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Monday, July 18, 2005

"Persepolis: The Story of a Childhood" by Marjane Satrapi

persepolisus hc:  0375422307

us pb:  037571457X

翻訳 :  490178465X(1巻)

翻訳 :  4901784668(2巻)


 古代ペルシャの首都名「ペルセポリス」をタイトルとする本書は、イランで生まれ育ち、現在フランスに住むイラン人女性によって書かれた自伝的コミック本だ。単色での線描写、小学生の女の子が主人公で、彼女の日常生活を扱っているという点では、イラン版『ちびまる子ちゃん』と言えなくもない。しかし、平和な日本でのほほんと暮らすまる子ちゃんと、1979年のイラン革命を小学生時代に経験する本書の主人公マルジの世界は、あまりにも違いすぎる。

 マルジはイランの裕福で自由な家庭に育ち、フランス系の小学校に通っていた。ところがイラン革命が始まると、突然男女別学になり、女子は黒いヴェールを被ることを強いられる。ヴェール着用反対のデモに参加する母親。次々と暗殺される両親の共産主義者の知人たち。そしてイラン・イラク戦争の爆撃で犠牲になる友人……。

 環境としては、かなり暗く重苦しい。だが、快活で利発、ちょっとシニカルな少女を語り手とした社会風刺コミックに仕立て上げることで、イランの日常生活を客観的かつ冷静に綴ることに成功している。凄惨な場面さえ、シンプルに図式化され効果的に表現されている。特異な状況下で暮らすのは、私たちと全く変わらない人々だ。政治的スローガンに惑わされず、彼らの真の姿を知って欲しい。本書の最後で、14歳のマルジはひとりウィーンに飛ぶ。その後の彼女の消息については、仏語版で既に出版されている2、3巻に詳しい。(2003.07.26)

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Comments

現在は、フランス語版が最終の4巻まで、英語版が1~2巻、日本語版も1~2巻が出ています。

Posted by: Lilith | Monday, July 18, 2005 21:25

この夏一番の話題の翻訳作品になっていいはずの本ですよね。出版社のサイトで3ページの抜粋がありますよ。

う~ん、2巻しか読んだことがなかったんですが、主人公が子供だけに、1巻のほうがとぼけた主人公とシリアスな背景の対比が余計に面白いみたいですね。チビチビとだいじに読んでます。

Posted by: a nanny mouse | Monday, July 18, 2005 21:55

アニメに関するエントリはこちら

Posted by: a nanny mouse | Wednesday, May 16, 2007 19:58

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Tracked on Wednesday, May 16, 2007 03:14

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