイ・ガードナーは、もともとの名前は "Sarah" だったそうですが、それがどうしても綴れないため、なんとか書くことができる "Sally" に変えたそうです。舞台美術が本職で、絵本を手掛けたことから今回児童書へと手を広げたそうですが、「バービーの便座」みたいなマッキントッシュを使うようになって文章をまとめることができるようになったんだとか。
文字に図案のような反応を示すという作者が書いた作品は、17世紀のイギリスを舞台に、虐げられた孤児の少女が異世界を訪れるという、トラディショナルな妖精物語の雰囲気だそうで、なんかちょっと期待ですね。
作者の詳しい背景は Guardian Unlimited のこの記事で。
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Comments
こちらが、ネスレ子どもの本賞9歳から11歳のカテゴリーで金賞でしたね。ちょうど、ディスレクシアの少年が主人公の作品『幽霊からのメッセージ 9番教室のなぞ』(ジュリア・ジャーマン)を読了したばかりなので、ほぉと思いました。
Posted by: 1day1book | Thursday, December 15, 2005 12:37
ぎゃ、送信簿にならなかったので、TB失敗したと思っていたらこんなにたくさん! すみません。ほかのを削除お願いします。ごめんなさい!
Posted by: 1day1book | Thursday, December 15, 2005 17:04
おお~、積読のままでした^^; 近々読んでみます。ちょっと面白そうな本ですよね。スマーティーズは物語として面白い本が選ばれるので、わたしの好みと一致していることが多いです。
Posted by: a nanny mouse | Thursday, December 15, 2005 21:37